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連載中·43·11.1万字
暴力描写有り性描写有り
母親の過干渉の中生きる一人の少年の心の支えは、学校で前の席に座る少女日南さんの下着の色と、ガレージで見つけたナイフ。 このナイフを手に、ガレージの中で日南さんに対する加虐的な妄想にふける毎日を過ごす。 しかし日南さんに、その視線に気づかれたとき精神のバランスを崩し、街で不良たちに暴行を受ける。 自身を守ろうとナイフを手にしようとする少年に対し、ギャル系少女が不良たちを瞬く間に叩きのめし、ナイフの正しい使用法を少年に説き、ナイフを少年からもらい受ける。 その少女の姿に強い印象を受けながら少年が再びガレージに足を運ぶと、そこに一台のバイク、ゼファーの存在に気が付いた。 その存在に魅入られた少年は、母親の不在時、多摩川の河川敷でそれを走らせようとするが、上手くいかない。 そこに現れたのが、渋谷で少年を助けた少女スゥ。 スゥは少年をわんこくんと呼び、ゼファーの操縦方法を教える。 スゥはある人物を探しに、北海道から家出してきたという。 自由を手にするためゼファーに乗ってスゥの旅に同行し、その旅の中で少しずつ大人になっていく。 名古屋でスゥの探し人、モッチを発見した二人だったが、自身の音楽業界での成功のためにスゥを一方的に捨てる。 スゥは自殺を試みるが、少年と、モッチのマネージャー畠山の処置で一命をとりとめる。 少年は畠山からこっちの居場所を聞き、京都でモッチを殴り飛ばす。 回復したスゥは、少年の本当にしたいこと、十年前に家を出て行った父親に会いに行こう、という。 しかし、父親はすでに別の家庭を築いていた。 自暴自棄になる少年だったが、スゥ、そして偶然出会った父親の息子、すなわち義理の弟との交流の中で、徐々に父を許していく。 そして二人は、シュウ、スミレという本名を名乗りあい、名古屋の空港で別れる。 そこでシュウは、同じく家を出ていた姉と出会い、姉とともに東京へ帰っていく。 一回り成長した少年の姿が、そこにはあった。