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2024年12月25日

12月25日。最終的に僕には何も残らなかった。ふと思い出すのは、『親友』とも最近連絡を取っていないこと。イベントで知り合った『年上の女性』とも数回デートしたが、それ以来、もう連絡をしていない。振ってきた『僕の元彼女』は、何をしているのだろうか。そして、あの時助けてあげた『彼女の親友』は、今、何をしているのだろうか。僕でなく、彼氏を取って、今は幸せに過ごしているのだろう。


加えて、『彼女』はもう知らない。あの謝罪のラインには、既読が付かなかった。


疲れたな。心の中でそんなことを思った。転職はしたが、前職から逃げたようで、心が苦しかった。特に苦しくても、助けてくれた会社の人たちを裏切っていた自分に罪悪感があった。何もかもが手に入らなかった気がする。どこかで何かを間違えてしまったのかもしれない。

夜が深まりと、風が強くなってきた。青森の寒さには慣れたと思っていたけど、今のこの寒さはきついなと感じる。


人には、それぞれ決まった道があるのだろう。僕の役割は、きっとこうだったんだろう。でも、それに腹も立たないし、悔しさも感じない。だって、最初からこういうことだったのだと思う。無力とは、こういうことなのだ。


風が強くなり、潮風が肌を刺す。冷たい風に身を任せながら、ふと思う。今まで必死に何かを掴みたかったけれど、結局は何も掴めなかった。そんなことを繰り返し考えているうちに、冷たさも感じなくなった。




【ニュース速報】

 十二月二十六日早朝、東京湾で発見された遺体は、自殺の可能性が高いと警察は見ている。遺体は菊池泰明さん(24歳)と確認され、第一発見者は地元の漁師だった。菊池さんは、五年前に世田谷で発生した飲酒運転による事故で、山梨県から旅行に来ていた両親を失うという悲劇に見舞われた。その後、母親の旧姓である「菊池」に改名し、人生をやり直すことを決意、一人暮らしをしながら学業と仕事に打ち込んでいた。関係者によると、菊池さんは「クリスマスプレゼントを買いたい」と無理をして残業を重ねていたが、経済的に厳しい状況にあったという。遺体発見前には、ほとんど所持金がなく、精神的な負担を感じていたとの証言もある。警察は自殺の背景について調査を続けており、菊池さんの身近な人々からも詳細な事情を聴取している。


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