8月、仕事にだいぶ慣れてきた、そんなある日。僕のラインに、予想外の人物から通知が届いた。それは、『親友の元彼女の親友』からだった。
どうやら、彼氏と別れたらしく、一人暮らしを始めるために家を探しているとのことだった。確か、彼女は実家暮らしだったはず。きっと、一人暮らしへの憧れや気分転換も兼ねているのだろう。
僕は真面目で責任感もある。何より一人暮らしを長くしてきたし、亡くなった父親が建築家だったため、家に関する知識も少しはある。そんなわけで、僕は『彼女の親友』の家探しを手伝うことにした。
画面越しに、オンラインで繋がりながら物件を探し、話をする時間が本当に楽しかった。久しぶりに緊張感から開放された瞬間だった。この北の地で、知り合いも少なく、孤独を感じていたからこそ、その時間が余計に身に染みた。