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おがみ屋三国
おがみ屋三国
南雲葵巴
現代ファンタジー都市ファンタジー
2025年04月24日
公開日
3,901字
連載中
探偵である世良三国(せらみくに)は相棒である佐田良太(さたりょうた)とバディを組み、️探偵事務所を経営していた。 猫探しから不倫調査までこなすが、本来の仕事は別にあった。 それは霊障を解決すること。 事故物件の除霊や未練を残して死んだ魂の救済。 超能力を使った犯罪の解決など…。 最強の超能力者である‍黒二と気のいい相棒の良太の物語が始まる。

第1話 おがみや三国

ぷかぷかとタバコを燻らせてくすんだ天井を見上げる。世良三国(せらみくに)は少し寝癖のある髪をいじりながら自分の力について考えていた。三国は少しクセのある黒髪をしていて、黒と銀色のオッドアイ。身長は180センチと高身長で鼻筋た通って涼しげな目をした美青年だった。彼はいわゆる探偵をしていて、脱走した猫から不倫調査までなんでもこなした。そしてもう一つ別の側面も持っていた。


おがみ屋。


 成仏できない霊や、霊障を解決することができる力を生まれつき持っていたのだ。

 そのため、見えないものが見えてしまうことで両親からは疎んじられ、寂しい幼少期を過ごした。


 三国には悪友と呼べる男がいた。彼の名は佐田良太(さたりょうた)彼と出会ったのはたまたま良太が燃えながらビルの隙間で泣いているのを見かけたから。その時亮太と三国は6歳。聞けば同じ小学校に通っていたらしい。

 良太は少し垂れ目で髪が生まれつき茶色く、それをバカにされて思わず発火能力で相手に怪我をさせてしまったと言うのだ。三国も能力に悩む者として放っておけず、良太の発火能力を封印してやった。それからと言うもの、二人はなんとなく友達になり、今に至る。


「みっちゃん〜。お土産にお前の好きなプリン買ってきたぞ〜」


ノックもせずにズカズカと良太は部屋に入ってきた。


「お前な。仮にも社員なんだから社長を敬えよ。それに始業時間もう過ぎてんぞ」


 時計は10時を過ぎたところだった。

 良太がお土産を買ってくる時は大抵ろくなことが起こらないので遅刻にしてもお土産にしても三国は心が重かった。


「で?今回は?」


「察しが良くて助かる。実は俺が懇意にしてる不動産会社が貸し出している部屋で連続不審死が続いてるらしくて、借り手がなくて困ってるそうなんだ。解決したらこれくらい報酬が出るらしいぞ」


 良太はスマホの電卓でその料金を見せてくれた。

(ふーん。なかなか悪くない金額だな。涼平と山分けしてもしばらく食うに困らない)


「で、いつから始める?」


「すぐにでも」


 三国は薄手のジャケットを羽織るとプリンを冷蔵庫にしまって良太の案内で不動産会社に出向いた。外はもう春めいていたて、道端にはたんぽぽの花が咲いていた。


(今日はジャケットはいらなかったかな)

 そんなことを考えながらついた先は予想に反して有名な不動産会社だったので少し驚いた。こんな会社にツテがあるから良太は侮れない。

 彼の父親は会社を経営しているから良太は顔が広いのだ。


「これは…早速お越しいただいてありがとうございます。おい、お茶をお出ししてくれ」


 男性社員にそう言うと、その店の店長らし人が良太と黒二を別室に案内した。


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