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終章



「翼!!翼!!」

美佐子の声で目を覚ます榊原翼。

祖母の顔を確認した榊原翼は、

「おばあちゃん、ただいま。」

と優しい声で答えた。




そのころ大きなビル群がそびえるオフィス街で一人の男が生まれ落ちた。

男はゆっくりと歩きだしショールームのガラスに写る自分の姿を確認する。



ダンヒルのスーツで身をまとった氷室龍二。

襟をぴんと張ってネクタイをきゅっと絞める。

そして目的地に向かって歩き出した。

そこは山崎組。

一水会のドンである山崎狭一のもとである。


事務所から出て車に乗り込む寸前、

「山崎会長。」

と龍二が声をかける。

「お前…氷室?死んだんじゃなかったのか!?」

驚きの声をあげる。

「ええ、死にましたよ。

ここにいる自分は深淵の存在。

残留思念という摩訶不思議な者です。」

と笑みを含みながら答える。

「竹内の復讐か?残念だが俺はこれから警察に引退届を出しに行く。

お前も極道なら、引退したカタギには手は出せねえ。

死んでも任侠道が残っているならさっさと成仏しろ。」

山崎が額に油汗を垂れ流しながら言いくるめようとする。

死んだ人間が自分に復讐のために蘇ってきたのだ。

心中はパニックである。

「あなたは極道です。まだ引退してないんだから。」

龍二はそういうと、

「ハント!」

と声を張った。

突然現れた弓に山崎と舎弟たちが身構える。


龍二が矢を放った瞬間、山崎の首から上が吹き飛び頭部が地に転がる。


「さて、俺もあの世に行くとしよう。

オヤジやジョージが待っているからな。

とりあえず閻魔様でも〆といて組でも立ち上げるか…。

オヤジとジョージと一緒にな…。

まってろよ!閻魔野郎!!」


極道が高校生に転生したら、血で血を洗う死闘の連続であった。


極道。それは任侠道。

義理と人情の危険な人種。


それでもその道を進む。


たとえ生まれ変わったとしても。


それが極道という生き方なのだから。





ドラゴンウイング  完



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