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極道という生き方-14



矢はDGの心臓を貫き、胸元に大きな風穴を開けた。

一気に意識が混濁してその場に膝をつく。

「やっと解放されます。氷室さんありがとう。」

DGが穏やかな顔でつぶやく。

【気にすんな。ところでお前はなんでDGって名前なんだ?】

すべてを終わらせた龍二は死を待つ時間DGと雑談に入った。

龍二も死は怖い。

だからこそDGとの会話で気持ちを和らげたかった。

「ああ、それはあなたの背中に答えがありますよ。」

DGの言葉に自分の背中の状態を思い出す。

【どすこい娘のロゴ…どすこいガールズ…DG。

ははっはははあ!!そんなことか!!】

龍二は笑った。転生してこんなに笑ったことはない。

「それでは氷室さん。お別れです。」

DGの体が消えていく。

【まて、このやろう!!まだ話があんだよ!!】

龍二が最期の力を振り絞りDGを引き留める。

「あの、そろそろ死にませんか?」

DGの言葉の後に、

【俺の…思念も置いていく…まだ最後の仇を果たしてない…わかるだろう…DG…俺の残留思念を…果た…させろ…。】

とDGに言い残し龍二は死んだ。

最後に龍二が見た光景は悠亜の寝顔。

(幸せになれよ、悠亜。ありがとう。

お前に救われた。もっと一緒にいたかったな。)

これが龍二の最後の願いだった。


「やれやれ…。」


DGも困った仕草をしながら、しかし嬉しそうな表情で姿を消し、そこには木下の亡骸だけが転がっていた。


その三日後、一水会会長、山崎侠一は極東一家本部へと出向き一連の抗争の詫びを入れ、一水会の解散と自身の引退を宣言。


これにて多くの血が流れた抗争に幕が下りた。


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