矢はDGの心臓を貫き、胸元に大きな風穴を開けた。
一気に意識が混濁してその場に膝をつく。
「やっと解放されます。氷室さんありがとう。」
DGが穏やかな顔でつぶやく。
【気にすんな。ところでお前はなんでDGって名前なんだ?】
すべてを終わらせた龍二は死を待つ時間DGと雑談に入った。
龍二も死は怖い。
だからこそDGとの会話で気持ちを和らげたかった。
「ああ、それはあなたの背中に答えがありますよ。」
DGの言葉に自分の背中の状態を思い出す。
【どすこい娘のロゴ…どすこいガールズ…DG。
ははっはははあ!!そんなことか!!】
龍二は笑った。転生してこんなに笑ったことはない。
「それでは氷室さん。お別れです。」
DGの体が消えていく。
【まて、このやろう!!まだ話があんだよ!!】
龍二が最期の力を振り絞りDGを引き留める。
「あの、そろそろ死にませんか?」
DGの言葉の後に、
【俺の…思念も置いていく…まだ最後の仇を果たしてない…わかるだろう…DG…俺の残留思念を…果た…させろ…。】
とDGに言い残し龍二は死んだ。
最後に龍二が見た光景は悠亜の寝顔。
(幸せになれよ、悠亜。ありがとう。
お前に救われた。もっと一緒にいたかったな。)
これが龍二の最後の願いだった。
「やれやれ…。」
DGも困った仕草をしながら、しかし嬉しそうな表情で姿を消し、そこには木下の亡骸だけが転がっていた。
その三日後、一水会会長、山崎侠一は極東一家本部へと出向き一連の抗争の詫びを入れ、一水会の解散と自身の引退を宣言。
これにて多くの血が流れた抗争に幕が下りた。