目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

極道という生き方-11



龍二は黒川との戦いの時の失態を踏まえてハントを構える。

相手との距離が5メートルありノーダメージでフル体力での今の状態こそベストなタイミングである。

ただ奥の手をいきなり出す以上リスクは高い。

まさに最初から背水の陣で臨まなくてはならないのだ。

「おもしれえ事するじゃねえか!!」

龍二の出した弓矢を見てニヤリと笑う木下。

そして姿が霞むほどのスピードで一気に5メートルの間合いを詰め、左手で龍二の喉元を掴む。

その衝撃でハントは解け、そのままコンクリートの壁に叩きつけられる。

(なんて野郎だ!?)

出鼻をくじかれた龍二は背中に衝撃を受けて一瞬呼吸が止まる。

更に左腕一本で龍二を持ち上げ首を絞める。

龍二の体が宙に浮き、すさまじい握力で掴まれた首が徐々に絞まっていく。

龍二は木下の左腕を両手で掴み、引き剥がそうとするが、まるで丸太のような鋼の腕はピクリとも動かせない。

「そうか、黒川もさっきのやつで殺ったんだな?

クククッ…なんだお前は?なにもんだ?まあいい。

半殺しにしてから全部吐かせてやるからよ!!」

木下はケタケタ笑いながらそう言い放ち、右手で強烈なボディーブローを龍二の無防備なわき腹に入れる。

龍二の鍛え上げられた腹筋の防御力を超えるパンチ力。

苦痛にゆがむ龍二の表情を見て、木下はもう一発同じブローを叩き込む。

「ああ、いいことを思いついた。

お前の目の前であの女を犯してやるよ。

そういうのも興奮するだろ?クククッ」

悪意に満ちた笑みで木下が言う。

龍二の視界に倒れている悠亜が見えた。

(調子に乗んなよ!!)

龍二は木下の左人差し指を強引に剥ぎ取り思い切り捻じる。

顔を曇らせた木下の力が緩んだ隙になんとか脱出。

急いで距離をとる。

「てめえ、痛えじゃねえか…このやろう!!」

鬼の形相で木下があらぬ方向を向いた人差し指を右手で引っ張り、強引に骨をくっつける。

肩で息をしてすでに満身創痍の龍二。

(ちくしょう!!歯が立たねえ…!!なんとか手はないのか!?)

龍二は木下を睨みながら反撃の策を頭に描きだした。




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?