龍二が家に戻って二日が過ぎ、静かな生活へと表面上は戻った。
ただ何か物足りない。
もちろん理由はジョージがいないということだと理解している。
一生懸命に悠亜が明るい雰囲気を作るが今一つ上がらない。
なにより美佐子が龍二との会話をしなくなった。
美佐子の中に疑念が生まれていることは確かだし、龍二もそれは感じ取っていた。
その日、朝から悠亜が紅蘭と遊ぶといって出かけて行った。
美佐子と二人きりの昼食となったとき、
「翼…おばあちゃんには嘘つかないで。
何に巻き込まれているの?」
と真剣な眼差しで問いかける。
龍二はすべてを打ち明けることにした。
これ以上はだまし続けられない。
【これは榊原翼が望んだことなんだ】
と前置きをして、
【実は】
と書いたところでスマホが鳴る。
『紅蘭と数日連絡がとれないんだけどそっちにいたりする?』
と書かれていた。
(紅蘭と連絡がとれないって今日悠亜と遊んでいるんじゃ…。)
そこで龍二は気づく。
(悠亜が危ない!!)
すぐに優に現状を返信する。
そして、
【帰ってきたらすべてを話す】
と美佐子に告げ急いで身支度をしロングパーカーを羽織り家を飛び出した。