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龍の翼-6



驚異的な回復力で退院した翼(龍二)は、祖母である榊原美佐子の家に戻った。

小さいながらも立派な家を見て、龍二は改めて自分の立場を認識する。

この老人に養われながら新たな人生を始めるということを。


「お父さんもお母さんも翼が助かって喜んでるね。」

美佐子が仏壇の前で手を合わせながらつぶやく。

(まずこの榊原翼という人間を知らなくてはならないな。)

龍二の中で、ある種の覚悟が生まれていた。

これが現実であることを自覚した龍二が、それを受け入れるために必要な作業が翼という少年を理解してその人生を引き継ぐことであると悟ったのである。

龍二が翼の部屋に入ったときに、部屋中の壁に貼られたポスターや写真に驚く。


(どすこいガールズ…?)


少しぽっちゃりの少女たちのグッズが部屋中に飾られていた。

どすこい娘は、D《デブ》専に人気のアイドルグループで、アンダーグランドの地下アイドルファンに絶大な支持を得ている。


(アカネちゃん…?)


部屋の多くを占めるグッズはアカネという見るからに100㎏越えのヘビー級の女。

確かに顔はかわいらしいが、ボディーが素晴らしい発達を見せていた。


(榊原翼…おまえの趣味は理解したが…俺はこれを受け入れられぬぞ…!!)

龍二は、受け入れた現実との葛藤と向き合っていた。




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