目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
ドラゴンウイング 極道転生
ドラゴンウイング 極道転生
泉水遊馬
現実世界裏社会
2025年04月23日
公開日
9.8万字
完結済
読むVシネマ! 竹内組若頭【氷室龍二】は組織随一のヒットマン(殺し屋)。 組織拡大のため裏家業を専門に組に仕えてきた。 しかし内部クーデターに巻き込まれ命を落としてしまう。 しかし…死んだはずの龍二は目を覚ます。 それは20才以上も若返った高校生の姿。 16才の榊原翼としての波乱の生活が始まる。 相棒である黒猫の譲二(ジョージ)と共にもがきながら組織に復讐を誓う。 ※この物語は実在の人物、組織とはなにも関係ありません。

極道転生


【第1章】

龍の翼




「人間、死ぬ時は何したって死ぬ。モチ食うたかて運が悪きゃ死ぬやろ」


氷室龍二は渡世の親である竹内久正の言葉を思い出していた。

今まさに死の瞬間に浮かんだ言葉に龍二は笑みを浮かべた。

血まみれで大の字に地に転がる龍二。

(身内に騙されて死ぬなんて、モチ食って死ぬよりみじめだぜ。)

自分の失態にあきれて笑っている。

「体中に弾丸受けてまだ笑っていられるとは、さすがですなぁ。

極東一家が誇るヒットマンは格がちがいますわ。」

男が龍二の顔に拳銃を向けながら薄ら笑いを浮かべ言った。

それに龍二が中指ファックを立てて息も荒々しく答える。

「黒川…。地獄で待っとるぞ。だがな…地獄より地獄を味わらせてやるから…覚悟してこいよ…。」

龍二がこの状況下でも冷静を保てるのは、常に竹内のために死ぬ覚悟ができているからである。

「氷室の兄貴。俺はねえアンタに憧れてたんだよ。

イケイケの殺戮集団竹内組の若頭のアンタにね。

だけど所詮アンタも人間。こっちが流したデマにまんまと引っかかってこのザマ。ガッカリですわ。」

黒川の話は聞こえているが、すでに意識が混濁し始めている。

「ほな、さいなら。」

黒川が引き金を弾く。

まるでスローモーションのように目の前に弾丸が迫ってくる不思議な感覚。

そしてもう一度あの言葉が蘇る。

「人間、死ぬ時は何したって死ぬ。モチ食うたかて運が悪きゃ死ぬやろ」

(親父…すまねえ。)

龍二は静かに目を閉じた。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?