ー1996年某月某日の丑三つ時ー
東京都内の某所にある
警察に見つかれば、2人とも不法侵入で職質されるかもしれないが、彼女達にとってはそんな事は些細な問題であった。
何故ならば彼女達は、誰の許しも獲ずに勝手に人類の命運を賭けた戦いの真っ最中という、はた迷惑極まりない状況だったからである。
「ハァハァ!い、いい加減、魔界に帰んなよ!〝マハラジャ〟!
マハラジャと呼ばれた30代前半くらいの女性は、黒いボンテージに網タイツ、ウサギの耳状のカチューシャを付けており、町中を歩いてるだけでも職質間違い無しの姿であった。
「ク、ククク!こ、呼吸が荒いではないか?ジ、ジュリアナ?強がっててもギリギリなんだろう?お、お前に妾の何が分かる!?お前こそ
マハラジャに、〝ジュリアナ〟と呼ばれた10歳くらいの少女は、金髪のロングヘアーに白とピンクが入り混じったフリフリのドレスに加えて、先端には大きなハートが付いてるステッキを持ってるという10人中8人くらいが〝魔法少女〟を連想させる姿をしていた。
残りの2人は、彼女を見て〝何を〟連想するのだろうか?そんなん知らん!むしろこちらが聞きたいわ!
……2人とも戦いの間に、魔力と体力を殆ど使い果たしていた状況であった。
もはや、彼女達を支えていたのは(コイツにだけは負けるもんか!)という、しょーもない意地だけである。
「ど、どうやら、は、話し合いは無駄のようね!マハラジャ!ワチキの残る全魔力を使った〝切り札〟の魔法で
「ク、ククク!き、奇遇よのう!ジュリアナ!妾も同じ事を言おうと思ってたのじゃ!行くぞよ!」
「「アーリャリャー コーリャリャー セーンセイ ニ イッテヤローウ!」」
2人は、同じタイミングで〝切り札の封印魔法〟を発動させるための呪文を唱え始める。
「「
これまた息がピッタリのシンクロナイズドスイミング選手のように、彼女達は同時に封印魔法を発動させる!
封印魔法によって作られた魔力の矢は、もはや仕込みとしか思えない程の同じタイミングで、ジュリアナとマハラジャの胸を貫いた。
「そ、そんな!まだ人間の
封印魔法で吹き飛ばされたジュリアナの姿は〝黒い玉〟となり、庭園にある古井戸に吸い込まれるように消えていった……。
「くっ!無念!こんな所で、妾が封印されるとは!ら、来週放送される『ビートた〇しのお笑いウル〇ラクイズ』が観たかったのだぁぁぁー!」
そう言った直後、マハラジャは漬物石に、ちょうどいいサイズの〝紫色の石〟となって庭園に転がった。
こうして、人類の命運をかけたジュリアナとマハラジャの戦いは勝手に始まって、双方封印という形で勝手に終わった。
……いきなり、最終回っぽい展開だが、これは
だから、次の話も読んでくれないと困るのだ!!
これから綴る物語は、家庭では蔑ろにされ、会社では社畜としての日々を過ごすアラフォーオッサンが、強欲で