蜜りんご
異世界ファンタジーダークファンタジー
2025年04月18日
公開日
4,839字
連載中
黒灰に沈んだ茨の森は呪いの森。
精霊に呪われた森だ。
百年に一度、黒灰に沈んだ呪いは息を吹き返す。
濃緑にその身を染め上げ、白薔薇が咲き乱れる。
開花のその時期だけ、茨は身の内に客人を招いた。
招かれた客人は、誰一人戻らなかった。
それでも、人は自ら茨に足を踏み入れる。
その最奥には、精霊の秘宝が眠っているといわれているからだ。
人と精霊。魔物と魔法人形。契約と呪い。
囚われた魔物が語る、人には優しくない精霊と呪いの物語。
王女は魔法人形に恋をした。
森の奥に薔薇を祀る王国があった。
美しい魔法人形が薔薇の守り人をしていた。
ある代、世継ぎの王女が魔法人形に恋をした。
王女は魔法人形と共に、薔薇から逃れようとした。
魔法人形は、王女の求めに応じなかった。
魔法人形は主命に基づき、薔薇と共に在ることを王女に求めた。
王女は嘆き悲しみ薔薇に火を放った。
薔薇は対価を求めた。