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5-11 金の切れ目が...

 ルナは歯を食いしばりながらアナリティクスを発動する。

 恐怖をこらえ、視線をクイーンアントへと定めると、ステータス画面が淡く浮かび上がった。


「スキル:眷属生成……!」


 クイーンアントの特殊能力に気づいた途端、コメント欄が一気に沸き立つ。


にゃん民: 無限湧きパターン!

にゃん民: 眷属生成を封じれば勝てるんじゃね?

にゃん民: BANで封印すれば!


にゃん民: 月跨いで課金できるようになったから行くぜ!

にゃん民: 今日から新クレカ使えるw

にゃん民: いくぞお前ら、ルナちゃんを救うためだ!


 流れるように高額スペチャが投げ込まれ、すぐに100万が積み上がる。

 ルナは泣きそうな顔で感謝の言葉を呟く。


「み、みなさん、本当にありがとうございますにゃ……これで眷属生成を封じれば!」


 BANスキルを発動し、ルナはクイーンアントに向けて手をかざす。

 淡い光が指先から飛び出し、相手のスキルを封じるために一直線に飛んでいく。


 しかし、クイーンアントはその一瞬を逃さなかった。

 巨体を揺らし、素早くアリモンスターの一匹を投げてくる。

 BANの光はクイーンアントに届く前に、飛んできたアリモンスターに当たってしまう。


「えっ、嘘ですにゃ!?」


 アリモンスターが盾となり、BANは不発に終わってしまった。

 狙いは外され、クイーンアントは健在で、眷属生成も封じられていない。


にゃん民: く、くそ!外した!

にゃん民: もう一回BAN発動するには、また100万必要だろ…

にゃん民: 金がねえよ…これ以上は無理だ

にゃん民: 親に借りる?ヤバいって


「そんな……みにゃさんに無理をさせるわけにはいかないですにゃ……」


 ルナは絶望的な思いでコメ欄を見つめる。

 アリモンスターたちは再び数を増やし始め、世界樹の根元へ押し寄せる。

 エルフたちは後退し、ルナは今にも襲われそうな距離に迫られていた。


にゃん民: 俺たちは所詮、金を投げられなきゃ無力なのか……

にゃん民: ごめんルナちゃん、もうこれ以上は……

にゃん民: 石油王は、石油王はいねえのかよ!


 コメ欄は嘆きと無力感で溢れている。


異世界でも金がなければ何もできないのだろうか……




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