「景品は…なんと、あの美貌の…彼らしい…」

ごくんと唾を飲み込む　ラクダに乗った若い男

「城の宴に楽器の演奏に…子守唄つきの添い寝つき

もちろん…彼は今は奴隷の身分　　わ…悪さをしても…」　

砂漠の砂が舞う　彼だけでなく　頬を赤くして　千人もの異様な目つきの男達が

らくだに跨り　それは嬉しそう

これは・・とある　砂漠の王国かもしんない処の御話

一人の美貌の楽師の子守歌と添い寝を景品にした

らくだレースが開催されようとした

「・・好き放題　わ、悪さが・・・」

砂漠の国の若き学生、学友Aと学友B

「お前…鼻血がまた…」学友Ｂ

「そう言うお前も目が血走ってる…」学友Ａ

「だが、そんな事をした日には

ラクダレースの参加者、この千人に殺されかねない」

昨年、政変でうっかり　家族などが　巻き込まれて

美貌の楽士ナジュサアナは　奴隷の身分となってしまった

幸い、身分はともかく　以前とほとんど変わらぬ状況で

のほほんと城で　楽師を続けている　

参加者達を横目に　不気味な笑みを浮かべて　妹はつぶやく

「ふふふ・・何を言ってるのかしら？　ナジュ兄さんの添い寝は

私のものに決まってるじゃない・・千人打倒しても　添い寝はいただくわ！」

妹の方は無事に逃げて　今はとある有力者の元で暮らしているが　

一人残った大事な兄ナジュサアナの奪還を企んでいた

だが、今はブラコンな妹アーシャッハは　

景品の・・兄との子守歌に添い寝の事のみを考えていた　

頭はピンクなハートで悶々中

合図と共に　砂漠の王国の都　ラクダレースは始まりを告げた

砂煙・・砂塵だけて　千人ものレース参加者は　視界の先を見失い

ぶつかりあい　落伍者続出

学友A,Bも・・涙

岩を横とびしながら　器用にさけるアーシャハ

ライバルたちが　棒をラクダの足に差し込み　転倒させようとする

ハツ！と気がつき　すばやく避ける

再度の攻撃　今度はアーシャ本人に左右から棒の攻撃！

するとアーシャッハは

イナバウアー　背そらしで　棒をよける　髪がゆらり波をうつ

「よくもやったわね！！」　

らくだの背に手をつき　身体ごと　横に　まわし蹴りをする

横回転　くるん！と回る　すちゃ！再びきちんとらくだに乗る

別の敵が左右両方から　再び　アーシャを　目掛けて棒を突き出す

「は！　」

鞍からジャンプして　両足を左右に１８０度開き　キックで左右の敵を倒す

すとん！

「ふん！」

今度は　近くにきた隣の男がぴったりと傍を離れない　

「何者！　あの黒ひげは　ああ！　ファイナスさま！！」

「やあ！」とお気楽に声をかける　ファイナス

彼は　アーシャは　とナジュ達の

長兄の幼馴染の大親友である

（二番目の兄ではない！　一番目の兄はイケメンで無口だった）

ナジュの一晩の添い寝が景品と・・聞いて　

「つい参加してみたのだが」さり気に含み笑いを抑えてる

「なんか　言い方が　いやら～しいですけど・・」　

じと目でにらむ　アーシャッハ

「母親代わりのナジュの添い寝が　目的なんだろう？アーシャ」

「う！　なんですか！　

ブラコンとでも　なんとでも好きなだけ言ってください！！」

真っ赤になって文句を言う　アーシャ

「ははは！！ナジュが景品では　アーシャでも譲れないなあ～～～！」

「一晩　私の兄に何する気なんですか！」

「はははは！どうしようかな～～～～！絶世の美人だからな～！

ふぉふぉふぉふぉ！」

絶対　この人だけには負けられない・・他の参加者もだけど

奴隷の身分に落とされた　美人の兄が何をされるか・・・ぶつぶつぶつ・・・

いえ、けして・・・綺麗で大好きな兄に　なでなでしてもらったり・・とか

頬にちゅ～をしてもらったり・・とか　子守唄を歌ってもらたり絵本を読んでもらったり

とかとか・・ポッツと顔を赤らめる　

思い出の中のナジュの声と笑顔を思い浮かべる

「アーシャは　可愛い　大好きだよ♪　今日の夕食はアーシャの大好きなものばかり

用意したからね」

「服　やぶけったの　あらら・・修繕してあげるから・・貸してごらん」

「どうしたの？

今日も寝付けない？　なら　後でホットミルクを用意してあげる」

「まだ眠れない？

ん！　じゃあ　ウード（楽器）で静かな子守唄を演奏してあげるね」

にやあ～ん　ほわ～ん♪　　　

一緒に住んでいた頃を思い浮かべ　頬が赤くなり　緩む

は！いけない　今はレースに集中しなくては！

その頃　ナジュは　レースの見物しながら　傍には女官長

「千人もの参加者　すごいですね　景品って何だろう？」

「参加者千人は史上初です♡」

うきうきと言うナジュサアナ

自分が景品とは　まったく知らないナジュことナジュサアナ

「景品がいいからね･･･クスクス」女官長の怪しい笑い