「
テレビに映し出されたニュースキャスターの青ざめた顔と、緊迫した声が居間に響き渡る。
「現在のところ、人的被害の報告はありませんが、周辺地域では避難指示が出されています。詳細は分かり次第、随時お伝えします。」
青山の携帯電話が鳴り、彼はハッとしてポケットから取り出した。画面には「
「もしもし、青山です!」
「青山、緊急招集だ!」村瀬の声は、静かながらも切迫感に満ちていた。「全団員に連絡が行っている。すぐに詰所へ来てくれ。」
「はい、すぐに向かいます!」
電話を切ると同時に、青山は防災バッグを掴み、アパートを飛び出した。外に出ると、遠くの空が不気味な赤みを帯びているのが見えた。磐梯山の方角だ。
頭の中は疑問と不安で一杯だった。ついこの前、彼は「火の巫女」との対話を経て、「封印の言葉」を唱えたばかり。儀式は成功したはずだった。それなのに、なぜ今になって山が噴火するのか?
詰所に着くと、すでに多くの団員が集まっていた。全員が緊張した面持ちで、無言で各自の装備を身につけている。
「おう、来たか!」
中村が青山の肩を叩いた。普段の軽口が影を潜め、彼の顔には固い決意が浮かんでいる。
「何が起きてるんだ?」青山は尋ねた。「テレビでは噴火と言っていたが…」
「噴火じゃないらしい」中村は声を落とした。「火山性の地震は記録されていない。村瀬さんによると…あの『ダンジョン』が出現したんだ。」