『敵を倒しました。経験値を獲得します。
経験値が一定に達しました。レベルが7アップします。
ダンジョンボスとしての仕事を完了しました。
報酬としてスキルが得られます。
体に損傷を確認しました。損傷した部位の修復に入ります。』
──前回と同じように、頭の中に戦闘終了の通知が響く。
同時に、体が発光し、失った右腕が完全に修復された。
「……ハァ、やっと終わったか。」
それにしても、キツい戦いだった。
相手の不意をついてこれだ。
まともに戦っていたら、俺が勝てる可能は限りなく低かっただろう。
「いかに自分が弱いか、思い知らされたな……。」
──だからこそ、鍛錬を進めるのは当然として、新しい作戦も考える必要がある。
今回の戦いで分かったことは、
「先手を取ることの重要性だ。」
正々堂々と戦って勝てない相手でも、戦術次第で有利な戦いに持ち込める。
これは今後の戦いにおいて、大きな鍵になるだろう。
今のステータスはこれだ。
――――――――――――――――――――
種族: ゴブリンキングLv13
職業:
専用スキル: 小鬼王剣術Lv3
眷属支配
汎用スキル: 魔力操作Lv6
炎初級魔法Lv3
雷初級魔法Lv1
風初級魔法Lv1
土初級魔法Lv1
水初級魔法Lv1
――――――――――――――――――――
「……うん、確実に成長はしてるな。」
けど、まだまだ足りない。
特に手数が圧倒的に欠けている。
──今回、相手の剣使いは【剣技】なるものを使っていた。
「あれは、脅威的な威力だった……。」
もし、小鬼王剣術にも剣技が存在するなら、習得すれば戦力が一気に跳ね上がるはず。
しかし、今のところ手がかりすらない。
「なら、地道に小鬼王剣術を磨いていくしかないな。」
受験勉強でも、あれこれ手を出す奴は結局どれも中途半端になり、力がつかないものだ。
他のものに惹かれる気持ちもあるが、まずは一つを極めるのが大事。
「よし、それじゃあ報酬のスキルを選ぶとするか!!」
──今、思いついている中で獲得できるスキルは3つ。
1. 【身体強化Lv1】
- 身体能力を底上げし、戦闘力を向上させる。
- 直接的な戦闘力アップには繋がるが、即効性は低い。
2. 【魔法攻撃増強Lv1】
- 魔法の威力を上げる。
- だが、魔法の発動速度や精度には影響しないため、今すぐの大幅強化にはならない。
3. 【魔力消費緩和Lv1】
- 魔法の消費MPを軽減する。
- 長期戦に向いているが、短期決戦ではそこまでの恩恵はない。
「……うーん、どれも役には立つけど、決め手に欠けるな。すぐに大幅な戦力アップに繋がるか? 」
そう考えると、どれも今ひとつ物足りないし、どれも汎用性がやや低い。
「……他に、いいスキルはないか?」
そう思いながら、頭の中で新たなスキルの候補を模索する──だが手数を増やせて即戦力になるもの……思いつくものがない。
「考え方を変えてみようか?」
──今までは、足りないものを補うスキルを探していた。
でも、それでは「普通の強さ」にしかならない。
なら、逆に俺の強みをさらに引き出すスキルを探せばいい。
俺の強みは何だ?
「ボス部屋の仕様による、魔法スキルの習熟スピードの速さ。」
つまり──
「魔法そのものが、俺の最大の武器になり得る。」
──とはいえ、魔法には大きな弱点がある。
それは「発動に時間がかかること」だ。
戦闘中に、簡単に発動できるものではない。
もちろん、鍛錬すれば克服できるかもしれないが、今の俺にとっては致命的な弱点だ。
では、魔法の発動が遅い理由は何か?
理由は二つある。
① 魔力を練るのに時間がかかる
十分な魔力を確保するには、体内で何度
も魔力を循環させる必要がある。 だが、
それは相手に「魔法を準備している」と悟
られ隙を生む。
② 術式の自由度が少ない
魔法の威力、範囲、射程、進行方向など
は、術式で定められている。つまり、相手
を誘い込まなければ、確実に当てることが
できない。
──この二つの問題を解決できるスキルはないのか?
「術式改新、発動時間短縮、弾道誘導……」
ありそうなスキルを思い浮かべてみるが、
どれも取得可能にならない。
この世に存在しないのか?
あるいは、今の俺のレベルではまだ習得できないのか?
「発動までの時間短縮……術式の自由度……発動までの時間短縮……術式の自由度……絶対に当てるにはどうすれば……?」
──はぁぁぁぁ!!!!!!
その瞬間、頭に電撃が走った。
まるで、答えが閃いたかのように。
──これだ!!!
これなら、発動の遅さも、術式の制約も、すべて解決できる。
むしろ、必殺の一撃に変えられる。
『【○○○○】は取得可能です。取得しますか?』
──もちろん、イエスだ!!!