「あ、おはよっす、よっしー。」
「おはよう、宝条君。朝早いね。」
「朝練あったからさ!今日で最後だけどー。」
「そ、そうなんだ。部活、次何に入るの?」
「んー。それなんだよなー。やっぱり美術部入った方が上達するかなー?」
「そうだね・・・。技術とか身に着けられるんじゃない?新しい視点とか?よく分からないけど・・・。」
「ほうほう!やっぱりよっしーは頼もしいなぁ!」
「よっしーに相談してよかったー!ちょっと美術部見学してくるよ!」
「う、うん。それはよかった。」
すごい行動力だ。さすが陽キャだ。
「平岡っち、おはよー!」
「あ、入野さん!おはよう!」
ふぅ、なんだか落ち着く。
「宝条となに話してたのー?」
「えーっと、部活のことだよ。バスケ部辞めるみたいで。」
「なに、宝条?バスケ部辞めるのー?」
「まぁな!怪我して出来なくなっちゃってな!」
「そーなんだ。それで?なんの部活入るのー?」
「美術部はいろーかなって、よっしーに相談してたとこだよ。」
「えっ、宝条が?美術部!?」
「どーした急に?」
「宝条君、絵描くの好きなんだって。この前見せてくれて。」
「ふふーん。そうなんだ。あたしにも見せてよー!」
「えーはずいよー。」
「昨日言ってた油絵っていつ完成するの?」
「油絵描くの?あのバスケ部のエースの宝条が??」
「それ言われるから言いたくなかったのにー。」
「油絵はゴールデンウィークに描くつもり。休み明けに見せるよ。よっしーにな!」
「ほんとに!?楽しみだな!」
「えー、あたしも見たーい!!」
「まぁ気が向いたら、見せてやっても、いいけど。」
「じゃーいいわ。」
「えー。」
「そんなことより、明日からゴールデンウィークか。」
「平岡っちはなんか予定あるのー?」
「そんなことってなんだぁー!!」
「特にないかな。暇だよ。」
「そーなんだぁ。それじゃさぁ、バイト手伝ってくれない?人足りなくて。」
「あぁ、この前の書店かぁ。バイトとかしたことないけどそれでいいなら。」
「大丈夫!あたしが丁寧に教えてあげるから!ほんっと助かる!ありがと!!」
「うん。よろしく、ね。」
バイトかぁ。大丈夫かなぁ。
ちゃんとできるか心配だ。
だけど、入野さんのためにもがんばろ。
あれ?待てよ。休み中も入野さんと、一緒ってこと?
なんだか緊張してきた・・・。
ーキーンコーンカーンコーン
「はーい。明日からゴールデンウィークでーす。遊ぶのもいいけど、来月は中間試験もあるからな。勉強も怠らないように。以上。解散。」
「はー!終わった終わった!」
「平岡っち!明日はよろしくねー!またマインするねー!」
「あーうん。また明日!」
「なぁよっしー、入野と仲いいよなー。」
「あーうん。仲、いいかな。」
「付き合ってるのー?」
「はぇ!?な、何いってるの、宝条君!?」
「だっていつも一緒にいるじゃん。」
「そ、そんなことは、ないと、思うけど!?」
「付き合って、ないよ・・・。」
「ふーん。そーなんだぁ。」
なんだそのニヤついた顔はぁー!?
「ほんじゃーまったなー、よっしー!」
「うん。またね。」
え、周りからそんな風に見られてるのか??
僕と、入野さんが??
陰キャの僕となんて釣り合わないよ。
宝条君が変なこと言うから、意識してしまうじゃないか。
はぁ。帰ろ。
ーその日の夜
ピコンッ!
あ、入野さんからマインだ。
〈よっ!〉
〈漢気スタンプ〉
〈こんばんは、入野さん。〉
〈明日、9:30に書店集合ね!〉
〈特に持ってくるものないから!〉
〈うん。わかった。〉
〈緊張してる?〉
〈いや。してない、かな。〉
〈それはしている反応だね!〉
〈漢気、大丈夫スタンプ〉
〈大丈夫!何かあったらあたしがフォローするから!〉
〈うん。ありがと。〉
〈休日も平岡っちに会えて嬉しいよん!おやすみー。〉
〈漢気、おやすみスタンプ〉
〈おやすみ。〉
ど、どういう意味なんだ!?
僕も、嬉しいんだけど・・・。
緊張して寝れるかな。