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12 連休前


「あ、おはよっす、よっしー。」


「おはよう、宝条君。朝早いね。」


「朝練あったからさ!今日で最後だけどー。」


「そ、そうなんだ。部活、次何に入るの?」


「んー。それなんだよなー。やっぱり美術部入った方が上達するかなー?」


「そうだね・・・。技術とか身に着けられるんじゃない?新しい視点とか?よく分からないけど・・・。」


「ほうほう!やっぱりよっしーは頼もしいなぁ!」

「よっしーに相談してよかったー!ちょっと美術部見学してくるよ!」


「う、うん。それはよかった。」


すごい行動力だ。さすが陽キャだ。


「平岡っち、おはよー!」


「あ、入野さん!おはよう!」


ふぅ、なんだか落ち着く。


「宝条となに話してたのー?」


「えーっと、部活のことだよ。バスケ部辞めるみたいで。」


「なに、宝条?バスケ部辞めるのー?」


「まぁな!怪我して出来なくなっちゃってな!」


「そーなんだ。それで?なんの部活入るのー?」


「美術部はいろーかなって、よっしーに相談してたとこだよ。」


「えっ、宝条が?美術部!?」

「どーした急に?」


「宝条君、絵描くの好きなんだって。この前見せてくれて。」


「ふふーん。そうなんだ。あたしにも見せてよー!」


「えーはずいよー。」


「昨日言ってた油絵っていつ完成するの?」


「油絵描くの?あのバスケ部のエースの宝条が??」


「それ言われるから言いたくなかったのにー。」

「油絵はゴールデンウィークに描くつもり。休み明けに見せるよ。よっしーにな!」


「ほんとに!?楽しみだな!」


「えー、あたしも見たーい!!」


「まぁ気が向いたら、見せてやっても、いいけど。」


「じゃーいいわ。」


「えー。」


「そんなことより、明日からゴールデンウィークか。」

「平岡っちはなんか予定あるのー?」


「そんなことってなんだぁー!!」


「特にないかな。暇だよ。」


「そーなんだぁ。それじゃさぁ、バイト手伝ってくれない?人足りなくて。」


「あぁ、この前の書店かぁ。バイトとかしたことないけどそれでいいなら。」


「大丈夫!あたしが丁寧に教えてあげるから!ほんっと助かる!ありがと!!」


「うん。よろしく、ね。」


バイトかぁ。大丈夫かなぁ。

ちゃんとできるか心配だ。

だけど、入野さんのためにもがんばろ。


あれ?待てよ。休み中も入野さんと、一緒ってこと?

なんだか緊張してきた・・・。



ーキーンコーンカーンコーン


「はーい。明日からゴールデンウィークでーす。遊ぶのもいいけど、来月は中間試験もあるからな。勉強も怠らないように。以上。解散。」



「はー!終わった終わった!」

「平岡っち!明日はよろしくねー!またマインするねー!」


「あーうん。また明日!」



「なぁよっしー、入野と仲いいよなー。」


「あーうん。仲、いいかな。」


「付き合ってるのー?」


「はぇ!?な、何いってるの、宝条君!?」


「だっていつも一緒にいるじゃん。」


「そ、そんなことは、ないと、思うけど!?」

「付き合って、ないよ・・・。」


「ふーん。そーなんだぁ。」


なんだそのニヤついた顔はぁー!?


「ほんじゃーまったなー、よっしー!」


「うん。またね。」


え、周りからそんな風に見られてるのか??

僕と、入野さんが??

陰キャの僕となんて釣り合わないよ。

宝条君が変なこと言うから、意識してしまうじゃないか。


はぁ。帰ろ。



ーその日の夜


ピコンッ!


あ、入野さんからマインだ。


〈よっ!〉

〈漢気スタンプ〉


〈こんばんは、入野さん。〉


〈明日、9:30に書店集合ね!〉

〈特に持ってくるものないから!〉


〈うん。わかった。〉


〈緊張してる?〉


〈いや。してない、かな。〉


〈それはしている反応だね!〉

〈漢気、大丈夫スタンプ〉

〈大丈夫!何かあったらあたしがフォローするから!〉


〈うん。ありがと。〉


〈休日も平岡っちに会えて嬉しいよん!おやすみー。〉

〈漢気、おやすみスタンプ〉


〈おやすみ。〉


ど、どういう意味なんだ!?

僕も、嬉しいんだけど・・・。

緊張して寝れるかな。


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