筋肉痛もだんだん収まってきた。
弁当を作ろうと思ったが、昨日買い出しに行くのを忘れたせいか、冷蔵庫には具材がほとんどなかった。
「しまった~。買うの忘れた。入野さんになんて説明しよう・・・。」
昨日の今日で話しかけるのが少し気まずい。
なんて話しかけようか・・・。
「あ、平岡っち、おっはよー!!」
「あ、おはよう。」
あれ、何もなかったかのようだ。
あれで嫌われたらと思うと。
それはあまり考えたくなかった。
「い、入野さん!あの、ごめん!今日、具材がなくて弁当作れなかった!ほんとにごめん!」
「そうかそうか、平岡っち、それは残念だ。だがしかし、だ!」
「そういう時こそ!購買があるのだよ!!」
「そんなどや顔で言われても。」
「購買かぁ、行ったことないな、そういえば。」
「え!?まじ!?1年以上も過ごして購買行ったことないの??」
「弁当作ってたし、僕には無縁の場所だったから。」
「それじゃ今日は平岡っち初の購買!と行こうか!にひひ!」
「購買。それは戦争なのであるからして戦なのであ~る!」
「それは同じ意味なのでは。」
「まぁーいーじゃーん!たまにはこういうのも、ね!」
「そうだね!それじゃお昼、よろしくね!」
「あたしに任せなさい!!」
ーキーンコーンカーンコーン
「よし!昼休みだ!平岡っち!行くよ!購買!」
「え、もう!?」
「早く!走るよ!」
「走るの!?」
とりあえず入野さんについていくことに。
「少し遅かったか。もう群がってやがる!」
「さっきチャイム鳴ったばっかなのにもうこんなに人いるの!?」
「平岡っち、行くよ!!」
「え!この人混みの中を!?」
手を引っ張られ群衆の中へと引きずり込まれた。
しばらくして。
「ふう。なんとか手に入った、焼きそばパン!!はい!平岡っちの分!」
「あ、ありがと~。」
「だから戦争だって言ったでしょー!」
「甘く見てました・・・。」
「わかればよろしい!さっ!いつものとこ、行こ!」
「うん!」
そしていつものベンチに。
「入野さん、いつもあの中で買ってたの??」
「そーだよー。」
「すごいね、なんか、うん。今日は助かったよ。」
「1年の頃からだかんね!もう慣れてるよー!」
「さすがだね。たまには焼きそばパン、いいね!」
「でしょー!あたしもここの焼きそばパン好きだから!」
「まっでも、一番は平岡っちの愛情たっぷりの弁当、かな!」
「ひぇ?愛情?」
「じょ、冗談だよー!にひひ!でもあたしのために作ってくれるのは嬉しいよ!」
「明日は忘れないでよー!」
「うん、絶対作ってくるよ。」
愛情たっぷりの弁当か。間違っては、ないかな。
塾の帰りに買い物して帰ろ。