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8 購買戦争


筋肉痛もだんだん収まってきた。

弁当を作ろうと思ったが、昨日買い出しに行くのを忘れたせいか、冷蔵庫には具材がほとんどなかった。

「しまった~。買うの忘れた。入野さんになんて説明しよう・・・。」


昨日の今日で話しかけるのが少し気まずい。

なんて話しかけようか・・・。


「あ、平岡っち、おっはよー!!」


「あ、おはよう。」


あれ、何もなかったかのようだ。

あれで嫌われたらと思うと。

それはあまり考えたくなかった。


「い、入野さん!あの、ごめん!今日、具材がなくて弁当作れなかった!ほんとにごめん!」


「そうかそうか、平岡っち、それは残念だ。だがしかし、だ!」

「そういう時こそ!購買があるのだよ!!」


「そんなどや顔で言われても。」

「購買かぁ、行ったことないな、そういえば。」


「え!?まじ!?1年以上も過ごして購買行ったことないの??」


「弁当作ってたし、僕には無縁の場所だったから。」


「それじゃ今日は平岡っち初の購買!と行こうか!にひひ!」

「購買。それは戦争なのであるからして戦なのであ~る!」


「それは同じ意味なのでは。」


「まぁーいーじゃーん!たまにはこういうのも、ね!」


「そうだね!それじゃお昼、よろしくね!」


「あたしに任せなさい!!」



ーキーンコーンカーンコーン



「よし!昼休みだ!平岡っち!行くよ!購買!」


「え、もう!?」


「早く!走るよ!」


「走るの!?」


とりあえず入野さんについていくことに。


「少し遅かったか。もう群がってやがる!」


「さっきチャイム鳴ったばっかなのにもうこんなに人いるの!?」


「平岡っち、行くよ!!」


「え!この人混みの中を!?」


手を引っ張られ群衆の中へと引きずり込まれた。



しばらくして。


「ふう。なんとか手に入った、焼きそばパン!!はい!平岡っちの分!」


「あ、ありがと~。」


「だから戦争だって言ったでしょー!」


「甘く見てました・・・。」


「わかればよろしい!さっ!いつものとこ、行こ!」


「うん!」



そしていつものベンチに。



「入野さん、いつもあの中で買ってたの??」


「そーだよー。」


「すごいね、なんか、うん。今日は助かったよ。」


「1年の頃からだかんね!もう慣れてるよー!」


「さすがだね。たまには焼きそばパン、いいね!」


「でしょー!あたしもここの焼きそばパン好きだから!」

「まっでも、一番は平岡っちの愛情たっぷりの弁当、かな!」


「ひぇ?愛情?」



「じょ、冗談だよー!にひひ!でもあたしのために作ってくれるのは嬉しいよ!」

「明日は忘れないでよー!」


「うん、絶対作ってくるよ。」


愛情たっぷりの弁当か。間違っては、ないかな。

塾の帰りに買い物して帰ろ。


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