「平岡っち!おはよー!」
「うん。おはよ!」
「ねね。今日の弁当、何入ってるの??」
「そ、それは、お昼のお楽しみ、ということで。」
「えーーー!!にひひ。それじゃお昼期待しとくね!」
き、期待なんて!?そんなに食べたいのか。
授業中、ふと横を見た。
え、寝てる?ふつーに寝てる。
「入野さん!起きな!怒られるよ!」
起きない。どーしたものか。それじゃあ。
「もうお昼だよー。」
「ご飯食べるー!!」
あっちゃ~。そんな大きな声で起きなくても。
「入野ー。まだお昼じゃないぞー、座れー。」
「あれ、あ、はーい。」
「平岡っち!!」
すごい形相でこっちを見てる。
「起きなかったからしょーがない。」
そんなに頬膨らませなくても。
「ごめん!ご飯いっぱいあげるから!」
「それなら許す。」
えー。ご飯あげたらいいのか。
なんか餌付けしている感じだ。
そしてお昼休み。
「はい、これ。入野さんの分。」
「やったー!ありがとー!」
「これを楽しみに今日は生きてきた。まるで数年過ごしたようだよ。」
「そんなに?言いすぎだよ。」
「うおー!めっちゃうまそー!いただきまーす!!」
「いただきます。」
「うーん、おいしー!これが毎日食べられるなんて!あたし、幸せ!」
「毎日じゃないよ。学校のある日だけだよ。」
「それでも、あたし、嬉しいよ。あたしのこと考えて作ってくれたんでしょ?」
な、何言ってるんだ!?
そりゃ入野さんの喜ぶ顔を想像しながら作ったけど!?
そんなド直球で言われると・・・
照れてしまう。
「は、早く食べな!」
「むー!スルーしたー!もう、素直じゃないんだから!」
入野さんはものすごい勢いで食べ終えた。
「ごちそう様でした!また明日もよろ~!」
「食べるのはやっ!なんかリクエストあったら言ってね。」
「え!?いいのー?それじゃーねー、ハンバーグとか!」
「うん、わかった。明日入れてくるね。」
「うそ、ほんとに!?ハンバーグ作れるのすご!!」
「平岡っちも食べ終えたね。それじゃ、膝貸してっと。」
普通に頭を僕の膝の上に!?
こっこれは、膝枕というやつか??
普通は逆だろー!?
「日差しが気持ちいいね!ねっ!平岡っち!」
こっちをそんな風に見るなぁーーー!!!
直視できない。
どういうつもりだ!?
友達でもこういうことをするものなのか??
心臓が張り裂けそうだ。
それにしても。
ーきれいだ。
ってか寝てるし。
寝たいから乗っかってきたのか。
無防備過ぎるよ、入野さん。
僕は彼女の寝顔を心底きれいだと思った。
春の風は暖かい。