昨日はめちゃくちゃ泣いてしまった。
顔合わせるのはずかしー!!
「あ、おはよー!平岡っち!」
「おはよう。え、平岡っち??」
いつの間に平岡っちになったんだ。
急に距離を詰めてくる感じ、さすが入野さん。
「い、入野さん。昨日は、その、なんというか、ありがとう。」
「いいよ!それに、」
耳元で、
「平岡っちのかわいいとこ、見られて嬉しかったし、昨日はあたしらの秘密ね!」
な、なんだーー!!
よ、弱みを握られた??嬉しかったってどういう意味だーーーー!!
「今日の昼休みもいつものとこ、行くんでしょー?一緒にいこーよ?」
「え、あ、うん。いいよ。」
か、顔が合わせられないーーー!!
絶対赤くなってる!!
「良かった!また、平岡っちの弁当食べれる!!ラッキー!」
と言うと、入野さんはいつものギャルグループのところに行った。
弁当目当てか!?そうなのか!?
授業中、集中集中と思いながらも、どこか昨日のお昼休みのことを考えてしまう。
なぜ、僕はあんなにも泣いたんだろ。
寂しかったから?初めての友達ができたから?
それもあると思う。けど、たぶん。
彼女の前だと素を出してもいいんだという、安心感。
僕は助けて欲しかった、のか。
いろいろ考えているうちにお昼休みに。
「平岡っち!いつものとこ!行こ!」
「あ、うん。」
一緒にいつものベンチに行った。
「今日も焼きそばパンなの?」
「そーだよー!これおいしいもん!」
「親は弁当作ってくれないの?」
「あー、うち、母親しかいなくて、仕事で朝早いから負担、減らしてあげたいんだよね。」
やばい。込み入ったことを聞いてしまった。
よその家庭のことなんて聞くものじゃない、けど。
「それじゃ、僕が作ってあげようか?お弁当一つも二つも変わらないし。」
「えー!いいの??まじ?ほんとにー??」
「それくらいなら。それに、昨日のお礼。お弁当でよければ、だけど・・・」
「めっちゃ嬉しい!!毎日平岡っちの弁当食べれるんだ!!」
「サイコーじゃん!!なんかカップルみたい!!」
「カ、カップル??」
「あ、じょ、冗談だよー!!へへ。」
なんで自分で言って照れてるんだ。僕の方が照れてるんだから。
顔がまた見れないじゃないか。
「好きなの、取っていいよ。」
「まじ!?今日はどれにしよーかなー!」
「よし!卵焼きとウインナーとそれからそれからー!」
「あ、あのさ、その、交換する?お弁当と焼きそばパン。」
「平岡っち、神じゃん!ほんとにいいの??」
「いいよ。いつも作りすぎて困ってたから。それに焼きそばパンもいいなって思ってたし。」
「にひひ!やったー!!それじゃ交換ね!!」
「うんまっ!やっぱ平岡っちの弁当サイコー!!」
久々にこんなに人と喋った。
入野さんといると自然と話せる。
入野さんのようなきれいな女性と僕、不釣り合いでしかない。
けど、この時間だけは一緒にいて、
ー楽しい!!
初めて学校を楽しいと思えた。
入野さんと出会って、ほんとによかった。
今日も春の日差しが心地いい。