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2 お昼休み


今日も僕の隣には、黒ギャルがいる。

今日は遅刻しなかったようだ。よかった。



それにしても、

昨日から心臓の鼓動が治っていない。

いや、むしろ悪化している。心臓が飛び出しそうだ。



あまり彼女を意識しないようにしないと。



休み時間はいつも読書をしている。

窓からの春風が心地よい。



だが今年はなんか違う!?


僕の目線は自然と目の前の文章から黒ギャルへ。

いつの間にか目で追ってしまう。



こんなのバレたら絶対気持ち悪がられる。

あまり見ないようにしよう。見ないようにしたいが、目で追ってしまう。



一体どうしたんだ僕は。



ふと黒ギャルの手に目がいった。

きれいな手だ。ギャルといえばネイルとかメイクとか。

ネイルはしてない。苦手なのかな。



「それじゃーここはぁーっと、平岡〜。平岡ー!平岡ーー!!」


「は、はい!!」


「平岡がぼーっとしてるなんて珍しいな。ここの問題解いてみろー。」


「え、えぇーっと、、、」


どこだ。どこの問題だ??


隣の席からひっそり声で、

「2の3の問題!」


「2の3の問題!?」

「あ、えぇーっと、、、a=1/2です。」


「お、おう正解。ちゃんと聞いとけよー。」


「は、はい、すみません。」



助けてくれた?っていうよりも話しかけられた!?お、お礼言わなきゃ。


「あ、あの。」


「ん?どしたの?」


「さっきは、あ、ありがとう。」


「あー、いいよいいよ、お互い様だし!」



なんだ。なんなんだ、この心臓が絞められる感覚は!?


この後も授業に集中できない僕であった。



ーキーンコーンカーンコーン



昼休み。今日はどこで食べよう。人気のないところがいいな。

中庭の桜が咲いているところは、と。

女子がいっぱいだな。


花壇のところのベンチはどうかな。

よし!誰もいない。今日はここで食べよう。


久々にここのベンチ来たな。

桜じゃないけど花は花だ。これも花見だ。うん。



「桜のとこ、めっちゃ人多いじゃ~ん!さすがにこっちのベンチは人いないっしょ!」



やばい誰か来る!?と思ったがもう遅かった。



「ありゃー、先客がいたかー。ってか隣の席の!?えーっと、平岡、そう平岡君だぁ!」



「あ、うん、どうも。」



なんで僕はこんなにも愛想がないんだ!?



「一緒食べていいかなー?おねがーい!!」



「う、うん、いいよ。」



「やったぁー!!隣座るねー!」

「ってか弁当!?おいしそー!!お母さん作ってくれたの??」



「い、いや、僕が作ったけど、、、」



「え!?まじ!?すげーじゃん!!料理できるんだね!!」



「うん、まぁそれなりに、かな。」



「なーんか1個ちょーだいよー!卵焼きとか!!」



「うん、いいよ。どうぞ。」



「え、まじ!?くれるの??やったー!! 1個もーらい!!」


「代わりにあたしの焼きそばパン、一口あげるー!」



なんなんだこの状況はぁーーーー!?

一口って食べかけじゃん!?

ん?食べかけの焼きそばパンをそのまま一口??

これは小説で読んだ間接キスというのでは??

どうする、待たせちゃいけない、早く食べなきゃ。

間接キスなんて思わなくていい、大丈夫、落ち着け、僕。



「それじゃ、一口だけ。」



「どう?ここの購買の焼きそばパン、うまいっしょ!」



「うん、おいしい。」



「でしょー!にひひ~!」



心臓がもたん。この黒ギャル、僕を殺す気なのか!?


この後、学校が終わるまで、あの焼きそばパンのことで何も考えられなくなっていた。


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