冬が終わり、春がやってきた。
通学路の木々は桃色の衣を
春の香りがする。
少し寒いけど、透き通る風と眩い日差し。
ーこの季節が、好きだ。
今日から僕は高校2年生。
そして、正面玄関に張り出されるクラス替えのボード。
そこに群がる生徒たち。
ー友達がいればあんなに楽しくできるのかな。
群れが少しずつなくなってゆく。
そろそろ見れるかな。
僕は、また、3組か。
学年は変わっても教室は変わらない。
教室に行き、自分の席を確かめる。
一番後ろの窓際の席。
同じ教室、同じ席。変わり映えのしない光景。
今年も暇な1年か。
朝のホームルームが始まった。
今年の担任は現国の
それにしても隣の席は空席か。
それは突然の出来事だった。
教室の扉が空いた。
見た光景、見た瞬間、これは、デジャブだ。
窓から、扉から光が飛び込んでくる。
ーあぁ、きれいな人だ。
ん?あれ?あの人は、、、あの時の、助けてくれた黒ギャル。
「すみま~ん、遅れちゃいました~!」
そう言えば同じ学校って言っていたか。
それにしても同じクラスだったとは。
「入学式早々遅刻する奴があるかー、とりあえず、えぇーと、あっ、窓際の空いている席だ、座れー。」
「はぁーい!」
え、えぇーーーー!僕の隣の席??ど、どういうことだ??何が起こっている??
「隣、よろしくね〜!ってあれ、どっかで見たことあるような・・・。」
「あっ、思い出した!クリスマスの時の!偶然だね!よろ~!」
は、話しかけられてしまった!?こういう時なんて答えれば??
「う、うん、よろしくお願いします。」
コミュ障なのが情けない!?
って僕のこと、覚えててくれたんだ。
近くで見るとほんとに美人だ。
あ、あの時のお礼、言わなきゃ!!
「そ、その、あの時は助かりました。ありがとうございました。」
「うん!てか、なんで敬語〜!うちら同学年だし〜タメ語でいいよ〜!にひひぃ~。」
「は、はい。」
笑った顔、なんてかわいいんだ。
やばい、鼓動が。胸の鼓動がうるさい!?
ホームルームが終わっても授業中でも、全然集中できない。
気づいたら、目が、彼女を追っている。
こんなこと、今までになかった。
なんなんだ、これは。胸の中で鼓動が、心臓が爆音で鳴ってる。
家に帰ろう。寝れば治るはず。うん、落ち着け、僕。
そして僕は、初めて塾を休んだ。