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3 クリスマスの夜に


今年も一人で過ごすクリスマス。

高校に入れば彼女でもできるかと思ったけど。


そもそも転勤続きで彼女なんてできるわけがない。

彼女以前に友達すらできていない。

高校になってやっと一人暮らしが許されたが、昔からの友達もいないし、知らない土地で友達もできるはずがない。



そんなこんなで高校1年も、もう冬だ。



そして世間は、12月25日。



世の中はキラキラした装飾と光とカップルで彩られている。



はぁ、、、もう1年、、、終わりか。



何時にも増して一段と冷える。



クリスマスってこんなに寂しいものだったか?



塾の帰り道がいつもと違ってすごく寂しい。

周りの景色が鮮やかで、、、眩しくて、、、人が多い。



あぁ、やばい、吐きそう。



急いで路地裏に逃げ込み、しゃがみこんだ。



落ち着け、落ち着け。



めまいが、、、頭の中が、、、ぐるぐるする。



しんどい、、、




「大丈夫?」



だれかに話しかけられてる?

他人に迷惑はかけられない。


「だ、大丈夫です、、、」



「大丈夫じゃないでしょ!」



顔を両手でつかまれ、強引に相手の方に顔を向けられた。


そこにはギャルがいた。しかも黒い、黒ギャルというやつか。



ーなんてきれいなんだ。



クリスマスのイルミネーションの逆光も相まって、

僕はその時、その黒ギャルのことを。



ーとてもきれいだと思った。



そのキラキラした目に、一瞬で引き込まれた。



「人混みで酔ったんでしょー?深呼吸しなー。」



背中を擦ってくれて、何回か深呼吸し落ち着いた。



「ほら、水のみな?」



「すみません、、、いただきます。」



一気に水を飲み干した。



「す、すみません、、、ありがとうございました。」



「うん、いいよー、っていうかその制服、あたしと同じ高校じゃーん!」



「何組ー?」



「えぇーっと、1年3組、です。」



「おー、タメじゃん!!あたし1組~。」



「こんな日に何してんのー?」



「塾の帰りです。」


やばい!?コミュ障なのに、めっちゃ話しかけてくる!?



「クリスマスの夜に塾ってありえないー、真面目じゃん!」



「暇で勉強しかすることなかったので。」



「そっかー。ま、気をつけて帰りなよー。」



「は、はい、、、ありがとうございました。それじゃ、失礼します。」



「うん!また学校でねー。」



黒ギャルは人混みの中へ去っていった。


同じ高校の人。あっ、名前、なんて言うんだろう。


すごくきれいな人だった。



もうしゃべることはないかもしれない。



けど、クリスマスの夜に会えてよかった。


もう1年が終わるけど今日はちょっといい日だ。



ーいや、今までで一番特別な日だ。


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