「さて、今日は前半、後半で授業をする。前半は昨日と同じく各先生について教わること、後半は模擬戦だ。君たち同士で戦ってもらう。それじゃ、始め!」
マダラスとソフィーが来て、
「今日はどうしましましょうか?」
「ソフィー、今日は昨日調べたことや気づいたことで魔法を見てやる。」
「分かりました!」
「マダラス、その後弟の様子はどう?」
「あれからすこぶる元気になって、本当にありがとうございました!」
「うん、よかった。また異変が起きたら言ってね。それで今日の前半は剣術を見てやる。」
「はい!分かりました!!」
「よし、まずはソフィー、昨日、魔力量を増やす方法をと言ったが何か分かったか?」
「幼少期から魔法の訓練をすれば徐々に増えていくようですが、私はもう20ですし。あまりわかりませんでした。」
「うん、そうだね。幼い頃から特訓していれば徐々に上がるのはもちろんだけど、他に補えるものがある。魔鉱石だ。魔鉱石は魔力を秘めているから加工すれば魔力量アップにつながると思うよ。魔鉱石についてはまた調べることにして、今日は魔法を初級からみてやる。まずは火魔法から!」
「分かりました!」
初級の5大魔法は一通りできるか。
「初級魔法は完璧なんだけど、複数出せるかな、ファイヤーボール5個とかさ。」
「やってみます!」
わお、出来てしまっている。無茶ぶりだったんだけど。
さすがドワーフといったところか、器用に何でもこなす。
「よし、じゃぁその要領で他の初級魔法も試してみて!」
「分かりました!」
「次はマダラスだね。マダラスは魔法、どこまで使えるんだい?」
「中級までは使えます!」
「それじゃとりあえず初級・中級5大魔法を適当に打ってみてくれる?」
「分かりました。」
おぉ、さすがマダラス。魔法のセンスも威力もいい。
「よし!魔法はなかなかいい感じだね。とすればやはり剣術かな。昨日の心得みたいなのは覚えていると思うけど・・・ちょっと素振りしてみてくれる?」
「はい・・・。」
「何を意識した?」
「えぇーっと、まっすぐ素早く振り下ろす、という感じですかね・・・。」
「あ、うん、まぁそうなんだけど。」
「もっと腰を入れて、体の重心が丹田、お腹の少し下らへんにあることを意識して。そして一番重要なのが、呼吸。」
「呼吸・・・ですか?」
「そう、呼吸。昨日もそうだけど剣を振っている時、呼吸してないでしょ?」
「あ、そういえば。全然気づかなかった・・・。」
「何をするにしても呼吸は大切だよ。それによって格段に上手くなるかな!」
「まぁまた素振りで試してみて。俺はまた他のところを見てくるから!」
「わ、わかりました先生!!」
さてと、そろそろかな。セリーヌのところのララ、どこまでになっているだろうか。
「セリーヌ、調子はどう?大丈夫そう?」
「それが・・・昨日からずっと魔法を打ち続けているどころか威力が増しているみたいです。」
「うん、やっぱりそうだね。魔法の威力が上がるっていうことは魔力量が上がったということだろうね。」
「え!?昨日の今日でですか??いや、まぁ。ありえなくない話ですが人間族でそんなことってあり得るんでしょうか?」
「いや、まずないだろうね。俺も人間だけど特殊だから。魔法は自然のエネルギーを取り込んで魔力の源にする。でもララを見ていれば感情も作用するみたいだね。どう思う?モンスターの君から見て?」
「確かに、少し魔法とは違う?いや、あれも魔法なんでしょうか。」
「うん、そうだね。あれも魔法なんだろうね。感情を糧にしている。あれの正しい使い方を教えないといずれ破滅するだろうね。」
「そうなんですか!?どうすれば・・・。」
「こればっかりはどうしようもないよ。感情というのはそう変わるものではないから。」
「ララ、ちょっといいかな。」
「はい・・・なんでしょう?」
「君は昨日からずっと魔法を打っているね。何か気づくことはあるかい?」
「そ、そうですね。何かわかりませんが、両親のことを思い出してました。魔法は両親から教わったので。」
「そうだったんだね。君はなぜ、スベトラーナの従者になっているか、教えてくれるかい?」
「そ、それは・・・。」
「言いたくなかったら大丈夫だよ。無理に言わなくていいからね。」
「す、すみません。」
少し様子を見てみよう。暴発しないといいけど。
「セリーヌ、もう少し様子を見てみようか。何かあったら知らせて!」
「はい!」
お次はルーナのところへ。
「ルーナ!調子は・・・あまりよくない感じだね・・・。スベトラーナが聞く耳持たなくて。」
「だって、私には必要ないですわ。もう、初級も中級も使いこなしていますもの。」
「それじゃぁスベトラーナ、俺に向かって全力で魔法を打ってこい。」
「いいですわ。」
◈結界魔法 空間5/8
5大魔法を遠慮なく打ち込むスベトラーナ。がしかし、昨日のテストはララの補助で魔力を補っていたにすぎない。威力が乏しい。まるで脱皮した蛇の抜け殻だ。
「あ、もういいよ。もうそろそろ魔力も尽きるだろうから。『解除』。」
「そ、そんなことありませんわよ!!まだやれますわ!!」
「それじゃ、無防備な俺に打ってみて。」
「そ、そんなたいした、こと。」
ファイヤーボールが俺に来る前に途絶えた。
「こんな燃えカスのどこが魔法なんだ?君は貴族だったね。なぜ、この程度の魔法しか打てないの?」
「そんなこと!知りませんわ!!」
「いや、君は分かっているはずだよ。スベトラーナ、君はなぜこの学校に来たんだ?」
「そ、それは・・・。」
「その意味をよく考えるんだ。考えても分からないのであれば、ここで探すか、家に帰った方が時間を無駄にしないよ。」
スベトラーナは実習室から出て行ってしまった。まぁあこまで言えば傷つくよな。
「ひなりさん!ちょっと言いすぎでは!!」
「言いすぎじゃないよ。俺は現実的なことを言ったんだ。それに、あぁいう人間は大嫌いだからな。」
「ひなりさん・・・。」
「それじゃ、ルディとセリンダを見ようか!」
「わかりました・・・。」