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19 授業②


生徒たちを連れ、敷地内にある実習室に来た。俺はまず結界魔法を張ることにした。


「結界魔法 空間16/16、8/8、4/4、2/2。」

「これだけ頑丈にしとけば早々壊れないだろ。8人まとめて相手するから、どんな手を使ってもいいから、俺の体に触れたら君たちの勝ちということで、それでは始め!!」


◈結界魔法 空間5/8。


一気に仕掛けてきたマダラス・フォーグナー。ファイヤーストームで目くらましからの切り込み、いい動きだ。でも単純過ぎる。


ルディ・フォン・ボアルネ。補助が魔法で基本は剣術。まっすぐな剣筋。うん、悪くない、磨けばもっと良くなる。これなら魔剣の方がいい気がするが、まぁ魔剣は早々手に入らないしね。


ギド・マテス、獣人か。リアと同じく動きが素早い上に殴り一撃一撃の攻撃が重い、が攻撃のスピードが遅いからもったいない。蹴りも使えばもっといい攻撃ができるし無駄がなくなる。


アースラン・ドロスト。魔法も剣術も洗練されている。魔法は中級くらいか、よく勉強している。剣術はまっすぐ過ぎる、もっと柔軟な動きが必要だな。


セリンダ・コルソン、またまた獣人族。剣術もと言っていたが今回は弓か。狙いが甘いのと次の装填が遅いかな。


ソフィー・ランプリング。魔法は中級か、これなら上級まで行けるかもしれないな。あとはあの魔術書、気になる。風と雷、火と地等々、術式を考えたのだろう。これは面白い。っていうか魔法の組み合わせって別に魔術書じゃなくても俺に出来るかな。俺の頭の中でイメージして・・・。今度実験してみよう。


さてこれがまた問題だ。唯一の人間族、スベトラーナ・マリフとララ・ヴァイス。ララはスベトラーナの従者なのか、スベトラーナを補助するばかりだ。一方のスベトラーナは中級5大魔法を普通に打ってくる。ララの魔力補助あってのことだろう。なんと言ったものか。


ふぅ、これで一通り生徒達の分析は終わったか。さすがに8人は多いよ、校長。

それにしても檻の中に閉じ込められてライオンやトラが多いところに放り込まれた気分だ。

でもまぁこの結界は流石に破れないか。


「はい!そこまで! 解除!」

「大体個々の能力は分かったから、これから班分けをしまーす!ルーナのところにルディ、セリンダ、スベトラーナ。セリーヌのところにララ。アルファスのところにギド、アースラン。そして俺のところにマダラス、ソフィーで。それぞれの先生の下でちゃんと教わるようーに!」


「私、ララと一緒がいいですわ!なぜ別々なのでしょうか??」


うん、分かっていたよ。あの戦い方だとこう言ってくるのは分かる。


「それでは聞くが、別々だと何か問題でもあるのか?」


「そ、それは、ララは私の従者!だから私と一緒の方がいいのです!」


「うん、学校の外ではそうかもしれない。けど今は学校の中で学ぶ場だ。そこに上下関係などない。どう知識を得るか、どう力を手に入れるか、それは君ら次第だ。他に質問はあるかな?」


ここまで言えば流石に黙るか。よしよし。


「それじゃそれぞれ集まって教わってくれ!マダラス、ソフィーこっちへ。」


ということで流石に俺一人だけでは8人は捌けないのでチーム分けをした。

もちろん3人には言ってないのでルーナとセリーヌにはすごい目で睨まれた。

アルファスはいつだって寛大だ。うん!頼もしい!

と考えているうちに2人が集まった。


「ソフィーはよく勉強しているね、上級魔法も使える程度には。でも君の魔力量では足りないからそこを考えること。それから、魔法・魔術を組み合わせてのさっきの動きはなかなかによかった。これからも魔術の研究をするといいよ。それによってはより便利な魔道具も作れるかもしれないからね!」


「はい!わ、わかり、ました。ありがとう、ございます!」


「ここには図書館もあるのかい?」


「あると、思い、ます。」


「じゃぁいろいろ調べてみるといいよ。」


「わかり、ました。」


「そしてマダラス。君は魔法も剣術も優れているしそれを自分のものにすれば自在に体も反応してくれるだろう。がしかし、基礎がなっていない。急がなくていいから、しっかり基礎を固めるように。」


「でも俺には時間が・・・。」


「境遇はどうであれここは学ぶ場だ。弟さんのことだろ。大丈夫、焦ることはない。夕方、時間はある?」


「はい、あります・・・。」


「君の家に寄らせてもらってもいい?」


「弟を見てくれるんですか??」


「そうだけど、治せるかは見てみないと分からないよ。今はこの時間に集中すること。わかったかい?」


「分かりました・・・。」


「よし!それじゃ素振り千回、終わったら1万回ね!終わったら呼んでね!素振りをする意味をよく考えながらすること。いいね?」


「す、素振り!?意味か・・・わ、分かりました。」


よし、これで自主練で自由だ!決してサボりではない!サボってなどいない!!

他のチームの様子を見てみよう。


ルーナのところはルディ、セリンダ、スベトラーナか。

ルディは基本剣術で補助的に魔法を使っていたか。魔法もルーナに教われば向上するだろう。そしてセリンダ。弓を使っていたからルーナのところに入れたのだが、魔法の素質もあるようだな。

それでスベトラーナ、魔法のセンスはいいのだがそれだけだ。やはり人間族だからなのだろうか。


「ルーナ!後でセリンダに弓を教えてやるといい!それとルディ、剣術は後で見るからそのつもりで!」


「分かりましたー!」「はい・・・。」


さて次はセリーヌのところだ。ララか、スベトラーナの従者だったか。あえて一人だけにさせてみたのだが。


「セリーヌ、どう?調子は。」


「んー、そうだな。ララ、魔力がなくなるまで魔法を打ってみてくれる?」


「は、はい、わかりました・・・。」


「どういうことですか??」


「まぁ見てて。いずれ分かると思うよ。魔力が枯れて倒れたら教えてくれる?」


「はぁ、分かりました・・・。」


次はアルファスのところか。ギドとアースラン、2人ともなかなか筋がいい。

ギドは獣人族だから一度、リアと戦わせてみたい。いい刺激になるかもしれない。

そしてアースラン、動きに無駄がないし、剣術も魔法も手慣れている。


「アースラン、君は何かしていたのかい?冒険者とか?」


「あ、いえ!両親から教わりました!父には剣術を、母には魔法を、両親は冒険者だったので!」


「あぁなるほど!そういうことか。親にみっちり鍛えられたというわけか。感謝だな!」


「はい!ありがとうございます!!」


「でも、その武器は正義にもなるし悪にもなれる。強さと弱さは紙一重だ。使い方は君次第だよ。」


「はい!!ありがとうございます!!」


分かってるのかな・・・。純粋とは恐ろしいものだ。

と俺が言えた義理じゃないな。


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