「灯生様。朝でございます。起きてくださいまし。」
「もうちょっと寝かせてよ~。」
「灯生様。朝食の準備が出来ております。」
その声で目覚めたと同時に、その銀髪のメイドさんの顔の近さに驚いた。
流石に2度目のこの顔の近さで、目が覚めないわけがない。
「わ、わかった。起きるから・・・近いよ・・・。」
「すみません。私距離感が掴めなくて・・・。」
「そういえば君の名前は?」
「私ですか?私は、ロータス・ベルテロッティと申します。ロータスとお呼びください。」
「うん。わかった、ロータス。ち、近いんだけど・・・。」
「すみません。お着替え、お手伝いいたしましょうか。」
「だ、大丈夫だから!?準備するからドアの外で待ってて!!」
「分かりました。」
ふぅ。距離が近いというか、そういう問題でないような気もするけど。
朝起きたら美人の顔が目の前にあったら一気に目覚めるじゃないか。
いろんな意味で元気になる。俺は朝から何を考えているんだ・・・。
「待たせてごめんね。それじゃ行こうか。」
「はい。ご案内いたします。」
ロータスに案内されいつもの食卓に。
ルーナとリアがいない。寝ているのだろうか。
「ちょっとルーナとリアの様子も見に行ってくるよ。あいつら朝弱いから。」
「いえ。それは私の役目ですので。」
「あの2人を起こすのは苦労するんだよ。俺も行くよ。」
「分かりました・・・。」
2人を起こしに部屋に向かうと。
案の定爆睡している。これを叩き起こさなければ・・・あぁ骨が折れる。
「2人とも早く起きなさい!」
「んにゃんにゃ・・・まだ眠たいにゃ~。」
「私もまだねみゅいです~灯生さんも一緒に~」
と強引にベッドに引っ張られ、久々の2人からの濃厚なキス。
あぁやばい、俺もこの快楽に引きずり込まれる・・・。
さっき納まったばかりなのにまた元気になるじゃないか。
あぁ・・・だめだ!朝からこんなのけしからん!!
「こら!2人とも朝だぞ!起きるんだ!それに朝からお盛んになるんじゃない!!」
「起きないと首根っこ掴んで行くけど!」
「わかったにゃ起きるにゃ~。」
「たまにはいいじゃないですか〜!わかりましたよ~、起きます~。」
「よろしい!外に出てるから、準備したら出てくるんだぞ!また寝たら怒るからなー!」
「はーい!」「わかったにゃ~。」
ベッドから起き上がり気づいた。ロータスにがん見されていた。すっごい見てる。
し、しまったぁ、ど、どう説明すればよいか。
「ロータス!とりあえずドアの外に出ていようか・・・。」
「わかりました。」
外に出たはいいが、き、気まずい!?
すっごいガン見していた!あんなところ見られて戸惑っているだろうし、あぁ、なんて言えばいいか。
「ロータスさん、さっきのはほんの朝の挨拶というか、スキンシップというか、あんなとこ見せちゃってごめん!!」
「朝の挨拶ですか・・・それでは。」
え・・・な、何をしてるんだこの美女は!?
か、絡みついてくる!!急すぎて状況が・・・。なんでこうなっているんだ!?
「ロータス!?な、何してるのかな??」
「灯生様がさっきのあれを朝の挨拶だと仰いていましたので、私も粗相のないように朝の挨拶を、と。」
「そ、そうは言ったけど・・・あれは、そういう意味じゃなくて・・・。」
「それでは・・・どういう意味でしょうか?」
「そ、それは・・・とりあえず朝の挨拶はもう・・・大丈夫・・・だから・・・。」
「かしこまりました。」
はぁ、ようやく離してくれた。案外力が強い。
「用意できたにゃ!さー行くにゃ~!」
「2人ともどうしたのですか??」
「どうもしてないよ!さっ、行こうか!」
どういうつもりなんだこの美人メイドさんは!?
みんなにあれをしてるんじゃないだろうな・・・なんというか、朝から疲れた・・・。
2人を連れて朝食へ。今日の予定を共有した。
「ルーナとセリーヌは俺と一緒に昨日もらった魔法書の実践ね。アーロとリアは・・・。」
「僕はポナドじぃの鍛冶場に行くよ!兄ちゃんの武器を作らないとね!」
「リアもおじさんのとこで特訓にゃ!」
「わかった!それじゃ、朝食が終わったらルーナとセリーヌは俺についてきてね!」
ー朝食後。
俺は2人を連れて庭に出た。
「2人とも魔法書は読んだかい?」
「いやぁ流石にまだ読み切れてません!」
「私もです!」
「それじゃ2人にスキルを付与するから、その後読んで見て!」
スキル『即解』を2人に付与。
「それじゃ読んで見て!たぶん10分もあれば読み終えるだろ。」
「そ、そんなわけ・・・あれ、パラパラ読める!?」
「何言ってるんですかルーナ!そんな早く読めるわけ・・・読める!?読めます!!」
「終わったら俺に渡してね~、俺も読むから~。」
「ひなりさんも読んでなかったのですか!?」
「まぁいろいろと忙しくてね・・・。」
こんないい天気に庭で読書、それはもうお茶会ならぬ読書会に化していた。
ー読書し出して30分後。
「2人とも読み終えたね。それじゃ今から実践といこうか。」
「実践・・・ですか?」
「こんなところで魔法を使ったらめちゃくちゃになりますよ。」
「まぁまぁ見てて。」
結界魔法 空間4/4。
「これは!?結界ですか!?」
「うん、そうだよ!ここでなら魔法も打ち放題!そう簡単には壊れないから!」
『禁忌録』の中にこの魔法があってよかった。まさかこんな形で使用することになるとは・・・。
「2人とも背中で支えているから、覚えたての上級魔法、ありったけ打ってみて!!」
まだ体が慣れていないから魔力中毒を起こす危険性がある。背中から俺の魔力を注入して補う。
5大魔法を中心に打ち続け、セリーヌは闇魔法も。
2人の魔法打ちを始めて10分後、結界が壊れそうなので一旦休憩にした。
「2人とも大丈夫?」
「いや、もう、へとへとです~。」
「私も流石にきついです・・・。」
「じゃちょっと休憩しといて~。俺はちょっと練習してくるー!」
結界魔法 空間16/16、8/8、4/4、2/2。
これだけ結界を貼っておけば大丈夫だろ。
よし、始めるか!
俺は魔力が枯渇することなく魔法を打ち続け、気付けば夕方になっていた。
「ひなりさーん!夕食だそうですよー!」
「あー、うん!わかったー!もう終わるよー!」
今日はこんなところかな。最上級魔法はさすが広範囲のものが多かったのか発動しなかった。
しかし、雷魔法は習得できたしこれはこれでよしとするか!
さて、夕食に向かおう。
食卓にはみんな揃っていた。すぐ席について乾杯をした。
「アーロ、武器の進捗はどうだい?」
「兄ちゃんの武器だからもう少しかかるよ!楽しみにしてて!」
「わかった!リアは?調子はどう?」
「あのおじさん強いにゃ~、今日も勝てなかったにゃ~!」
「はは!タンリックはあー見えて元Sランク冒険者ですからね!」
「タンリックから聞きましたよ。灯生様、勝ったんでしょう?」
「いや、まぁ、勝ちましたけど、かなり強かったですよ。」
「そうでしょうとも!がしかし、あのタンリックが負けるとはなかなか珍しい。流石です!灯生様!」
「いやぁ、どうもです・・・。」
夕食も食べ終え寝室に。久々に今日はゆっくり過ごせた1日だった。
明日から学校かぁ、なんか生徒を教えるのは不安だな。
ちゃんと先生できるだろうか。まぁ考えても仕方ないか。そろそろもう寝よう。