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13 校長室①


壁を通り抜けるとそこは部屋になっていた。

そこにはネルビアによく似た校長と思わしき人がいた。

が、部屋は書類で散らかっており、校長は何かを探しているようで、こちらに気づいていない。


「あ、あの・・・。」


「あれ~。あの書類はどこに置いたか。あれ、ここでもない。たしかここだ、違うこの書類じゃない。」


「あのー。すみませーん。」


「昨日はここに置いたのに。おかしいな。床に落ちたか?これも違う。これか、違う。」


書類探しで全くこちらに気づかない。しょうがないから大声を出した。


「あのー!!すみませーん!!!」


「はひ!?あれ?どちらさん??」


「あの、ネルビアさんに案内されてきた灯生と申します。こっちの2人はルーナとセリーヌです。」


「あ、あー!君があの!!ようこそ来てくれたね!兄弟たちからよく聞いているよ!!すまないね、こんな散らかった部屋で、片付けが苦手で!」


そのようだ。机には書類の山に、床にはいろんな書類や本が散らばっている。

それにしても怖いイメージだったんだけど・・・このギャップは、なんというか能天気というか・・・。


「どうぞ、ソファーへ座って!今紅茶を入れるからね!」


俺たちはかろうじて書類のないソファーへと座り紅茶をいただいた。


「3人ともごめんね~。改めまして私がこのサリヴァン魔術学校の校長、サルビア・ミンチェスターです。よろしくね~!!」


「こちらこそ屋敷でもお世話になり、いろいろとありがとうございます!よろしくお願いします!」


なんだろう。あの兄弟たちがしっかりしすぎているせいだろうか。いや、このサルビア校長が少し抜けているだけだろうか・・・。


「入学の手続きだね!といっても灯生君に教えることはないと思うんだがね・・・。僕より魔法も魔力量もかなりのものだし!どうだろう、先生としてここの生徒に教えるというのは!!」


「いやぁ、魔力量はよくわかりませんが魔法は中級魔法までしか分かりませんよ!?」


「それでいいよ!ここでは中級魔法までしか教えてないからね!5大魔法は使えるよね?」


「使えるのは、火・水・地・風それに治癒魔法と闇魔法ですが・・・。」


「闇魔法はセリーヌ君といったか、ラミアの君が教えたんだね!うんうん!いいねぇ!」

「それに4種と治癒魔法はハイエルフのルーナ君が教えたんだね!素晴らしいよ!」


2人はとっさに臨戦態勢を取った。緊張感が走る。


「なぜそれを知っているのですか?」


「うーん・・・魔力量だったりその種族の雰囲気だったり感覚で分かる感じだね!!」

「ミンチェスター家の者は分かっているはずだけど・・・。人間族に紛れるには隠すのは当たり前だからね、私たちのように。それに他種族でもモンスターでも魔人族には関係ないよ。特に僕はそこにこだわりはないからね。友好的でいい魔力を持っているのは目に見えて分かるから、ね!!」


「あぁそうだったんですね!びっくりしましたよ。2人とも大丈夫だよ。殺気を抑えて座って。」


「はいー。」


「私はハーフエルフです!」


「わおー!そうだったのかい、すまない。ハイエルフにどことなく似ているけど違うなぁと思いつつ。それじゃ森では厄介払いされていただろう。大変だったね。」


さっきのことといい、察しがよすぎるこの校長。悪い人ではないだろうが。


「サルビア校長にはお見通しのようですね。魔法はこの2人から教えてもらいました。」


「うんうん!いいね!あ、そうだ!4種だけだったね!5大魔法っていうのは火・水・地・風・雷の5つなんだよ。雷魔法はまだなんだね!それじゃ、ちょっと待ってねー。」


というと、あちこち本棚を漁りだした。


「あれー、ここに置いていたはずなんだけどなぁ。こっちかなー、ここは歴史書だ。こっちは・・・あぁあった!あ、それとあれとこれと・・・。」


しばらくして数冊の本を持ってきた。


「ごめんごめん!これが雷魔法の本で最上級魔法のものまで記載してある。あと他に火・水・地・風の最上級魔法まで書かれている本を見繕っていたよ。君ならすぐ読めて使えるだろうから、ね!」


「さ、最上級魔法!?こんな貴重な本、読ませてもらっていいのですか!?」


「いいのさ!どうせ僕には読んでも使えない、僕は上級魔法までしか使えないし、最上級魔法を使えるそれだけの魔力量を保持していないからね。ルーナ君やセリーヌ君は上級魔法まで使用出来ると思うよ。」


「そうなんですね!!それでは遠慮なく読まさせていただきます!!」


「あ、それからルーナ君!君は精霊が見えるね?ここにも精霊がいるでしょう?」


「はい、見えますしここにも光と花の精霊が少しいますね。」


「うんうん!そんな君には精霊魔法の本を!上手く使えば精霊が力を貸してくれると思うよ!」


「そうなのですか!?あ、ありがとうございます!!」


「どうだろう灯生君。1日猶予をあげるから全てマスターしてここで教えてみないかい?」


「あ、いえ・・・本を読む時間させあればすぐ使用できるので1日もいらないですが・・・。」


「え!?そうなの!?それはなんというか・・・まぁいいや、考えるだけ無駄か。でも生徒選抜するのに時間がかかるから1日待ってほしいんだけど・・・。」


「あぁ!そういうことであれば構いませんよ!」


「ふぅ、助かったぁ。ありがとう!それでは明後日からよろしく頼むよ!!」


「はい!こちらこそよろしくお願いします!!」


「あぁ、そういえば帰りはどうするかね?ネルビアを呼ぶか・・・。」


「あ、いえ、大丈夫です!お構いなく!」


テレポート!3人をミンチェスター邸まで。


「え!?き、消えた!?これはあれなのか、転移魔法か!?まさか・・・初めて見た!?」


俺たち3人は屋敷に戻った。


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