ネルビアに案内され屋敷の奥へと進む。
それにしても大きな屋敷だ。
なんだろう。この廊下に並んでいる肖像画たちは。みんなよく似ている。
よく似ているが、どこかみんなちょっと違う。
どんな家族なんだ、この一家は・・・。
それにしても屋敷のいたるところに魔術が施されている。
これは結界魔法か?
「こちらへ、どうぞ。」
応接室へと連れていかれみんなが席に着いた。
「それでは改めまして、ようこそおいでくださいました皆様。」
「私はここミンチェスター家の長男、ネルビア・ミンチェスターです。父が本当は挨拶する予定だったのですが急な学会が入ったものですから。父には明日会っていただきます。」
「学会ということはお父上は学校関連のお仕事ですか?」
「はい!校長をしております!」
「え!?あぁそうだったのですね!」
俺は以前から気になっていることを聞いてみた。
「それでミンチェスター家の方々は人間族ではないですね?」
「え!?そうなの?」「オリビアもセルビアも人間じゃないにゃ??」
「おぉ!!分かっておられたのですか灯生様!!」
「仰る通り、私どもは人間族ではございません。魔人族でございます。」
「ということは、王国との外交を仕切っているのもミンチェスター家、ということですか?」
「そういうことでござます!私どもの後ろには魔人国がございますから。」
「つまりここは王国の抑止力になっているいうことですか。」
「灯生様にはお見通しなのですね!人間族と魔人国との防衛線がここ、魔法公国 サリヴァンなのです。」
「なるほど。ところで、この屋敷に施されている魔術は結界魔法ですか?」
「おぉ!そこまでお分かりとは!?左様でございます!町のあちこちにも施しております。人間族がいつ戦争を仕掛けてくるか分かりませんから。」
「だから各都市にミンチェスター家の兄弟を配置しているのですか。そのことは王国には?」
「もちろん知られておりません。認識阻害の魔法で角も魔力も隠しておりますから、そうそうバレないでしょう。」
「なるほど、わかりました。あの、すみません、初歩的な質問なのですが・・・。」
「はい?なんでしょう?」
「魔人ってなんなんですか?」
「あぁ、魔人というのは、かつて魔族と人間族の間にできた種族です。人間族が魔法を求めた結果が魔人族ということなのです。ですが、過去には、人間族による魔人狩りもありました。ですから私たちは魔法戦争を仕掛けない代わりにここに魔法公国という防衛線を張り、魔人族を守ってきたのです。」
「そうでしたか・・・。それはなんというか、ひどい歴史ですね・・・。」
「はい。ですから人間を憎み恐れているものもいます。ですが、外交を結んでいる以上、人間には手を出せません。そればかりか、魔術学校に来る人間もいます。外交上しょうがないのです。」
「お力になれることがあれば協力しますよ。ね!みんな!」
「そうです!」「大丈夫にゃ~!」「任せてください!」「僕も手伝うよ!」
「みなさん・・・ありがとうございます!!!!!」
「な、泣かないでください〜!!それで明日からは・・・」
「灯生様とルーナ様、セリーヌ様は魔術学校に。アーロ様はうちの鍛冶職人のポナドじぃを紹介します。ドワーフなので気が合うと思いますよ!それからリア様は私の友人で訓練場で教官をしているタンリックを紹介します。いかがでしょうか?」
「俺は大丈夫だ!みんなは?」
みんな大丈夫みたいだ!目がキラキラしている。やる気十分だ!
「うん、よろしくお願いします!!」
「わかりました!!それでは今日はゆっくり過ごしてください!部屋まで案内させますね!」
この後、メイドさんに部屋まで案内され、ふかふかのベッドにダイビング。
っていうかメイドさん、初めて見たなぁ。前世の世界でもメイドカフェというものがあったが行ったことはなかった。
ここは現実!生メイドさんだ!さっきの人、きれいな銀髪美少女だったなぁ。
そんなことを思いながらうとうと眠ってしまった。
「あ、あの。」
「灯生様。あの。夕食のお時間です。」
「灯生様。起きてください。」
俺はその声で目が覚めた。さっきのメイドさんか。
「あ!ご、ごめんなさい!いつの間にか寝ていました・・・。」
「夕食のお時間です。ご案内いたします。」
「あ、うん。よろしく・・・。」
き、きれいだ~、サラサラの銀髪にルビーのような赤い瞳。筋肉も少しあるのか。
お、俺は何を考えているんだ!!!!!!!
初めて見る生メイドさんだからと言ってあんまりじろじろ見るものじゃない!!!
がしかし。が!しかしだ!!
こんなに美人だと見とれてしまうのもしょうがない。
そうしょうがないのだ!!
「あ、あの。どうかなされましたか?」
「い!いえ!なんでもありません!!」
夕食の間へと案内され行くとみんな揃っていた。
「遅いよ!ご主人様!!」
「ひなりさん座ってください~早くこのお酒飲みたいですー!!」
「ルーナさん!お邪魔してるんですからほどほどにしてください!」
「兄ちゃん、隣ここだよ!」
「みんなごめん~。寝ちゃってたみたい!」
「それではみなさん揃ったことですし、私たちのこの出会いに乾杯!!」
「かんぱ~い!!」
夕食は前世でも食べたことのないような高級なものばかりだった。
ワインもドワーフの宿場町に飲んだものに劣らずなかなかうまい!!
この世界に来てちゃんとした家で食べるご飯は初めてで、これはこれでいいものだと思った。
明日からもがんばれそうだ!!