「おぉ~い、、、おぉ~い、、、」
誰かが呼んでいる。
「おぉ~い、、、起きなされ、、、」
その呼びかけに、俺は少しずつ目を開いた。
「やっと起きたかのぉ、、、ほれ、ちゃんと目を覚まさんかい!」
と言われ、頭に棒のようなもので突っつかれた。
目をはっきり開けると、そこには老人が立っていた。
それも、白髪白髭の紫の着物を着た老人が。
「ここは、、、? あなたは、、、?」
見渡すと、月の光が差し込む、夜のような場所だった。
実際、月などない。が、夜という感じがした。
そして、本がびっしり並べられた変な空間だ。
「わしは、、、ふむ、うぅ〜ん、、お主の言うところの神、じゃのう。」
「神、というと、ちと語弊があるが、まぁそれでよいわい」
「それでお主、記憶はあるかのぉ、、、生前の記憶じゃぁ」
生前、、、?あれ、俺は、、、死んだ、、、よな、、、自分の手で自分を殺した。
はっきり記憶にある、あの地獄のような日々の、忘れたい記憶。
「あぁ、覚えてるよ、俺は死んだ、、、自害した。」
「なのに、、、なぜ、、、体が動く?声が出せる?」
「どういうことだ、、、じぃさん、何か知っているのか?」
「それに、ここはどこだ?なぜ、なぜ俺は生きているんだっ!!!」
「まぁ、落ち着くのじゃ、お主はもう死んどるし、ここは魂の逝き着く場所じゃ。」
「まぁ、お主の言うところの、天国?か、地獄?と、言ったものじゃのう。」
「そんな大それたところではないがの。」
「死んどるから体も動かせるし声も出る、わかったかの?」
じ、地獄、、、俺はあの地獄のような世界からまた地獄へやってきたのか。
自害しても希望はなかったのか、、、なんてざまだ、、、
でも、、、この空間が魂の行きつく場所だとこのじぃさんは言った。
どういうことだ?
ふと疑問に思った。
「なぁ、じぃさん、俺は死んで魂がここに来たって。元の、あの世界で、普通は生まれ変わるんじゃないのか。なぜ、俺だけ?魂としてここにいるんだ?俺は消滅するのか?生まれ変われないのか?もっといい人生に、もっと自由に生きたかったのに、、、」
「まぁまぁ落ち着け、少年。」
「それに、わしはじぃさんじゃ~ない、わしの名は、『
「ここの管理者じゃ、まぁ呼び名は何でもよい、神でも名前でも好きに呼ぶがよい。」
「それにしても、ここに人を呼ぶのは久方ぶりじゃのぉ〜!!」
「で、じゃぁ。お主がここにいるのは、わしが呼んだからじゃ。」
「お主、人生をやり直したくはないかのぉ?」
桜宮蔵之介、日本人なのか、、、いや、そんなことより。
「蔵之介さん!人生を、またやり直せるのですか!?」
「いや、、、でも、あの人生はもう二度と嫌です、、、あの人生は、もうやり直したくありません。」
「あぁ〜違う違う、もう生きた人生はやり直せぬ。」
「言い方が悪かったのう、転生するか、ということを聞きたかったんじゃ。」
「生まれ変わるのじゃ、違う人生、幸ある人生に。」
「俺なんかが生まれ変わっても、、、こんな醜くて何も取り柄もない俺が幸せになれるなんて、、、」
「ふむ、お主は気づいておらんのぉ、、、魂には色がでる。」
「あるものは光り輝く金に、あるものは偽りを纏いし暗黒に、そしてあるものは何者にも束縛されない白に。」
「さて、お主の魂の色は何色かわかるかの?」
「俺は、、、壊れたガラクタのような感情のない汚れて醜い色、、、だと思います。」
「ふむ、、、お主は自身をそんな風に見ておるのかのぉ。」
「お主の色ははなぁ、7色あるのぉ、そんなにも色を持っている者はあまりおらんわい。」
「普通は1色じゃ、7色持っておるのには何か意味があるんじゃろうが、まぁその意味は後々でよい。」
魂の色ってなんだ?意味が分からない。
「魂の色?7色ある?それってどういう?」
「意味は後々わかる。さて、ひとまず7色の色を教えるかの。」
「これはよく覚えておくのじゃ。いいかのぉ。」
「
「そして、、わしからの土産じゃ、この色を授けよう、持っていくがよい。」
「その色は、
「これら8色の意味はおのずとわかる、そしてわしがお主をここに呼び出しのには転生させるのともう一つ理由があってなぁ、、、うぅ~ん、、、」
聞いたことのない色の名前だらけだ、、、どんな色なんだろう、、、
そして何か言い渋ってているようだ、なんだろう、、、
「なんですか?取引?というわけですか?」
「まぁ、、、そうなるかのっ、、、ふむ、、、怒らんかの?」
「怒りませんよ、もう俺死んでるんだし、、、」
「魂の色?というのはよくわかりませんが、失うものも何もありませんから、、、」
「そうかのそうかの!よかったよかった!それでは言うかのぉ。」
「お主を呼び出したもう一つの理由、、、それは、、、」
「転生した後、お主がそこで死を迎えた時じゃ、わしの後任をしてほしいんじゃ。」
「蔵之介さんの後任!?」
「それは神?というかここの管理者?になるってことですか?」
「まぁ、、、そういうことじゃ、、、なぁ〜に、そんな難しい仕事ではない。」
「仕事内容はまだ秘密じゃがの。その、言えぬ決まりでの。」
「お主が転生後に死んだ後じゃ、その時にここの後任になってほしいのじゃよ。」
「お主は自覚していないようだがお主の魂はかなり珍しい。よい意味でじゃ。」
「だからここの後任に適していると思ったからなんじゃよ。」
「どうかの、、、頼まれてくれるかのぉ、、、」
転生後の死後、か。そんな未来のことなんて、、、でも、、、
ここの仕事?はよくわからないが、転生して幸せになれるんだったら、有りなのかもしれない。
最後の最後に少し希望を抱いてもいいかな。
「わかった、蔵之介さん。転生してそこで死んだ後、蔵之介さんの後任になります!転生もさせてくれることだし。」
「よくぞ言った少年よ!それじゃ契約じゃな。」
と言うと、蔵之介さんは
「そぉ~れっ!」 「パンッ」
「よかった!よかった!これで一安心じゃわい!これで契約は成立したの!」
「え、契約って!何かしたんですか!?」
「ちと印をつけた。首の裏じゃ、そこにわしの桜印をつけた。」
「まぁそんなに目立つものではないわい。」
「あっちでおっちんでも魂はここに戻ってこれるようにじゃ。
魂になったら彷徨いやすいのじゃよ。」
「はぁ、、、びっくりしました、、、変な事されるのかと、、、」
「そんなことはせぬわい。お主は大事なわしの後任じゃからのぉ。」
「それじゃぁ、これからのことを話すかの。」
「転生先なんじゃが、元の世界とちと違う世界での。」
「その説明はと、、、ふむ、、、彼に任せるとするかの。」
「彼って、、、?」
またもや、蔵之介さんは柏手を一つ叩いた。
「ふん、そぉ~れっ!」 「パンッ」
と、その瞬間、扉がぽんっ!と現れた。
それも、ただの扉じゃない、何か知らない動物や植物が彫刻されている重々しい扉。
「え!?どこから湧いたんだこの扉!?」
「まぁ落ち着くのじゃ。あの扉の向こう側が転生後の世界じゃ。ここと同じような空間がある。」
「そこにいる管理者に転生後について聞くがよい。」
「それではわしの役目はここでお役御免じゃ、扉に進むがよい。」
管理者って蔵之介さんだけじゃないのか?謎だらけだ、、、
まぁ、考えるだけ無駄か。扉に向かおう。
「少しの時間でしたが、その、ありがとうございました。」
と言って、俺は扉へ進もうとした。
「あ、まてまて、お主の名を聞いておらんかったの、名はなんというのじゃ?」
「名前ですか?俺の名前は、ひなり、『
「また会いましょう!蔵之介さん!」
「籠本 灯生かぁ、、、よい名じゃ!!達者での!籠本 灯生よっ!!」
そして、俺は扉の奥へと足を進めた。