伊藤博文は中国を手に入れたことで、小躍りしていた。これで、大日本帝国の領土は北中米、インド、インドネシア、オーストラリア、中国となった。つまり、アジアを全体を手にしたのだ。
一方、アフリカでの戦闘はフランスの勝利で終わった。つまり、イギリスは母国以外の土地を失ったことになる。伊藤博文は満足していた。同盟を裏切ったイギリスの末路に。
あとは、南アメリカをどうするかになった。あそこは、スペインとポルトガルの植民地になっている。攻め入るとすれば、メキシコからになるだろう。
ただし、スペインとポルトガルが組めば一筋縄ではいかないだろう。こちらはフランスと共同戦線となるはずだ。果たして、今の大日本帝国に戦うだけの財力はあるのだろうか。これは、大久保利通に聞くしかない。
大久保利通を呼び出すと、早速本題に入る。
「それで、どうなんだ? 経済を立て直す作戦はあるか?」
大久保利通は「これは困った」という表情をしていた。
「今回ばかりはお手上げです。まずは、南アメリカをフランスと分割します。そして、我が国がもらった部分に金鉱などがあるかに賭けるしかありません」
運要素しかない。伊藤博文はそう思った。もっと確実な方法はないだろうか。
「例えばだが、新兵器を開発して、こちらの方がフランスよりも戦果をあげたら、もらえる領土が増えるだろう。それならどうだ? 金鉱などの運要素ではなく、領土を広げることで現地人から税金などで金銭を搾取する、という考えは」
「しかし、それだと新兵器を作る際に先行投資をする必要があります。もし、思ったように戦果があげられない場合、もしくはフランスが譲歩しなかった場合も考えなければなりません。不確定要素が多いです。そもそも、新兵器が短期間で作れるとは思えません」
「それは大丈夫だ。アメリカのライト兄弟が『飛行機』というものを作った。今まで、空からの攻撃といえば『飛行船』しかなかったが、『飛行機』はより小回りがきくらしい。高度も自在に操れる。もし、先行投資が失敗しても、大丈夫だ。フランスを裏切って、無理矢理にでも領土を増やせばいい。まあ、とにかく、どっちに転んでもいい。大日本帝国さえ栄えればな」
伊藤博文は邪悪な笑みを浮かべて言った。