シャリルは人肉をひょいと一つ摘まみ上げ、それを口に運んでパクっと噛んだ。
「あぁん、お~~いひぃ~~ん、はむっはむっ! 『ゴクリ』ふぅ~~」
シャリルは赤々とした生の人肉を、アレリオに見せつけながら美味しそうに食べる。
「シャル、やめろっ! そんなもの食うなっ! やめろっ!? 見せつけないでくれっ!!」
アレリオは彼女から顔を背け、苦しそうに頭を押さえながら叫ぶ。
そして、頭や身体を激しく振るう。
「ふふっ♥ 本当は食べたいんでしょう? だから私が食べているところを見たくないんでしょ」
「違っムッ?!」
シャリルは素早く両手でアレリオの頬をがっしりと押さえつける。
次に彼の口を自らの青い唇を重ねて塞ぐ。
それから彼女は、直ぐにアレリオの口の中にドロリとした物を押し込む。
それは、血と肉との唾液の混ざったグチャグチャとした肉塊だ。
それを流し込み、舌を使い喉の奥へ落とす。
「むぅっんっ・・・んんっ! むんっ」
シャリルは人肉液を、アレリオの喉奥に流し終え。
私の勝ちよと言わんばかりに笑い狂う。
「『ちゅっ』ぷはっ!! ふふふっあははっ飲んじゃったわねっ! アレリオ♥」
「なんて物を飲ませっ・・・うっぐうっ」
アレリオはもがき苦しみ、膝を地面に付く。
それから、彼は苦しそうに呻きながら、喉元に右手を当て。
左手を、邪悪な笑みを浮かべるシャリルに伸ばす。
彼はどうしようもない飢餓感と喉の渇きに苦しむ。
そして、人肉と血液への欲求を欲する。
「シャルたっ! 頼む! 喉が渇く・・・んだ・・・」
「ふぅん、じゃあはいっ! これを」
助けを求めたアレリオに対し。
今度は意地悪をする事なく、シャリルは、彼に水筒を差し出す。
「『ゴクリッゴクッ』ぷあっ! これは血じゃないぞっ! 水じゃないかかっ!」
「そうよ、だって人間の血液は飲みたくないんでしょ」
水筒の中身がただの水であった事に抗議するアレリオ。
そんな彼に対して、シャリルはニコッと悪戯っ子のように薄ら笑いを浮かべる。
「渇きを抑えるには、どうすればいいか分かっているわよねぇ~~?」
シャリルは、またもや邪悪な笑顔でアレリオが困るように意地の悪い質問をする。
「別に良いのよ、欲しくないのならねっ!」
「ア・・・ウゥ? シャ・・・ル・・・頼っ!?」
人肉を食べたいと言う欲求に耐えきれず、苦し気に頼み込むアレリオ。
彼に、シャリルは彼の口に人指し指を当てる。
「良いわっ! 全部言わなくても分かっているわ、ほらっ? これを」
シャリルはそう言うと、人肉を人切れ小袋から出す。
アレリオはそれを受け取るとすごい勢いで貪る。
「ウマイッ・・・ウマイッ・・・ウマイッ・・・もット食イタい・肉・肉・肉・肉・ニクゥッ・ニクゥッ・・・ニクウゥゥゥッ・・・ヴおォォぉォおうゥッ」
アレリオは
彼の人間としての理性や精神は、ダムが決壊するように、遂に崩壊してしまったのだ。
「はあ~~やっと理性と心が壊れて墜ちてくれたのねっ? クスッ♥ それにしてもよっ~~ぽど美味しかったのねっ? アレリオッ♥」
「シャルゥゥ・肉・・・ヲ・ニク・・・ニクを・・・ニク」
シャリルは部屋の奥にある、人間の死体の山までアレリオの手を引いて誘導する。
「はいはいっ! 食いしん坊さん」
シャリルに、案内されたアレリオ。
彼は死体の山となっている人間の遺体。
それを、鞘から引き抜いた長剣で、猛烈な勢いで斬り刻んでゆく。
「グヴウゥゥゥゥ」
そして、勢いよく斬り刻まれた死体の肉片を食していく。
『バシュッ、がぶっ、バシュッ、がぶっ』
斬る、食べる、斬る、食べる。
と言う単純な行動を繰り返し、最後に満足したのか、また吠え声をあげる。
「ガアアアアアアァァッ」
アレリオは肉を食う度。
体に、力強い何らかのエネルギーが溜まっていくのを感じていた。
「たぁんとお食べっ! 私の大事なスケルトンナイト♥」
シャリルはそう言って微笑む。
だが、食うのに夢中のアレリオに、彼女の声は全く聞こえていなかった。
「またもや、俺達の出番はなしか?」
「でもいいじゃない、愛し合う二人が再び結ばれたのよ、ここは感動する処よ」
ジョージとミリカ達は、二人で事の成り行きを空いている台に座って見守っていた。
「何処がだっ! 女僧侶が悪墜ちして、仲間も連鎖墜ちさせただけだろうがっ! それに、二人の中を一旦引き裂いたのは俺達だろ」
ジョージはロマンチックな話じゃなくホラーな展開だろうと、ミリカに突っ込むが。
それに対して彼女は。
「はあ~~あんたは分かってないわねーー女心ってものがさあ~~」
ミリカは膝に肘を載せ、頬に左手を当てて溜め息を吐きつつ、ジョージに呆れる。
二人が、そんなやり取りをしているとアレリオとシャリル達が近づいて来た。