『またお前らかっ! 彼女をどうする気だっ!!』
『決まってんだろ、お前にくれてやるんだよ、こいつの肉を』
『そうよぉ~~人間の肉って、とお~~てもっ美味しいのよっ? 油がたぁ~ぷりでねっ! それに血なんて喉から手が出るほど欲しくなるくらい美味しいわよーー』
怒鳴るアレリオに、ジョージとミリカ達は挑発してきた。
『やめろ、シャルに手を出すなっ!』
『そうだよな、まだ人間の肉を食った事ないもんなお前は、よしっ! こいつを抑えてやるからお前がこいつを食えっ』
『あ~~そうよねぇっ! アレリオ君だっけ? 彼女、貴方になら食べられてもいいんじゃない』
ジョージとミリカ達は、シャリルの両腕を掴み拘束する。
『アレリオ、助けてぇーー!?』
『シャルッ』
泣き叫ぶシャリルに、アレリオは叫んだ。
『彼女から凄くいい匂いがするだろう?』
『ねぇーー食べたく成って来たでしょう?』
ジョージとミリカ達は、アレリオを誘惑する。
『くっうぅぅ? 体が勝手に動く!?』
アレリオは体の自由が効かない。
アレリオは急に金縛りに合った様に動けなくなる。
正確には、自分の意思で体を動かせなくなっていた。
動かそうと思っていても動かせないのだ。
そのまま体はシャリルに向かう。
アレリオの鼻には、彼女から美味い肉の匂いが漂って来ていた。
アレリオは駄目だ彼女を食べるなんて、と思うが。
体は言う事を聞かず、彼女の目の前まで来ていた。
『アレリオォ!? やめて、やめてえーーーーーー』
シャリルが目の前で絶叫する。
『やめろぉぉーー俺は彼女を食いたくないんだあああーー!?』
アレリオは叫んだ。
彼は泣きながらシャリルに近寄る。
長剣で斬る、刺す、叩き割る、と滅多打ちにしてしまう。
そして、彼は息も絶え絶えのシャリルに覆い被さり、肉に食らいつく。
彼が食べた肉は、不思議と口に入れると何処かに消えていった。
『シャル・・・ウマイッ! ウマイ・・・君はウマイゾ・・・』
アレリオは、シャリルを食べ尽くしてしまった。
『あははっ! アレリオったら、やっ~~とこっち側に来たのね?』
『シャリル!? どういう事だ何故今君を食べたのに!?』
アレリオは右にいるシャリルを見た。
彼女の姿は何だか様子が変だ。
何時も着ている僧衣は、悪魔の紋章が付いており髪の色も青白い。
そして、唇まで青く成り、薄い青色の瞳も、何故か水底のように深く暗い青い色をしていた。
『アレリオ悪夢は終わったのよ』
シャリルは、アレリオを落ち着かせようとする。
『悪夢は終わった!?』
そう言われた、アレリオは不思議がる。
『ええ・・・貴方が完璧なアンデッドとして覚醒したからよ? さっき私を食べたでしょう』
シャリルは、妖しい笑みを浮かべ誘惑するように話を初める。
彼女は、今度はいきなり後ろから現れ、アレリオの首回りに抱き付きながら説明する。
『あれで人間としての貴方の精神は死んだのよ、さあ生まれ変わった貴方を主様達に見て頂きましょうね』
『シャル、俺も君もアンデッドに・・』
『そうなのよ、じゃあ目を覚ましましょう、アレリオ』
シャリルは、今度はアレリオの目の前に瞬間移動するように現れ、彼の右手を握る。
そして、アレリオは気が付くと何かの部屋にいた。
そこを見回すとジョージとミリカ達。
スケルトン達とアンデッドと化したシャリルが居た。
それから彼女が夢の中と同じく、自らの手を握っていた。
「おはよう、生まれ変わったアレリオ」
シャリルが目を覚ましたアレリオに声を掛けた。
「シャル、君が俺を蘇らせてくれたのかっ?」
「そうよ、さあっ早速、我が主様達にご挨拶と忠誠を誓うのよ」
シャリルは、妖しく冷たい笑みを浮かべながらアレリオにそう話した。