シャリルはもうダメかと、盗賊達を前に諦めかかっていたが、彼女の前に。
「うおおうっ! ワシ等だってぇーー」
「通させてたまるかいなーー」
老人達も怪我を老いながらも立ち上がり、果敢にも盗賊達に立ち向かって行く。
「シャリルさぁん下がっておれぇ! こいつらはわぁしらが」
「いえ、私もっ・・・私も戦います」
数人の盗賊は勇敢な老人達と戦う。そして、シャリルにも五人の盗賊が迫る。
「はぁぁ、こいつは上玉たぜぇ~~」
「べっぴんの修道女様かぁ、ひひっそそるねえーー」
「へっへっへっ女だあ」
シャリルは両手に構えたメイスを強く握りしめて、一人盗賊達と戦う覚悟を決める。
「いぇいっ! この女俺がもーーらいっ!!」
「誰が、あんた何かにっ!」
シャリルはメイスを振るい、盗賊の剣を受け止めるのだが。
その後ろから、別の盗賊がシャリルの進化に左肩に短槍を突き刺す。
「これで終わりだあーークソアマーー」
「くぅっ! まぁだあーー」
シャリルは勇敢に戦ったのだが。
老人達は、次々に盗賊の情け容赦の無い攻撃にやられていく。
「くそおぉぉーー」
「やら・・・れ? たぁ」
バタリ、また一人バタリと倒れて行く老人倒達。
そこへ、盗賊の頭目らしき大柄な男が。
「おいっ女ぁ!? こいつ等がどうなっても良いのか? あっ! おおっ! ごらぁっ!?」
シャリルの目には、盗賊に人質に取られた女性と子供達。
そして、赤い血溜まりに倒れた神父様が映る。
「神父様っ! くぅっ卑怯なっ!?」
「うへっへっへっへえーー? 卑怯で結構だぜえーー!! わーーはっははは、さあ武器を捨てて裸になれえーー」
(・・・くっ! どうすれば・・・)
「シャリルお姉ちゃんっ!?」
「シャリル姉ちゃん、助けてぇーー」
盗賊の親分の子供が泣き叫ぶ。
だが、シャリルはどうすることもできない。
それで、仕方なくシャリルは武器を捨てようとする。
「諦めるなっ!!!!」
「誰~~だ、ああん?」
盗賊の頭目らしき男。
彼は、不意に何処からか聞こえた声に反応して、首を振って辺りを見る。
「こっちだ、間抜けっ!」
盗賊達は、教会の爆弾で吹き飛ばした扉があった場所。
つまり、正面入り口を一斉に振り向いた。
「誰だ、てめえっ!」
「かまわねえーー! やっちまえっ!」
入り口には、茶髪で癖毛の若い男の剣士が長剣を右肩に乗せて立っていた。
その剣士は、自分を目指して襲いかかってきた二人の盗賊を軽く床に切り捨てる。
「お前ら、遊びはもう終わりだぜっ! 援軍は直ぐそこまで来ているからな」
謎の剣士は不適な笑みを浮かべて援軍の到着を知らせるが。
それを聞いた盗賊達は。
「構うもんかぁーー」
「たった一人で、生意気言いやがってっ!」
またも剣士に盗賊が四人襲いかかるが。
剣士は見事ヒラリと攻撃を避けながら戦い二人の盗賊を倒す。
そして戦いながらシャリルの方まで来ると、シャリルの手を掴み立たせる。
「肩は大丈夫かっ?」
「ええっ何とか」
肩の怪我を剣士が心配するが。
助けられたシャリルは気丈に振るまい、共に戦おうとする。
「なら、一緒に戦うぞっ! 背中は君に預けた」
「貴方は何者なの?」
謎の剣士とシャリル達は、圧倒的に形勢不利な盗賊達との戦いを果敢にも始めた。
「まあっただの剣士さっ!」
二人は背中を違いに預けて戦う。
盗賊達は徐々に数を減らし。
残りは、頭目を含めて六人にまで数を減らす。
「ハアッハアッ、これで終わりね」
「ふうっ? ふぅっ! そうだな・・・」
「いいや、まださ」
『パアン』
『ボッ』
乾いた銃声と燃え盛る炎の音が響くと同時に、新たな盗賊が四人も現れた。
「たくっ! 遅えーーから見にくりゃ、これだもんな?」
「全くだぜっ! お頭しっかりして下さいよ」
剣士とシャリル達は、新たに現れた盗賊達の援軍に動揺した。
二人共、額から汗を垂らす。
「ちっ! もう少しで全滅出来てたのに」
再び数の増えた、多数の盗賊達。
新たな敵の登場に、不味い状況だなと思った剣士は舌打ちしながら呟く。
「まだいるの? 一体何人いるわけっ! それより、こっちの援軍はっ?」
シャリルは此方の援軍の到着はまだかと、横に立つ謎の剣士に聞いたのだが。
「居ねえよっ!」
「はっ!?」
いきなり剣士の口から漏れでた言葉に、シャリルは驚き変な声を出してしまう。
「さっきのはハッタリだ」
「そんなぁっ!?」
『パカラッパカラッパカラッ』
剣士の口から出た衝撃的な事実に、シャリルは固まっていたが。
その時、馬の蹄の音が聞こえてきた。
「お頭っ! 兵士達がぁ!? 『パンッ』ぐっ?」
報告したばかりの盗賊が、背中を銃で撃たれ。
口から血を吐き出しながら、前のめりに力無く倒れる。
「ちくしょうお前ら逃げっぞっ!!」
「お頭、待って~~」
「置いてかないで下せぇーー」
盗賊達は次々と蜘蛛の子散らす様に逃げていくが。
どっと兵士達の銃や槍の攻撃で次々に倒れていく。
そして、一人の老人が馬から降りて近寄ってくる。
「おぉーーこれは非道い有り様じゃ? おーいお前さんら無事だったのかぃ? わしが森から帰って見たら村が燃えとるし、悲鳴が聞こえたからのぉ? 一大事だと思って隣りの鉱山町から村の出稼ぎに行ってる若衆や兵士達を呼んできたのじゃ、だからもう安心だからのーー」
老人は長々と語ると、子供達の方へ行き、全員が無事かどうか安否を確かめる。
「あははっ! 嘘がホントに成った」
「貴方ねえっ! ぬか喜びさせてっ!」
剣士の放った嘘八百の言葉であるが。
それが本当になったとは言え、嘘を吐いた彼をシャリルは怒鳴る。
「なっなんだよ、仕方ないだろ? あの状況じゃあ」
「ふふっ♥」
あたふたする剣士に、私は笑う。
彼の困った表情が余りに可愛らしいんですもの。
「そうね・・・貴方のおかげで助かったわ有り難う・・・私はシャリル・シャルパンティエ、貴方の名前は?」
「アレリオ・・・アレリオ・バレンスエラだ、職業は見ての通りの剣士だ」
シャリルは笑顔で名を名乗ると、アレリオも鞘に剣を納めて名を名乗った。
『あの時の彼はカッコ良かったな』
シャリルは記憶の中のアレリオの勇姿を思いだし。
顔を赤く染め、両手を頬に当て悶える。