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第5話 再び視点は彼に


 急に袖をつかまれ、俺はびっくりしたが。

 そうか?彼女もゾンビになったのか・・・。


 とりあえず彼女の手を握り、立ち上がらせるせる。

 彼女は俺がゾンビにしたので体中ボロボロだ。

 顔の左頬、右肩、お腹、喉とあちこちが食われ血で赤くなっている。

 彼女に話しかけようとするが。



「ガァァ」


 まあ、彼女も同じゾンビ何だし・・・。

 マトモに喋れる訳がないわな。



「アァァゥ」


 また吠えるが、ゾンビなので喋る事が出来ない。

 なので会話は二人揃って不可能だ。


 仕方がないなとにかく先に進もう。

 んっ!?。

 彼女が袖を掴む・・・。

 ついて来るのか?。


 会話が出来ないので、そのまま引っ張って歩くしかないな。

 俺はまた手を掴み先を進んだ。

 そうだ、昔はこうして二人で遊んだよな。


 昔?、いつの事だ?。

 ゾンビになる前か?。

 思い出せない・・・。

 いや、後にしよう。

 過去の事を思い出すより歩いて進もう。


 先へ、先へ進め、進め。

 進んだ先に何があるのか分からないが、とにかく行くんだ。


 行けっ、進めっ!、俺は考えながら通路を進む・・・。

 敵だっ!、洞穴狂オオカミだっ!。

 それも三匹も。

 俺は彼女を後ろに下がらせ前に出る。


 なぜそんな事を。

 彼女がゾンビだからか?。

 それとも人間だった頃の知り合いかも知れないからか・・・。

 自分について来るからか・・・分からない。


 考えている内に、洞窟狂オオカミが一斉に飛び上がり、俺に襲いかかってきた。

 オオカミ達が、俺の体に噛みつくが俺はゾンビだ・・・痛みはない。


 腕に噛みついたオオカミは壁に投げ着けて倒す。

 脇腹に噛みついたオオカミは床に叩き着け、最後の左足に噛みつく一匹は足で蹴り上げ踏み潰し殺す。



『レベルアップしました』


 うるさいっ!、またあの声だ。

 せっかくオオカミとの戦いに勝ったのに終わった途端にこれだ。

 いったい何なんだこれは。



『レベルアップにより進化が可能になりました、これより進化します』


「ガァ?」


 はっ進化・・・。

 するといきなり俺の体は緑のバリアシールドのような卵型の幕に包まれた。

 そして、卵の殻を割るように俺は中から出てくる。

 殻のようなバリアのような幕は俺が出ると消えてなくなってしまった。


 そして、俺の体は腐ってボロボロだった体が、キズが多少直り、腐っている部分がなくなっていた。


 体のあちこちや、顔の右側から鼻と口の右部分は相変わらず、えぐれ肉が剥き出しになっていた。

 左側も額のキズや瞼も相変わらずである。



『腐肉の塊からゾンビに進化しました』


 腐肉の塊だと・・・今まで俺はゾンビじゃなかったのか・・・分からないな。



『進化に伴い新たなスキルが追加されました、新スキル小走り、力持ち、が追加され脚力、腕力がアップしました。』


 とにかく、これで今までより早く動けるし、腕の力も上がったし良いことずくめだな。



「それより、この声はまるでゲーム見たいだな、ゲームってなんだっけ?」


 あっと気づくと、俺はゆっくりとだが、かすれた声で一人事を喋れるようになっていた。

 レベルが上がって行くと、喋れるようになるのか。

 とりあえず、彼女に話しかけようとしたが彼女はゾンビ、腐肉の塊だ。

 だが、試しに話しかけてみるか。



「やぁどうだい少しは綺麗になっただろう・・・?」


「ガァァ」


 やっぱり彼女はしゃべれない。

 ならこっちが話しかけて、彼女がうなずいて応えるというのも試したが。

 それも腐肉の塊なので、彼女はうなずくのも非常に遅い。

 これじゃ会話は無理だ。


 いや待てよ、ひょっとしたら彼女もレベルが上がれば、俺見たいに会話が可能になるのかも知れないな。


 よし、このレベルアップって俺や彼女のステータスも見れるのか?。

 頭脳中で念じてみる。

 ステータス確認。



『ステータス、名前???モンスター名、腐肉の塊、スキル早歩き』


 おおっ!、やっぱり、彼女にも新しいスキルがついてるぞって事はだ・・・。



「彼女もレベルを上げればいつかは進化して会話出来るようにっ!」


 よしっ敵を倒しまくって、レベルを上げて行くぞ。

 彼女の前で俺はそうした。

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