相変わらず寒い。
この地下道なのかな?。
私ひたすら歩く。
この何だか解らない地下道を。
ここからは坂だ。
また真っ直ぐ上がってがって行くのかな?と思って歩いていると。
前からゾンビが四体も現れた。
「そんなっ」
その内の一体を凝視する。
彼だ、彼がゾンビに、奴らの仲間になっていた。
(・・・とっ! とにかく逃げなきゃ・・・)
ゾンビたちは足が遅いので、すぐ逃げ切れた。
だけど、最後の希望の彼も失った。
(・・・どうしよう? 彼もゾンビの仲間に・・・私はこれからどうなるの・・・)
「うぅっ」
また脱出を目指して、この絶望の暗闇の中をさ迷うの。
駄目だせっかく彼が囮になって救ってくれたんだ。
彼のためにも、最後まで諦めてはいけないと自分に言い聞かせ、また歩き出そうとすると、その時。
『ドーン、グァァァーー、キンッカンッ』
(・・・何の音? 非常にうるさい音が聞こえてくる・・・)
まさか戦闘音、大変今すぐここから離れなきゃ。
私は音のする方の反対方向に走っていく。
走れ走り切らないと、暫く走って音のした場所からかなり離れた場所に来た。
「ここは?」
かなり広くじめじめとして、何かの神殿や祭壇のような建物。
崩れたり倒れた柱が沢山あって、柱や建物そして地面には苔が生えていた。
その周りには、ゾンビがたくさんいた。
それ以外にも、ここに生えている苔を餌にするために様々な魔物がここに集まって来ていた。
「何ここ、さっきの場所より危険じゃないの」
とにかく、ゾンビたちに見つからないように歩かなければ。
私は倒れた柱の陰にかがんで隠れながら進む。
慎重に、慎重に、心臓がバクバク鳴る。
すると突然、バスケットボール大程の大きな羽虫が、私の目の前に飛んできた。
「きゃっ!?」
『ガツン!』
驚いた拍子に声を上げ、更に瓦礫を崩してしまい、大きな音を立ててしまった。
「ヴァルゥアアー」
「イニェオオン」
奇声を上げ、此方に向かってくるゾンビの群れ。
気づかれたっ!、また逃げないと、大丈夫もう逃げるのにも慣れた。
大丈夫だっ今度も振りきれる。
ゾンビは遅い。
あんな緩慢な動きで人間に追い付ける訳がない。
私は壁に、この広い空間から、別の何処かへと続いている通路の入口を見つけてそこに逃げこむ。
大丈夫ここから逃げ切れる。
そう思った瞬間、目前に壁が迫る。
駄目かっ!、いや、まだだ。まだ諦める訳にはいかない。
私を助けてくれた彼の為にも生き残らなきゃ。
私はゾンビの方に向き直り、何か策を考える。
何か、焦る私。
「くぅっ・・・やっぱりここで・・・」
終わりかと思っていると、不意に一体のゾンビが何処からか飛び出してきた。
彼だっ彼が現れたのだ。
彼はゾンビの方を向いた。
はっ?、もしかして助けてくれるの。
彼は振り向きながら。
「ヴァァァ」
と吠える。
やったぁーーきっと彼はゾンビになっても自我が残っ・・・。
『ガブッ』
えっ?。
『グシャグシャ』
っと体のあちこちを噛じられる。
「痛い、痛い、止めてーー」
叫び、もがき苦しみ、暴れる私を、アイツが凄まじい力で上から覆い被さるように押さえつける。
「痛いっ! いだっ! 正気に戻ってぇ・・・」
(・・・最後の力を振り絞って私が叫ぶと彼は止まった・・・だけどもう気が遠くなって・・・く・・・る・・・『ガク!』・・・)
私は意識が薄くなるのを感じた。