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第59話 鮫島さんと赤坂さんとマックで現状を聞く

 助けて貰ったお礼に鮫島さんと赤坂さんにマックで奢る事にした。


「公務員だからイクないのだが」

「もっと良い所で奢れよう」


 いやあ、なんだか赤坂さんを見ていたらマックな感じになったんだよね。


 とりあえず、俺はポテトとコーラ、鮫島さんはエッグチーズのセット、赤坂さんはサムライマックのダブルチーズのセットを頼んでいた。


「変な取り合わせだなあ」

「いや、危ない所をありがとうございました」

「きにすんな、仕事だしさ」

「奢って貰う事はないんだけど、食事の暇が無かったので正直助かったよ」

「忙しいんですか」

「まあ、いろいろ」

「いろいろ、ロシアとか、中国とか」


 ああ、中国までも動いているのか。


「さっきのは民間じゃないんですか?」

「さっきのは民間、横浜の黒社会の組織だね、乱暴でいい加減」

「まあ、チャイナは本国でも乱暴でいい加減だけどね、ロシアは雑だし」


 鮫島さんはマスクを引き下げてエグチを囓った。

 やっぱり、日本の諜報部員の人は頑張ってるみたいだね。


「土曜日のマリエンライブまでは色々な所が動くだろうね、ヒデオさんも気を付けて」

「なんでまた、俺なんかを」


 鮫島さんと赤坂さんは顔を見あわせた。


「解って無いね」

「解ってねえです」

「俺なんか只のおじさんですよ」

「あのねえ、迷宮に入る前から魔法的なスキルを持っていた超能力者ってのは希少で夢とロマンがあるんだよ」

「透明ゴリラの謎を解けば、軍事に転用できるかもしれないし、ひょっとしたら迷宮探索にも役に立つかもしれない、しれないってのが大事でねえ」

「ゴリラが居るから、なかなか捕まえにくいから、そんなに手は出して来ないと思うけど、狙われてはいるんだよ」

「そうなんですか?」

「四人で来てだめだった、では十人で、マシンガンで、Dチューバーを派遣して、とエスカレートしていくだろうね」

「た、大変じゃないですか」

「まあ、大がかりになると準備でばれるから、あたしらが動くけどね」


 そうか、『チャーミーハニー』さん達が動いているから、川崎の平和は守られているんだろうなあ。

 ありがたい事だね。


「いつもみなさん、ありがとうございます」

「礼とかいらねえから」

「仕事だから、気にしないでよ」

「みなさんは普段は迷宮攻略してるんですか」

「そうだね、『Dリンクス』とかの監視したり、迷宮潜ったりだね」

「やっぱり『Dリンクス』は特別ですか」

「世界一の『ホワッツマイケル』を退けたからね。日本政府も大期待なんだよ、彼らは高校生だけどね」


 マリエンライブで『Dリンクス』さんたちと会えるかな。

 今からなんだか楽しみだね。


「とりあえず、ライブまでは騒がしいけど、いつも通りやってなさいよ」

「敵対組織との荒事は任せておきなよ、ヒデオ」


 『チャーミーハニー』さんたちは可愛いのに頼りになるなあ。

 今の所特別な事をすることは無いようだ。

 アイドルの護衛業務に邁進すればいいね。


 みんな食べおわったので立ち上がる。


「ごっそうさん」

「またね、ヒデオさん」

「はい、また、ライブですかね」

「リハーサルで会えるかもな」


 じゃあねえ、と手を振って二人は街に消えていった。


 夕方になったので、リーディングプロモーションの支社にまた行ってみる。

 お、『サザンフルーツ』がいるね。


「こんにちは、これからレッスン?」

「声楽レッスン済ませてきたよ、晩ご飯を食べて夜はダンス」

「がんばるね」

「せっかくのチャンスだからね、ヒデオさんも協力してね」

「もちろんさ、なんでも言ってよ」

「よし、では、晩ご飯を一緒に食べよう」

「あーー、あーー」

「なによ」

「今日は一人呑みの日でー」

「よし、居酒屋さんでご飯を食べよう」

「いや、それはー」


 ちゃんとした料理屋さんの方が美味しいよ、きっと。


「ヒカリちゃん、ヒデオさんを困らせちゃ駄目よ」

「やっぱり護衛のヒデオとは、なるべく一緒に居たいし」

「息を合わせるのは良いのですが、無茶言ってはなりませんよ」


 ヤヤちゃんが微笑んで言ってくれた。


「しょうが無いわねえ、今日は何してたの」

「ケインさんの剣術修行の護衛にいって、カスミちゃんとユカリちゃんに『モグ』を見せていたよ」

「アイドル狩りが無いと、わりと暇そうですね、ヒデオさん」

「普通にやる事ないね」

「レッスンの送り迎え護衛とか、必要ないしね」


 うん、こっちが中国の黒組織に狙われて、アイドル側に迷惑をかけそうではあるよ。


「明日はマリエンで通しのリハーサルだから、一緒に来て下さいね」

「おお、もうリハーサルなのか」

「二回ぐらいやるからね、明日と明後日、で本番だよ」

「だんだん近づいてきたね」

「うん、頑張らないとね」

「応援してくださいね、ヒデオさん」

「今から緊張してきますけど」

「大丈夫、『サザンフルーツ』は凄いから、お客さんは喜ぶよ、ぜったい」

「うん、ヒデオに言われると、なんか安心するね」

「そうですね」

「明日は朝からマリエンですよ。支社に集合してくださいね」

「わかったよ」


 うん、明日はリハーサルの付き添いだね。

 楽しみだ。

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