一、ゲート付近の店に卸す。
これは日本円で売り買いすることになる。初期装備で使ったお金が少しはバックされ、素材を預けておけば
二、異世界の店に卸す。
当然、異世界の通貨が手に入る。『翻訳(トランスレーション)』スキルがあれば、そのお金で異世界アイテムを買うことも出来るらしい。
兎田山はレベル十に上がった時に『翻訳(トランスレーション)』を取得して、村で『転移石』を買い求めたそうだ。
『転移石』がなければ前に進むにも時間がかかる。他にも便利なアイテムがあるなら、ご当地マネーはやはり必要だ。
兎田山はそれを聞くと、犬丸と猫宮の倒したスライムと『魔核』を受け取って、買いに出すと言ってくれた。
「
『転移石』を使った兎田山は一瞬でこの場から消える。
こうしたサービスにも手馴れているように見えた。
「お嬢はどう思う、あいつをパーティにいれるの」
「紫里くんの意思を尊重したいわ。命懸けなんですもの、案内人のままで居たいと言うなら無理強いは良くないと思うの。慧士はなんだかんだ、紫里くんのこと気に入ってるのね?」
「アイツはなんか無害そうだし――俺には訳わかんねえこというけど、お嬢へ変なことは言わねぇだろ。時々キモイけど、お嬢がターゲットじゃねぇなら俺はいいと思う」
散々な言われようだが、猫宮以外に興味を持たない犬丸としては相当例外処置なのだ。
兎田山が変人だったこそ、受け入れられたらしい。
「じゃあ、村につくまで気長にお願いしないとね」
犬丸はムッとして端正な顔を顰める。
「お嬢が頼むことねえ。俺がやる」
「ダメよ、パーティ組むのなら私からもお願いしないとね」
猫宮は笑って犬丸の額をつつく。
過保護な番犬は、いつも猫宮を甘やかそうとするので、窘めるのは猫宮の仕事だ。