「お二人共、ここはゲートのすぐ側なのでステータスが開きます。『ジョブ』を見せてください」
「どーやんだよ」
「おや、説明役から何も聞いてないようですね。ステータスと言えば、自分だけにステータスが。ステータスオープンと言えば皆に見えるようになります」
兎田山は自分の前にある、ゲーム画面のようなウインドウを閉じる。
「閉じる時は、閉じろと念じればこのように消えます。さあっ唱えてください、爽やかに!」
「爽やかさは必要ねーだろ!いちいちうぜぇなてめえ!」
「ステータスオープン!」
兎田山につっかかる
ウインドウが開き、
名前 猫宮小桜。Lv0。
体力100
魔力80。
ジョブ『騎士』
アイテムボックスLv0。
スキル 『
と表示される。
「ほほう、騎士ですか。まさかの前衛職でしたね。盾と軽い防具にしましょう。さぁさぁさぁ犬丸くんは?」
「さぁさぁうるせえ!ステータスオープン」
犬丸はキレ気味に言ったが、ウインドウは現れた。
名前 犬丸慧士。Lv0。
体力120。
魔力70。
ジョブ『狙撃手』
アイテムボックスLv0。
『
「この、技みたいなのがスキルなの?」
「そうです、誰でも初期装備として一つは『スキル』があります。アイテムボックスはほとんど全員が持っていますよ。大事なのはレベル上げです。初期の体力魔力はみーんなしょっぱいもので、こんなごっついプレートアーマーなんかはLv0では装備したら動けません」
兎田山は、さっき犬丸が見ていた重装備をつつく。 鳳が、素材をいじりながらウンウンと頷いた。過去に購入して文句でも言われたのかもしれない。
「防具はわかったけどよ、肝心の武器はどーすんだよ。俺は狙撃手なんだろ。銃は」
「レベルゼロには武器なんて早いんスよ。ひのきの棒で充分――とはいえさすがに棒は無力なんで、ツルハシを買います。
「はいよ、ツルハシ二つ」
片手で持てるサイズのツルハシが、テーブルに並べられる。
石を破壊するには良さそうだが、モンスターと戦えそうかといえば、ふざけた代物だ。
「こんなもんで、倒せんのか?」
「最初のレベルあげは、ひたすらスライムぶっ叩き祭りなんで、刺さればいいんですよ。慣れるとゼリーみても突き刺したくなりますよー!」
「なってたまるかッッ」
「でも、ないと困りますよ?」
犬丸は顔を顰めた。
ふざけた眼鏡ヤローではあるが、ゲートの向こうに行った経験値が高くそこに限っては先輩だ。
それに兎田山は杖を持っている。犬丸たちと違ってレベルが高いからだろう。
「じゃあ、ツルハシをまず二つと」
「毎度ー!四百万ねー」
「は??高ッッ!!」
「だから高いって言ったでしょう」
「限度があるわッッ!」
猫宮がツルハシを手に取る。
先端が鋭利で、かすかにギザ歯が入っていた。その辺が農具店のツルハシとは違う。なによりやたら軽い。
「じゃあ、買わせていただくわ。ブラックカード使えるかしら」