「兎田山、新人と知り合いか?外ではエンドゲートの事話すなよ」
「分かってますよー。あーあ、推しとは直接関わりたくないスタンスなのになー」
生産職のクラフターで、『
「じゃあ、後は任せたぞ〜。そろそろお前もパーティ組めよー」
「オケオケ、じゃっ行きますよー!」
「待てやッッ!!なんでてめーがここに居るんだよ!」
「私も知りたいわ。いつもお醤油や油やお味噌を貸してくれる
「お嬢、そんなやつに触るな!!そんで、知らん間になんで調味料そんなにそいつに借りてんだ?!俺に言ってくれ!」
兎田山は、筒状のバッグから杖を取り出した。先端に丸い球体が付いている、ファンタジー感がたっぷりの杖だ。
「ここに入れる人は限られてる。政府の承認を得て出店してる人間か、政府から派遣された『ジョブ』持ち鑑定で、水晶が光った人!通行パスがなきゃこんな国家機密の中に入れません。つまりお二人も僕も、選ばれし戦士。ちなみに僕は案内役です。きびきびとチュートリアルしていきますよー」
「そんな山登りみたいな服装で大丈夫なの?」
「お二人こそ、制服で戦う気ですか?パックリいかれますよ。嘘ですけど」
「これから装備を買うんだよ!!ナチュラルに嘘挟むな!」
学校の制服姿の犬丸と猫宮を一瞥して――犬丸に三秒ほど時間を割いて――上を見あげた。
「じゃ、防具屋に行きましょうか。言っときますけど高いですよ」
いくつかの店を素通りしていくと、兎田山は親しげに声を掛けられる。
途中には、幾つものビジネスホテルのような建物も増えていた。
犬丸は切れ長の目にうさんくささを漂わせて、そんな兎田山を見る。
「随分慣れてんな、メガネ。お前いつからゲートに潜ってる」
「そろそろ二年目ですね。犬丸くん、僕のことは貴様とかモブとか言っていいんですよ」
「キメェ」
ペットボトルの水を五千円で売る店を通り抜け、バリケードの山が近づく。
『ジョブ』を持つ、戦えるメンバーが異世界の繋がった近辺の大型魔獣を倒したおかげで、ここ数年は安全になった方だ。
バリケードすれすれの小さな店に、兎田山は迷わず入った。
「いらっしゃ――どうした兎田山。杖に何かトラブルか?」
先程、犬丸と猫宮を案内してきた鳳が顔を上げる。
手には、謎の毛皮と骨。
「いーえー、ルーキーの方々が防具をね」
「マジか、ぼったくられるのにな。いらっしゃい」
「ぼったくりって自分で言うか?!普通」