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第12話 全裸と子爵家令嬢

 ルリはホクホク顔で、つい今しがた手に入れたばかりの本を眺めながら、通りを歩いていた。


「いやー、たまには冒険してみるものだね。あんな怪しげな本屋なんて、普段なら絶対に入らないけど、時々入ってみると意外な掘り出し物があったりするんだよね」


 ルリはそんなことを呟きながら歩いていく。


 しばらくぽやぽやと浮かれた顔をしていたが、やがてハッとしてこう言った。


「いけないいけない!早く帰らないと・・・・・・もし知り合いに出くわしでもしたら大変だ。特にフルカさんなんかには絶対出会わないようにしないと・・・・・・」


 と、手に入れた本を大事そうに抱き、通りを自分の家の方に歩いて行こうとしたところ、通行人のこんな言葉が耳に入った。


「なんか全裸の人が前から歩いてくるんだけど・・・・・・あれ俺にだけ見えてるわけじゃないよね?」


 ルリがその声に顔をあげると、見覚えのある全裸が目に入った。


 やばい。フルカさんだ。


 ルリは慌てて踵を返そうとするが、やはり全裸だからなのか、目敏く見つけられてしまった。


「おっルリじゃねえか!奇遇だなー!」


 ルリにとっては不運にも、フルカは彼に気づいて駆け寄ってきた。


 ルリは、フルカが自分の持っている本に興味を惹かれないように祈りながら、手をあげて答えた。


「あ、ああ、フルカさんじゃないですか。奇遇ですね」


(本について聞かれませんように、聞かれませんように・・・・・・・)


「おー!・・・・・・その本なんだ?」


「超速でフラグ回収された!」


 全裸だから超速フラグ回収もする。


 ルリは冷や汗をダラダラ流しながら答えた。


「えー・・・・・・っとですね、これはついさっき、そこの本屋で買ったんですよ・・・・・・これはえーと・・・・・・あっ!めちゃくちゃ難しい哲学についての本だからフルカさんは読まない方がいいと思いますよ!」


「・・・・・・哲学?そんなの普段から読んでるのか?」


「ええ、そうなんですよー・・・・・・僕はもうほんとに、三度の飯より哲学が好きなんで・・・・・・朝も昼も夜も哲学、3時のおやつも哲学ですしー・・・・・・」


「・・・・・・いや全裸じゃなくても嘘ってわかるだろ、その誤魔化し方は・・・・・・」


「・・・・・・・」


 と、そこで後ろから歩いてきた人が、うっかりルリにぶつかってしまった。


「おっと、ごめんよ」


 その拍子に、ルリは持っていた本を取り落としてしまった。


「ア゛」


 ルリが買った本。その表紙には接吻を交わす2人の女性の絵が描かれており、タイトルはずばり、『白百合の園』であった。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 しばらくの沈黙の後、フルカは口を開いて言った。


「・・・・・・ま、まあ、こういうのも文学ってやつだよ!な!」


「フルカさんが気を使うレベル!?」


 ◇


 さて、そんなことがあったのち、フルカとルリは流れで一緒に行動することになった。と言っても、今日は休日なので、別にギルドに行って依頼を受けるとかはしない。ただあてもなく2人でぶらぶらしようって感じである。


「何しようかな」


「何しましょうかねー・・・・・・・・」


 と、2人がそんな会話を交わしながらそこらをそぞろ歩いていた時である。


「お待ちなさいそこの2人!」


 後ろから、そう呼びかけられた。


 2人が振り返ると、そこには女性が2人、立っていた。


 一人は、メイドらしき服装をした人物で、斜め後ろからもう一人の女性に日傘を差している。


 もう一人の方は、金髪縦ロールをデカいリボンで束ねて、こちらの世界でいうところの大正ロマン風、大正時代の女学生風の服に身を包んで、鉄扇を持った、13歳ぐらいの少女であった。


 そして、その縦ロール大正風少女は、フルカを鉄扇でビシッと指してこう言った。


「そこのあなた!わたくしと勝負なさい!」


「・・・・・・・はい?」


 唐突なその言葉に、フルカとルリは当惑の表情を浮かべた。


「えーっと・・・・・・勝負?」


「フルカさん、この子に会った覚えとかあります?」


「いや、全然・・・・・・」


 2人が困惑するその様子を見かねて、そばにいたメイドがその少女に進言した。


「お嬢様。まず自己紹介をした方がよろしいかと思います」


「それもそうですわね。本当なら今すぐ勝負したいのですけれど・・・・・・特別に猶予をあげましょう。リナ、わたくしのことをこの2人に話してあげなさい」


「かしこまりました、お嬢様」


 メイドはお嬢様と呼ばれた少女の方を手で示すと、少女のこと話し出した。


「この方はサルトル子爵家のご令嬢・・・・・・つまりは、『平民に喧嘩を売る貴族のボンボン』ということになります。なろう系でよくいるキャラですね」


「・・・・・・あの、リナ?そういうのじゃなくて普通に名前とか言って欲しいのですけれど・・・・・・」


「あれ、名前を言って欲しかったんですか?ならそう言ってくださらないと」


「普通はわかりますのよ、普通は」


「この方はサルトル子爵家のご令嬢、リュリュ・サルトルでございます」


「そうそう、そういうの」


「貴族のボンボンです」


「ちょっと!?」


 この2人のやりとりを、ルリはただただ困惑しながら見ていた。


「いやなんなんだこの人ら・・・・・・」


 ルリは困惑していたが、このリナというメイドの紹介にふと気がついて、傍のフルカに声をかけた。


「ちょ、フルカさんフルカさん!」


「なんだ?」


「この子、シスタさんの孤児院に支援してるっていう例の子爵様の御息女ですよ!」


「・・・・・・マジで!?」


 衝撃の事実にフルカが驚愕していると、ルリの言葉が漏れ聞こえたリュリュが手に持つ鉄扇でルリを指し、貴族の令嬢らしい自信満々な態度で言い放った。


「正解ですわ!わたくし、そのシスタ様の孤児院に支援しております、ポール・サルトル子爵の娘ですのよ!高貴なる血筋なんですわー!」


 そう、例の孤児院がテツの実のジュースやら、その他いろいろな料理でもてなした例の子爵様の娘が、このリュリュだったのである。


 どうやら、この子爵様がこの街を結構気に入ったらしく、まだ日程にも余裕があるため、子爵一行はしばらくこの街に滞在することになったようなのである。


 リュリュの父親が例の子爵様だということを聞き、フルカは感心したように言った。


「へー!お前の父ちゃんすげえんだな!」


「・・・・・・あなた、ちょっと馴れ馴れしすぎません?友達じゃないんですのよ、わたくしは」


「あーっ!すいませんリュリュ様!この人はもう、見た通りイカれたお人でして、ご覧になられた時、さぞかしびっくりしたでしょう、こんな格好・・・・・・」


「いや、別にさして驚かなかったですわよ?」


「え?」


「だってあなた・・・・・・」


 と、リュリュはフルカを指して言った。


「こんな人が街中歩いてて、噂にならないとでも思っていますの?特に貴族なんかの耳には入れておくでしょう?絶対」


「確かにそれもそうだな・・・・・・」


「そう!それでわたくしは勝負しようと思ったのよ!この方と!この方と戦って完膚なきまでに叩きのめしたいと思ったのよ!」


「そこで話が戻ってくるんですか!?いや、一体どうしてそんな結論に・・・・・?」        


「わたくしはなんでも一番になりたいんですの。だから目立つのでも、一番わたくしが目立ってなきゃ気が済まないんですの」


「・・・・・・はあ」


「だからわたくしより確実に目立ってるこの方が許せませんのよ!!」


「・・・・・・あの、この人のはリュリュ様が思ってる目立ち方と違うと思います・・・・・・」


「ええーい!と・に・か・く!わたくしと勝負していただきますわよ!そしてこの方よりわたくしの方が目立って見せますわ!」


「ですって、フルカさん」


「なんだかわかんねえけど、面白そうだからやってやるぜ!!」


 と、いうことで、フルカは子爵家の令嬢、リュリュと勝負をすることになったのであった。


「貴族の令嬢と勝負ですか・・・・・・実はこの物語始まって以来のなろう系らしいイベントだったりしません?これ」


「ほんとになー」


 一戦目


「一戦目は料理対決ですわー!」


「バラエティ番組かな?」


「お互いの作った料理を、ここにいらっしゃる─────」


 と、リュリュが指す方向を見ると、気弱そうな男が1人、座っていた。緊張した面持ちで辺りをキョロキョロ見回している。


「料理評論家の方が評価してくださいます!この方が美味しいと思った方の勝利ですわ!」


 男の前にはテーブルが置いてあって、その上にはフルカとリュリュの名前が書いてある札が置いてあった。男がより美味しいと思った方の札を上げるのである。


「マジでバラエティみたいだな・・・・・・」


「それでは調理タイムに入りますわよー!お互いの持ち時間は20分!20分経つまでに料理を完成させるんですわ!20分経ったら、調理が終わってなくてもその時点で終了となりますので、お気をつけくださいましー!」


「おう!わかったぜ!」


「それでは調理・・・・・・開始ー!」


 こうして調理は開始された・・・・・・。


 そして20分ほど後、なんやかんやあって2人とも料理が完成し、評論家の男に食べさせる段となった。


「料理バトルなのに調理シーンまるまるカットされた・・・・・・」


「さあて、まず最初はわたくしの料理を食べていただく番ですわ!わたくしの料理はこれ!」


 と、リュリュは自分の作った料理を男の前に出した。貴族の令嬢らしい、繊細で綺麗な盛り付けがしてある。


「えーと、リュリュ様、これは・・・・・・?」


 ルリがそう聞くと、リュリュは自信満々な様子で答えた。


「これはムニエル・・・・・・鮭のムニエルですわー!」


「ムニエル・・・・・・意外とシンプルなやつにしたんですね?」


「ま、庶民にはあまり高度な味の芸術はわからないでしょうからね!」


「なるほど・・・・・・」


 さて、目の前に料理を置かれた男は顎に指をあて、料理を見つめて何やら考え込んでいる様子だったが、やがて口を開いた。


「ムニエル・・・・・・ですか。初めて聞く料理ですね」


 男は、そんなことを言った。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


「・・・・・・・?」


 ルリは、怪訝な顔をして隣にいるメイドのリナへ聞いた。


「あの・・・・・・」


「はい、なんでしょう」


「この人ムニエル知らないみたいなんですけど、ほんとに料理評論家なんですか?」


「いえ、当然違いますよ?全然料理評論家とかじゃないです」


「は?」


「その辺歩いてた人を適当に捕まえてきました。料理とか全然関係ない素人です」


「どういうことですの!?わたくしは確かに料理評論家を連れてこいと言ったはずですわよ!」


「いや、なんかもうめんどくさくて・・・・・・この際もう適当でいいやと思って・・・・・・」


「ええ・・・・・・?」


「・・・・・・ま、まあこの際、判定出してくれるなら誰でもいいですわ!いくら素人でもどっちのがより美味しいと思うか、くらいは言えるでしょ!それくらいは!」


 と、いうことで少々予定と違ったが、この男に食べさせることになった。


「つーかいくら素人でも、ムニエルすら知らないレベルの料理素人ってなんだよ・・・・・・適当でそんな人材連れてこれるの、逆に奇跡だろ」


 男は用意されたナイフで鮭を切り、フォークで口に運ぶ。それをリュリュは固唾を飲んで見守る。緊張の瞬間である。果たして男の感想は・・・・・・?


「う、うまい!」


 口に入れるや否や、男は大声で叫んだ。


「なんだこれ、すっごくうまい!すごいですよこれ!これその・・・・・・・すごくうまいです!うまくて・・・・・・それでいてうまい!そこはかとなくうまい!」


「いや感想薄いな・・・・・・そこはかとなくうまいって褒めきれてないし・・・・・・」


「リュリュ様これすっごくうまいですよ!そんであの、これ・・・・・・」


 男はそこで一瞬言葉を切ると、ドヤ顔で言った。


「やっぱすっごく、ムニムニしてますね・・・・・・!」


「してねえです」


 ムニムニした次はフルカの番だ。


「さーて、真打の登場だな!」


「2人しかいないのに真打もなにもないでしょ」


「私の料理はこれだあ!」


 そう言ってフルカが出したものは・・・・・・。


「あ、これ知ってる!この料理なら知ってます!」


「そりゃ知ってるでしょうよ・・・・・・またおにぎりですか?」


 そう、フルカが男の前に出したのは、皿に乗ったおにぎりだった。


 ルリがまたおにぎりかと聞くと、フルカはチッチッチッ・・・・・・と指を左右に振るジェスチャーをしてみせた。


「確かにこれはおにぎりだ。だが、これはただのおにぎりじゃないぜ?」


「・・・・・・どういうことですか?」


 ルリの質問に、フルカはビシッとおにぎりを指差して答えた。


「これはなあ・・・・・・全裸のおにぎりなんだよ!」


「は??」


「見ろ!このおにぎりには海苔がついていない!」


「はあ・・・・・・」


「それどころか一切の味付けもしてない!塩もなにもつけてない!具も当然入ってない!これぞ全裸!一糸纏わぬ全裸の米!これが私の料理!『全裸のおにぎり』だ!」


「・・・・・・ただの素の米の塊じゃねーか!!」


 フルカはルリのツッコミを気にせず、おにぎりを指して言った。


「まあとりあえず食ってみろ!」


 ということで、食べてみることになった。


「こっ、これは!?」


「どうですか・・・・・・?」


「味のない米だ!」


「でしょうね!」


「いや、この米自体はマズくないんだ。素材としての米はうまい。うまいんだけど・・・・・・でもやっぱり鮭の方がうまい!味があるから!」


「そうでしょうね・・・・・・」


「でも・・・・・・本当にこのまま鮭を勝ちにしていいのか?」


「・・・・・・え?」


「これは料理勝負。料理勝負にこんな塩も振ってない、ただの米の塊を出してくるはずはない。これはひょっとして・・・・・・何か深い意味があるんじゃないのか?何か底知れぬ深遠なるものが込められているんじゃないか・・・・・・?」


「ええ?深読みしすぎじゃない?」


「そう考えれば普通にうまいものに上げるより、このおにぎりに上げた方がなんか分かってる感出る気がする!というわけで勝者、フルカ!」


「うおおおおおお!勝った!勝ったぞー!」


「ええ・・・・・・なにこの流れ・・・・・・」


「くっ・・・・・次ですわ!次ー!」


 次は絵画対決だ。


「これは・・・・・・何も描いていないようだが?」


「ああ。これは何も描いていない白紙のキャンバス・・・・・・つまり全裸!私は全裸を描いたんだぜ!」


「なるほど、深いな・・・・・・勝者、フルカ!」


「また『深い』で勝っちゃったよ・・・・・・。ほんとはメチャ浅なのに・・・・・・」


「くっ、勘違いされてどんどん勝っていく・・・・・・!これが、これが世に言う『勘違い系』って奴ですのね!?」


「そう言われると、これもなろう系で王道の勝ち方に見えてきたな・・・・・・」


「次ですわー!」


 次は乗馬対決だ。


「フルカ様とお嬢様には馬に乗ってこの街を一周していただきます。より早く一周して、ゴールの門をくぐれた方の勝ちとなります」


「ということはフルカさんは全裸乗馬で街を一周するわけですか・・・・・・やってることを表面的に見ればゴダイヴァ夫人と一緒なんですけどね・・・・・・」


「ちなみに、ちゃんと交通規制してありますので、関係ない人を巻き込んで事故を起こしたりする心配はございません。どうぞ、思う存分お駆け下さい」


「これのために交通規制までしたんですか?えらい気合い入ってますね・・・・・・」


 かくして、勝負となったわけだが、交通規制までされたこともあって気になった野次馬が沿道に押しかけ、賭けなんかも行われた結果、なんかこっちの世界で言うところの競馬くらい盛り上がったみたいである。


 なお、その際出店された屋台からの収益で、子爵はけっこうガッツリ儲けたらしいのだが・・・・・・それはまた別のお話。


 ・・・・・・・


 さて、この後もこの2人はいろいろな勝負をした。チェスやポーカー、腕相撲や卓球。果てはじゃんけん対決とかコーラ早飲み対決とか、わさび寿司ロシアンルーレットまでやったのだが、やはり全裸が相手では敵うはずもなく、勝負はことごとくフルカの勝ちで終わったのだった。


「もうわかってるだろ?リュリュ・・・・・・全裸に敵うわけないって。潔く降参したらどうだ?」


 フルカの言葉に、リュリュは手をつき、悔し涙を浮かべながら言葉を絞り出すように言った。


「何で、なんで勝てないんですの・・・・・・!」


 そんなリュリュの背中に手をついて、リナはこう言った。


「お嬢様、本当のことを話されたらどうですか?」


 その言葉を聞き、ルリは怪訝な顔で問いかけた。


「本当のこと・・・・・・?どういう意味ですか?それは」


「最初、フルカさんを叩きのめしたい理由として、わたくしより目立っているからと言いましたわよね?」


「ああ、言ってましたね」


「実はそれ嘘ですの」


「え?」


「ほんとは・・・・・・ほんとは、羨ましかったからなんですの!この方が!」


「え?・・・・・・いや、は?」


「わたくしもほんとは、外で全裸になってみたいんですの。街中で全裸になってみたいんですわ!だけど勇気がなくてできない・・・・・・そんなわたくしを嘲笑うかのように堂々と全裸でいるこの方が!羨ましくて羨ましくて・・・・・・そして悔しかったんですの!」


「私から補足説明致しますと、お嬢様には露出癖があるんです。つまりは露出狂ですね。お嬢様は露出狂なんです」


「そうだったのか・・・・・・」


「いやちょっと待ってちょっと待って!『そうだったのか・・・・・・』じゃなくて!急展開すぎるって!僕まだついてけてないんですけど!?」


 ルリはなぜか混乱している。


「露出狂・・・・・・え!?露出狂だったの!?リュリュ様が!?子爵家のご令嬢が!?」


 騒ぐルリをよそにフルカはリュリュへ手を差し伸べて、こう言った。


「脱げよ、リュリュ。お前も一緒に、全裸になろうぜ・・・・・・!1人なら勇気出なくても、2人なら、湧いてくるだろ・・・・・・?」


「フルカさん・・・・・・!」


「いや仲間になろうぜ、みたいなノリで言うなー・・・・・・ってえ?僕まだついてけてないんだけど・・・・・・」


「素敵です、お嬢様」


「いや止めろよあんたは!!あんたの主人だろあれ!?」


「すごい・・・・・・すごいですわ!未だかつて味わったことのない、鮮烈な開放感ですわ・・・・・・!」


「うわあ、もう脱いでるうー!」


「良かったな、リュリュ・・・・・・!よーく味わえ、これが自由って奴なん

 だ・・・・・・!」


「これが、これが自由・・・・・・!すっごくドキドキして・・・・・・ドキドキしてキュンキュンしますわー!」


「それは自由とは違った感情じゃないかな?」


「ありがとうございます、わたくしにこんな感情を抱かせてくれて・・・・・・フルカさん、いえ、お姉様!」


 メイドのリナは、こんな2人に拍手を送りながらこう言った。


「素敵です、フルカ様、お嬢様」


「さてはあんた何も考えてないな?」


 ルリはリナにそうツッコんだあと、目をキラキラさせながら全裸で空を眺める2人を見て呟いた。


「一体何の回だったんだ今日は・・・・・・」


 でも、百合好きとしてはこんな展開も、意外と悪くないのかもしれないな・・・・・・心の片隅ではそんなことを思った、ルリ・ホワイトなのであった。

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