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嫁の浮気を疑ったら、俺はいつの間にかど田舎暮らしをすることになったんだが
嫁の浮気を疑ったら、俺はいつの間にかど田舎暮らしをすることになったんだが
猫カレーฅ ^•ω•^ ฅ
現実世界現代ドラマ
2025年04月01日
公開日
15.6万字
連載中
不倫していた嫁、離婚したら俺は一人、田舎暮らしをすることに…… 不倫をしていた嫁。興信所に頼んだら決定的な浮気の現場の証拠を掴んだ。弁護士に相談して嫁とは離婚が成立した。そしたら、浮気男が金持ちで、嫁も2人の娘も養うという。娘2人とは仲がいいと思っていただけにショック。 そんなとき、実母が入院した。まとまったカネが必要になり浮気男からの慰謝料を使った。 カネがなくなった俺は田舎の家に引っ越すことになった。その家の庭を掘っていたら、1つの石像、「不動明王様」を見つけた。不憫に思い、洗って祀っていたら娘2人が帰ってきた! そのうち、嫁からは復縁を求めるメールが届くようになる。俺は慣れない田舎暮らしにあくせくしていたのだが、娘達と田舎での居場所づくりを進めていくのだった。 俺の幸せは、家族の幸せはどこにあるのか!?

第1話:嫁の浮気を疑ったら、俺はいつの間にかど田舎暮らしをすることになったんだが

 嫁の浮気を疑ったら、俺はいつの間にかど田舎暮らしをすることになったんだが。


 まあ、俺の少し変わった話を聞いてくれ。

 まずは、俺のこと。善福熊五郎42歳、中卒。焼酎みたいな名前だが、本名だ。高校は勉強が馴染めなくて早々に辞めた。だから中退。現在は会社員をやってる。医療機器の営業で医者から呼ばれたら朝でも夜中でも必要なものを持って飛んでいくのが仕事。趣味はホームセンター巡り。


 中卒の俺の年収は300万くらい? マジで高校くらいは出といたほうがいい。うちは娘が2人いるからカネが足りない。そこで、嫁が近所のスーパーにパートに出てる。


 その嫁について。善福清美34歳。背は156センチしかなくて、童顔。34歳だけど、16歳の長女と姉妹と間違われることがあるのが自慢らしい。高卒で俺より頭がいい。俺に営業になれって言ったのも嫁。パート先のスーパーではレジ打ちとか品出しとかやってるらしい。最近店長が変わって発注も少しやらせてもらえるようになったって喜んでた。


 俺は以前、マンションとかアパートとかの清掃の仕事をしてたんだけど、一年中休みがなくてヘトヘトだった。ある日、駐車場で倒れていたらしく、倒れている俺を見つけてくれて、救急車を呼んでくれたのが嫁。回復したあと、お礼の品を持っていって喫茶店で話して、その流れで付き合い、やがて結婚した。


 娘は2人。めちゃくちゃかわいい。上が16歳のお姉ちゃん。高校一年で少しおっとりタイプ。下が14歳の妹、中2。しっかりしてて最近は少し部屋にこもりがち。嫁が若干心配してた。


 ここまで聞いてくれたら分かると思うけど、どこにでもありそうな家庭だと思う。俺もそうだと思ってた。それがほんの小さなきっかけで一家離散になったんだ。


 ○●○


 嫁の浮気に気付くきっかけってなんだろう? ネットで調べてみた。


 ・家の中でもスマホを持ち歩くようになる?

 ・こまめに連絡を取り始める?

 ・服装が派手になる?

 ・知らない下着を持ってる?

 ・帰りが遅くなる?

 ・家事が手抜きになる?


 うちの場合、全部当てはまるんだけど? 完全にクロじゃね!? 


 俺は嫁が浮気しているのか確かめることにした。ネットを見たらこんなときにはセオリーってのがあるらしくて、自分で動かず興信所などの調査会社を使って浮気の証拠を掴み、それを持って弁護士事務所に相談するってものだった。


 ただ、調査会社とかに頼むならある程度条件を絞らないとカネが続かないらしい。心配になって聞いてみた。そしたら、相談した調査会社では2日で20万って言われた。どうなの? 俺とあんたの金銭感覚は近い? めちゃくちゃ高くない!?


 でも、詳しく聞いてみたら、尾行するにもセオリーってのがあるらしいんだ。尾行対象が1人だとしても尾行は2人以上必要らしい。一人がずっと尾行していたら、対象が気付く可能性があるのだとか。


 対象が男性の場合は尾行も男性、対象が女性の場合は尾行も女性であるのがセオリー。最低でも同性を一人入れる必要がある。異性だとトイレとか行かれたらアウトだし。


 そして、嫁を追う場合女性の尾行が複数人必要、と。女性の調査員、つまり探偵は数が少ないらしい。そんなこんなで高額になりがちなのだ。


 一般的な嫁は普通は浮気を隠す。ところがうちの場合は簡単に証拠が集まった。それには2つの理由があった。


 1つは、パート先では公然の事実としてほとんどの従業員が知っていることであり、当たり前に知らないふりをすることになっていたようだ。


 もう1つのほうが問題で、本人達に隠す気がないという、新しいタイプの不倫だということだった。


 既に週末はうちに帰ってこないようになっていた嫁に興信所の尾行を付けてもらった。


 そしたら、なんのひねりもなんのフェイクもなく浮気男の家に向かったらしい。しかも、浮気男の家は金持ちらしく、嫁を運転手が迎えに来た、と。嫁もまんざらじゃない様子で慣れた感じで車に乗り込み浮気男の家に向かったらしい。


 興信所ってすごいなぁって思ったのは。浮気男の家に入っていく様子やその時の嫁の表情とかまで写ってるんだ。


 そして、真っ昼間からお盛んで窓を開けっ放しでおっ始めたらしい。おかげで行為の最中の動画まで撮れていた。かなり遠くの映像のはずが、拡大できていて顔がちゃんと確認できる。表情まで分かるくらいだから、どんなカメラを使ったのか……。更に、声まで入っていた。どうやるの?


 浮気しているのかもって話を聞いて「やっぱり」って思ってる自分がいたん。興信所で画像や動画を見せられたんだけど、嫁のあんな姿を見たら、俺は座っているパイプ椅子から床に崩れ落ちてしまった。


 不思議と泣いたりはしなかった。びっくりしすぎたのかも。心が壊れたのかも。しばらく立ち上がれなくて、興信所の人に抱えられるようにして椅子に座り直したんだ。


 立ち上がるとそのままトイレに行って吐いた。汚い話だけど、ほんとに吐き気が止まらなかったんだ。あの嫁が他の男と……って思ったら。


 翌日、早速俺は不倫の証拠を持って興信所から紹介してもらった弁護士事務所にむかった。普通なら予約してから話を聞いてもらうための面会まで2週間くらいかかるらしい。興信所からの紹介なのですぐに動いてくれたみたい。興信所に感謝。


 弁護士は約1時間半俺の話をひたすら聞いてくれた。弁護士は絵に書いたような七三分けで、落ち着いているのか、ロボットみたいに瞬きだけで相槌を打つ人だった。


 大丈夫か心配になったけど、俺は心配事と無念な気持ちを全部話した。その後、弁護士が資料を見て俺に聞いた。


「善福さんは奥様と今後どうするのがご希望ですか?」


 そのとき初めて気づいた。浮気していた嫁と俺は今後どうしたいのか決めないといけないことを。


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