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社内一の美人に嵌められ合コン引き立て役になった女の逆転爽快ラブコメディ
社内一の美人に嵌められ合コン引き立て役になった女の逆転爽快ラブコメディ
中道 舞夜
現実世界現代ドラマ
2025年03月31日
公開日
1.1万字
連載中
社内一の美人は奢られて当然、男は顔かお金と豪語する毒舌家。美人の策略に嵌り合コン引き立て役に。くそっ、Xにネタ投稿しておけば良かったと後悔しながら合コンに挑む真希の逆転爽快ラブコメディ

第1話 合コンの引き立て役

ここは、とある中小企業の女子トイレ。時刻は昼休み終了の10分前。用を足し扉を開けると鏡の前でメイク直しをしている二人組がいた。


「友梨佳さんそのバック素敵ですね、プレゼントですか?」

「そう、この前買い物行ったら買ってくれたの」

「可愛い!!素敵ですね 」

「え……本当? 私、あんまり気に入ってないの。でもプレゼントだから使わないと悪いかなと思って……。」



その言葉を聞き、素敵と褒めていた後輩は一瞬顔が引き攣った。

「そ……そうですか?でも私は好きですよ。」


気に入らないと言いつつも、大学生から20代前半の女性に絶大な人気を誇るブランドの新作バッグをこれ見よがしに見せつけているのは社内一の美人、友梨佳だった。


パッチリとした大きな瞳、スッと通った鼻筋、自然と上がった口角は常ににこやな笑顔、天使の輪が輝くミディアムヘアは風に揺れるたびにヘアコロンの爽やかな残り香で嗅覚までも刺激して離さない。社内で知らない人はいないという”美人”なのだ。その美しさからサロンのカットモデルを頼まれたり、地方のアイドルグループにスカウトの声がかかることもあるらしい。


(きっとプレゼントの相手は社内だな……)

私は、話が自分に振られないように素早く手を洗いその場を離れた。


友梨佳は、常に周囲の視線を集める。その期待に応えようと人知れず努力を重ねていることも知っている。しかし、女子トイレなど女性だけの場になると「Sさんはご飯は奢ってくれるけど安い店ばかり」「Yさんから頻繁に連絡来ていてランチに誘われたけど、正直興味ないから困っちゃう」なんてことを平気で口にしていた。


男性の前では猫なで声で「すごい!」「素敵!」と褒めているが、女性だけの場では、まるで人が変わったように辛辣な言葉を吐く。好みのタイプではない男性からの誘いも食事には行く。けれど、それ以上の関係に進むことは決してない。そして、デートの際にはちゃっかりとバッグなどをねだり、その反応を見て今後の付き合い方を決めているらしい。


「相手は私と食事に行けて嬉しいだろうし、私も欲しかったもの貰えて嬉しいから、お互いwin-winの関係だと思うのぉ」

本人は悪びれる様子もなく平然と言い、さらに続ける。


「結局、将来のことを考えると顔がいいかお金がある人じゃなきゃ無理かなぁ。歳を取ると選択肢が狭まっちゃうけど、自分が若いうちなら両方期待できる人もいるかもしれないし。早く見つけられるように頑張らなくちゃ。そのために、女は選ばれる努力が必要なんだよね。世の中、顔かお金かなのよ!!!!!」

仲の良い女性社員たちに、人生の教訓かのように熱く語る友梨佳。


奢られて当然、プレゼントも気に入らないと平然と言うその態度に、強い違和感と拒否反応を覚えできるだけ距離を置くようにしていた。


(……いやいやいや!!!奢られて当然ってあなたも仕事して給料もらっているんだから少しは払えよ。こっちは6:4でも喜ぶくらいなのにさ。なんなら端数の数百円でもお礼は言うよ!?)


出来るだけ関わらないとバリアを張るようになったのは私が入社して半年経ってからのことだった。ある日、プライベートでは全く接点のない友梨佳がおっとりとした口調で話しかけてきた。


「真希ちゃんって、男の人に興味ないの?彼氏の話とか全然出てこないけど、真希ちゃんもっとメイクとか服装を頑張ればきっとすごく素敵になると思うよ。」


「……。」


(もっとメイクとか服装を頑張れば、ね。今が素敵なわけではなくて努力が必要とな。分かっているよ、優れた美貌は持っていないって……。でもさ、別にこっちから聞いたわけじゃないのに敢えて言ってくる必要ある?なんか上から目線に感じるけど、私がひねくれている?……この人とはできるだけ関わらないようにしよう。)



社歴は友利佳の方が長く先輩にあたるが、どうしても好きになれない。




しかし、悲劇は起こった。仕事終わり帰ろうとした時に背後から友梨佳から声をかけられたのだ。


「今度の金曜日の夜空いてる?会社の飲み会なんだけど、私、幹事で。来れるかな?」

「……はあ。大丈夫です」

「良かった。お店決まったら連絡するね」


まさか飲みの話だなんて思ってもいなかったから、少し裏返って間抜けな返事をしてしまった。


(幹事なんて率先してやるタイプじゃないのに珍しいこともあるもんだな……。季節外れの雪や台風でも降るのか?それともこの後ド級の土砂降りとか???)


私は失礼なことを思っていることを反省して家路についたのだったが、木曜日の朝メールを開いて、やっぱり失礼ではなかったと思い直した。


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件名:金曜日の飲み会について

本文:場所と時間が決まったので連絡です!

   時間:19時~

   場所:URL

   先方:大手製薬会社T社4名

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受信者リストを見ても友梨佳と仲のいい人はいない。私以外の参加者は友梨佳よりも推定10歳以上年上……いや、年齢不詳のお姉さま達だ。


(なるほど……。これは、頭数合わせの引き立て役ってわけですな!!!)


飲み会のことを聞いた時は?でいっぱいだったが、やっとスッキリした。断られるのを避けるためか、前日のキャンセルができないこのタイミングで連絡してくるのも、本当に腹黒くて、むしろ清々しい。


(あーーーまんまとやられたな!!!しかもT社か……)


あの時に戻れるなら、金曜日の予定を聞かれた瞬間になんてことない顔で「すみません、その日は先約があって」って断っておけばよかった。しかし、今さら後悔しても遅い。金曜日の夜が今から憂鬱で仕方なかった。



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