「つ、つるば、みさま……っ」
身体は橡様の手によって丹念に、意味が分からないほどに、快楽へと落とされていた。
けれど、それでも橡様のそれが見えた時に俺は息をのんで、思わず名を呼ぶ。
橡様のそれは──男の徴は見るからに大きく、反り返っていて、俺のものとは比べものにならない。
意識がそれを目にすることにより一気に淫らな夢現から現実に引き戻された。
「ん?」
顔を上げた橡様は俺の足の間に入り込み、俺の足を開かせーー怒張の先を俺の入り口へと宛てがっている。
怒張の先があたる場所は入念に目の前の人に準備されたので、柔らかくはなっているのだろうが……幼子の手程ありそうなものに、俺は一抹の不安を覚えて息を飲み込んだ。
「む、むりです……それ、はいらない……」
俺は首を振って、身を引かせる。
橡様はそんな俺を見て、ふむ、と小さく頷いた。そして次の瞬間、嫣然と微笑む。
「じゃあ、自分で挿れてみようか」
「……へ?」
自分で?それを?身体の中に……??
……。
…………。
………………。
無理ッッッ‼絶対に無理だろ‼‼
俺が今度は大きく首を振ると、橡様の手が俺の足を掴んで、軽く引いた。
ぐぷ、と先っちょが肉の中に入り込む。
「ひあっ……!」
「僕が動いて怖いなら……自分で動くしかないでしょう?ほら、このまま……おいで……?」
受け入れるための肉輪は信じられないくらいにぐずぐずに蕩けている。
橡様の身体がわずかに動くと、入りそうで入らず、入口が開いては閉じた。
怖い、無理だ。そう思う反面で、期待と興奮が俺に生唾を飲ませる。
「……っ……」
羞恥に唇を噛む。けれど意地悪な橡様は、そこで動きを止めたままだ。
俺は観念して、自分から腰を動かした。
「う、くぅ……っん……」
腰を動かすと、先っぽが肉の中へと埋まる。
異物感とそれを勝る快感に俺は目をぎゅっと瞑る。
はじめて、なのに。俺は、はじめてなのに……!
まってくれまってくれ。怖いはずなのに──欲しい。
なんだよ、これ、意味が分からない。
はじめてなのに、痛みもなく欲に溺れて、怖いのに中に収めたい。
もっと奥に欲しくて、腰を進めると、ぐっぽりと亀頭の先が俺の中に挿った。
「あふっ……ぁ……」
「可愛いねぇ……ほら、まだまだあるよ?」
橡様がそこで腰を微動させた。
肉が擦れた場所からの気持ちよさに、目がちかちかとする。
「やぁっ……まって……!そんな、なんで……」
えもしれぬ感触に俺が首を左右に振ると、橡様の手が伸びて俺の頬を撫でた。
「大丈夫だよ……ここに来る前に、水を飲んだでしょう?」
水……。
言われて俺は思い出す。そういえば、あの無味無臭の水。
「あれはね、痛みをなくして身体を柔らかくするんだよ。だから、気持ちいはずだ。怖くないよ」
おいで、と言いながらまた橡様が少しだけ動く。
すると太い雄芯が肉を分けて中に進んでくる。
「く、ふ……っ……」
熱に息を何度も飲み込んだ。
受け入れる口は拡がって苦しさが少しだけ出ているのに、上回る程の快感が背中をせりあがってくる。
まさか、あの水にそんな効果があるとは……媚薬、みたいなものだろうか……?
しかし、そう言われても「はいそうですか」と動くことが出来るわけでもなく。
そりゃ、俺が遊郭にいるような綺麗なお姐さん方ならね!出来たかもだけど!
「これ以上は無理そう?」
橡様は依然と俺を見下ろすようにしながら、ふふ、と笑った。
恥ずかしいやら悔しいやら気持ち良いやら……頭の内がしっちゃかめっちゃかである。
もう無理。本当に無理……。
俺が観念して小さく頷くと、橡様は俺の腰へと手を下ろす。
「本当に、可愛い……」
と言い終わらないうちに橡様が大きく動いた。
「ひあああああっ!!やぁっ……ふかっ……ぃ!」
入り口付近にあったそれが、不意に、突然、奥まで入り込む。
腹の中を埋め尽くされて、俺の喉からは悲鳴に近い嬌声が出ていた。
びくびくと身体が震えて、涙が伝い落ちる。
なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ・・・!
理解が追いつかない刺激に、俺はしきりに頭を左右に振った。
圧迫感の凄まじさはあるものの、痛みなんかなくて、快感だけを拾い上げる。
「……っ……」
橡様の息も詰まっていた。
俺の足を抱え込んだ橡様が、身体を折り曲げると、俺の身体が倒れる。
そうしてより一層と深く、橡様のものが刺さる。
おかしい、こんなの。
だって、受け入れるようにできている場所じゃないのに……!
いくらあの水の効果があるとはいえ……!
なのに、俺のそこは喜んで橡様を迎え入れて、受け入れていた。
「ああ、あ、あ、あ、あ、あ、っ」
橡様が、動く。一定の間隔で、俺を穿つ。
解された場所が肉の切先で突かれるたびに、俺は色に塗れた悲鳴をあげていた。
「やぁぁぁっ、ひっ……つ、るばみ、さまっ!やだ、っ……なん、でぇっ」
「はっ……ああ、やっぱり君だけだ……」
橡様は時折、俺の涙を舐め取り、唇へと軽い口付けを繰り返す。
どうしようもなく、俺は感じていて。汗がいくつも肌の上から滴り落ちていた。
橡様の抽送に合わせて、自身の陰茎が熱くなる。
「長、くん……」
欲望を隠さない眼差しを向けられて、俺は益々と昂る。
それに加えて、橡様の手が俺のものを緩く握り込んだ。
「あっ、やっ、だっ!」
軽く擦られただけでも、目の裏に星が飛ぶ。
俺はとんでもない快感に打ちのめされて、喉を思い切り反らせていた。
ぎっちりと橡様を包む俺の肉が締まって、橡様が眉根を寄せる。
「はは、ちょっと、きついね……っ。一度……」
言い終える前に、橡様の動きが早くなる。
動きに合わせて俺は俺のものを扱かれて、俺は唇を噛んだ。
頭がおかしくなる……!
力の入らない指で、橡様の手を引っ掻いた。
けれど何が止まるわけでもなく。
ぐぷぐぷ、ぐちゅぐちゅと音が耳をも犯してくる。
何度も何度も何度も何度も、穿たれて、扱かれて。
何度も何度も何度も、繰り返される。
そして、途端に、終わりはやって来た。
ぐ、とさらに奥深くを突かれて、俺のものが精を吐き出して橡様の指を汚しーー、
「ひあああ、ああ、っあ、あ、あ、あっ」
「──……っ」
橡様も、達する。腹の奥底に、熱いものが撒き散らしていく。
「ごめんね、少し……長いよ……」
熱い声を漏らしながら、橡様が俺の瞼に口づけた。
それを感じつつ、俺はぐったりと、身体を寝具の上に投げ出す。
橡様が告げた通り、射精は人とは時間も違えば、量も比べものにならなかった。
どくりどくり、と長い間、それは精を吐き続け──長く、多く、俺を侵食する。
口付けを幾度も落とされながら、たっぷりと吐き出された精液は、俺の腹の中に溜まって、薄い腹をほんの少し押し上げていた。
橡様が起き上がり、満足げに、俺の腹を撫でる。
「ふふ、少し……膨れちゃったね」
「……っあ……」
肌を撫でられて、俺から息が漏れる。
再び、橡様が俺の唇へと口付けを落とした。
「馴染むまで、もう少し……こうして、いようね」
もう少、し……。
どうにか意識を繋ぎながら、俺は頷いた。
「馴染んだら、もう一度……ね」
嘘だろ、と目を見開いた俺に橡様が再び、嫣然と微笑んだ。
──身が持つのだろうか……、俺……。