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7 1日目ー変化と予兆

全身の力が抜けて、凜にもたれかかる。

それは凜を増長させるだけだとは思ったが、体力が限界だった。


(……はぁ……っ……)


息が乱れて、喉がカラカラに渇いていた。

けど――


(あ、でも…………さっきまでの熱が、ちょっと引いた……?)


確かに、体はまだ火照ってる。

けど、さっきまでの異様な発熱とは違う。


「……落ち着いた?」


凛が、優しく微笑む。


「……っ……黙れ……」


もう、言葉を交わす気力もなかった。


「よかったね」


そう言って、凛は俺の濡れた髪をそっと撫でる。


「れーちゃん、頑張ったね」

「……っ……」


何も言えず、俺はただ、目を逸らした。


(……くそ……こんなの……)


羞恥と敗北感で、胃の奥がギュッと縮まる。

でも――


(……もう、これで終わり……だろ……?)


これ以上、何かされることはないはず。

せめて、今はこのまま静かに――


「……うん、れーちゃん、やっぱり可愛い」


不意に、凛がそんなことを言った。


「……は?」

「でも、これで終わりじゃないよ」


(――!?)


頭が、一気に冷える。


「まだ、続きがあるからね」


凛が、ゆっくりと微笑んだ。


「……は?」


俺は思わず顔を上げる。


(……何言ってんだ、こいつ……)


もう十分だろ。

俺はもう、限界まで追い詰められて、何もかも奪われた。

なのに、まだ何かあるっていうのか。


「れーちゃん、今は落ち着いてるけど……」


凛の指が、俺の濡れた頬に触れる。


「すぐにまた、熱くなるよ」

「……っ……」


喉が、ひゅっと詰まる。


「嘘だろ……」


呟いた言葉に、凛はにこりと微笑む。


「嘘じゃないよ。……だって、もう身体が変わり始めてるもん」


(――!!)


全身の毛が逆立つ。


「……っ……ふざけんな……」

「ねえ、れーちゃん」


凛の指が、俺の鎖骨をなぞる。


「さっき、すごく気持ちよかったでしょ?」

「っ……!!!」

「もう、僕の手で感じられるようになったんだよ?」


その言葉が、決定打だった。


「……っ……っざけんな……っ……!!」


俺は頭を振って、必死に否定する。

けど、さっきの感覚は、まだ俺の中に残っている。

凛の手で――射精させられた感触が。


「……違う……俺は……っ……」


必死に言葉を探すのに、喉が震えて、何も出てこない。


「大丈夫だよ、れーちゃん」


凛の手が、そっと俺の腹に触れる。


「僕がずっと見てるからね」


(――!!)


その瞬間、全身の血が凍ったような感覚に襲われた。


(……終わりじゃ、ない……まだ……続く……)


本能的に察してしまう。

これから俺の身体に起こる変化を。

そして、それを誰よりも楽しみにしている凛の存在を。


「れーちゃん」


凛が優しく呼ぶ。


「もっと素直になっていいんだよ?」

凛の声が、耳の奥で響く。


「……っ……」


俺は目を逸らした。

もう、何を言っても無駄だ。


(……ふざけんな……)


けど、俺にはもう抵抗する力も残っていない。


「ほら、体拭こうね」


ふわりと、大きめのバスタオルが俺の体を包む。


「っ……!!」


一瞬、温かさに安堵しかけて――すぐにその安心感自体が恐ろしくなった。


「……いらねぇ……自分で……」


そう言おうとしたのに。


「れーちゃん、もう力入らないでしょ?」


そう囁かれた瞬間、俺は自分の手足がまったく動かないことに気づいた。


(……なんで……っ!?)


力が抜けている。

全身が、ふわふわして、思うように動かない。


(……薬のせいか……?それとも……)


その答えを考える間もなく――


「はい、こっちおいで」


次の瞬間、俺の体がふわっと宙に浮いた。


「――っ!?」


抱き上げられたんだ、と気づくのに数秒かかった。


「っ、お、おろせ……!!」

「ダメだよ。ちゃんと運んであげる」


凛の腕の中で、俺は完全に固定されていた。


「……お前……っ……!!」

「大丈夫、落とさないから。僕、れーちゃんを落としたことないよね?だから安心していいよ?」


頭を撫でられる。


(っ……!!)


怒りと屈辱で、顔が熱くなる。

なのに、もう暴れることすらできない。

俺は、まるで赤ん坊みたいに――こいつの腕に抱かれて、運ばれるしかなかった。

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