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敬虔な夫をその気にさせたい
敬虔な夫をその気にさせたい
8ツーらO太!
異世界恋愛ロマファン
2025年03月30日
公開日
5万字
連載中
「ってことは、あと3年、キスもエッチもできないの!?」

 推しのホスト・トウマとの同伴に向かう途中、同担拒否の女に刺されて命を落とした真名《まな》は、異世界で神父セラディスの22歳の妻・マナシアとして転生!
 驚くことに、セラディスはトウマに瓜二つの容姿をしていて、突然その妻になれてしまった真名はウハウハ。
 だけど、セラディスの信仰するアレオン教には『夫婦であっても互いに25歳になるまでキス以上禁止』という教義があり、敬虔なセラディスは真名もといマナシアがどんなに誘惑しても靡かない。
 そんな中、セラディスの同僚である美貌のシスター・ティアリナはマナシアに甘い言葉を囁きながら、キス以上の関係を迫ってくる。
 一方、セラディスの親友エリオードはセラディスに対して異常な執着を見せ、妻であるマナシアに敵意をむき出しにしてくる。
 周囲の人間関係が複雑に絡み合う中、マナシアはセラディスとの愛を育もうと奮闘するが、果たして彼女は異世界で“理想の夫婦生活”を手に入れられるのか――!?

プロローグ

 視界がぼやけている。

 ネオンの灯りが滲んで、まるで万華鏡のように色が混じり合う。アスファルトの硬さと冷たさを、あたしは今日初めて知った。


 ああ、やっちゃった。


 体が動かない。動かそうとする気力が湧かない。お腹の中がまるで焼けているみたいに熱い。何がどうなったのか、全部理解するにはもう頭が働かなくて、ただ確かにわかることは――今からトウマと同伴だったのにな、ってこと。


「やった! ざまあみろ! これでトウマは私のものだっ……!」


 狂ったような叫び声。怒りとも歓喜ともつかないその声が、夜の街に響き渡る。


 ああ、あの子か。あたしのこと敵視してた同担どうたん拒否の子。

 しまったなぁ……こんなに恨まれてたなんて。


 力が抜けていく。お腹の中は熱いのに、手足は氷のように冷えている。でも、不思議と焦りはない。


真名まなちゃん!」


 その声だけは、鮮明だった。

 視界に、トウマが映る。相変わらず綺麗な顔。いつもあたしを酔わせてくれる、甘い笑顔が好き。


「ヤバい、救急車……!」


 助かるの? ううん、無理だってわかる。もう痛みも感じなくなってきた。


 トウマがあたしを抱き起こしてくれる。


 トウマの腕の中。

 ああ、悪くない。

 どうせ死ぬならさ、トウマに抱かれながらって、最高じゃない?

 体はもうまったく動かせないのに、唇だけはにやけてしまう。

 瞼が、重い。

 ネオンの光も、遠ざかる。

 トウマが、何か言ってる。

 ……もう、聞こえない。


 それじゃ、おやすみ。


 真っ暗な闇に、あたしは溶けていった。


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