視界がぼやけている。
ネオンの灯りが滲んで、まるで万華鏡のように色が混じり合う。アスファルトの硬さと冷たさを、あたしは今日初めて知った。
ああ、やっちゃった。
体が動かない。動かそうとする気力が湧かない。お腹の中がまるで焼けているみたいに熱い。何がどうなったのか、全部理解するにはもう頭が働かなくて、ただ確かにわかることは――今からトウマと同伴だったのにな、ってこと。
「やった! ざまあみろ! これでトウマは私のものだっ……!」
狂ったような叫び声。怒りとも歓喜ともつかないその声が、夜の街に響き渡る。
ああ、あの子か。あたしのこと敵視してた
しまったなぁ……こんなに恨まれてたなんて。
力が抜けていく。お腹の中は熱いのに、手足は氷のように冷えている。でも、不思議と焦りはない。
「
その声だけは、鮮明だった。
視界に、トウマが映る。相変わらず綺麗な顔。いつもあたしを酔わせてくれる、甘い笑顔が好き。
「ヤバい、救急車……!」
助かるの? ううん、無理だってわかる。もう痛みも感じなくなってきた。
トウマがあたしを抱き起こしてくれる。
トウマの腕の中。
ああ、悪くない。
どうせ死ぬならさ、トウマに抱かれながらって、最高じゃない?
体はもうまったく動かせないのに、唇だけはにやけてしまう。
瞼が、重い。
ネオンの光も、遠ざかる。
トウマが、何か言ってる。
……もう、聞こえない。
それじゃ、おやすみ。
真っ暗な闇に、あたしは溶けていった。