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第48話 竜帝

次の日、平原に行きMP集めをしていたソウスケ,ヤヨイ,マリン,サツキ、そしてうちの眷属達が進化した。

ソウスケは真人という種族になった。一番分かりやすい変化は若返ったところだな。

白髪は無くなって黒く染まり、筋肉も付いて活気のある若者のような容姿になった。

イサムは若返ったソウスケを見て苦虫を噛み潰したような顔をしていた。昔を思い出したのだろう。


ヤヨイは半鬼神という種族になった。こいつも俺と同じように筋肉が引き締まり若干細くなった。

また力が大幅に強くなり手が付けられなくなっている。

半鬼神ということは次は鬼神だろう。いくらか戦闘狂だった性格も収まったように思える、たぶん。


マリンは上位魔女という種族になった。容姿がより美しくなり、耳が少し尖った。エルフに近い種族なのだろうか?

魔力量も大幅に増えたらしく喜んでいた。現在避難所での男性人気が一番高い。


サツキはハイヒューマンからライトヒューマンという種族になった。全体的な能力が上がったらしく、魔力量もかなり増えたそうだ。


そして眷属達ハーフデーモンは魔人という種族になった。

女はよりスタイルが良くなって妖艶な容姿となり、男は筋肉が付き勇ましくなったように見える。

ハイヒューマンだった者は全体的に能力が上昇。

ドワーフだった者は力が大幅に上昇。

エルフだった者は魔力量が大幅に上昇。

獣人だった者は俊敏が大幅に上昇した。

虫人だったカイは、甲殻が金属のように硬くなり、身体能力が上昇した。そして虫人の状態でも喋れるようになったみたいだ。


そして全員、種族スキルの契約と千里魔眼も覚えた。かなり強くなったな。モンスターに近しい姿に進化した者の名称と被り、少しややこしいが。

何より驚いたのがスタートダッシュが遅れていたイサムが魔人になったことだ。こいつもなんだかんだソウスケと同類だな。

俺もレベル5まで上げられた。次のレベル上げに必要なMPが130万なのでかなり厳しい。それならスキルの書に使いたいぐらいだ。




「ふぅ…」


「お"っ…」


俺は最後の一人の、力が抜けたサクラをマットレスに下ろして一息つく。

並ぶマットレスの上には十数人の眷属達が転がっていて、大部屋には淫靡な匂いが漂っている。

というかサクラも魔人になったはずだが、筋肉が付かずに小柄なままだ。より一層可愛さが増した気さえする。

マットレスの上で休憩していると、女性の眷属が入ってきた。


「ヒロキ様、先程ケルサス竜帝国からの先触れがやってきたそうで、明日の朝にやってくるそうです」


「ほう…そうか、ありがとう」


「いえ……その、私も…♡」


そう言って服を脱ぎ始めた。俺は彼女を抱き寄せて交わり始めた。







俺は早朝に起きると、1階のフロントに行く。見張りをしている3人の眷属と番犬のライトがいた。


「お疲れ様」


「あっ、ヒロキ様!おはようございます!」「ウォン!」


ライトが尻尾を振りながら姿勢を低くして俺の元に寄ってくる。その大きな体格からは想像できないほど甘えた仕草だ。

俺は軽く頭を撫でてやる。


俺はフロントの3人用ソファに腰掛けた。

調理器具を取り出してオーク肉をブロックごと丸々焼いていく。そして表面をしっかりと焼くと、ライトに向けて放り投げた。

ライトはタイミングよく噛みついてキャッチして食べ始める。

1つでは足りないので追加で3つやると、満足したようでゲップまでしていた。


俺も適当に肉を焼いて朝食を取り、隣の本部のビルまで向かう。

1階では既に幹部連中と総長のサツキ,副総長のワタル,その他数人の戦闘員達が待っていた。

進化して若くなり、いつも以上に元気なソウスケ手を振ってくる。


「おうヒロキ!遅刻だぜ」


「時間指定なんてあったか?」


「な~に、こういうのは先に待ってる方が偉いんだよ」


ソウスケは笑いながら肩をすくめる。相変わらず軽いノリだが、周囲の空気は自然と引き締まっていた。

俺はサツキの方に顔を向ける。


「それで、先触れが来たんだろ?」


「騎士が1人な。情報共有が目的だが、やんごとなき御方が来るらしい」


「なに?…面倒なことにならなければいいが」


そんなことを話していると、戦闘員の1人が駆け込んできた。


「総長!空に船が現れました!おそらく竜帝国の方々かと!」


「分かった。今行く」


「噂をすればってやつだな」


ソウスケがそう呟いて歩き出した。

俺達は外に出て、空を見上げた。遥か上空には巨大な木造の船が3隻浮き上がっていた。

そして、船から全長5mほどの白い竜が10匹降りてくる。背には騎士が乗っているようだ。

ビルの前にある4車線ある道路に着陸すると、騎士たちは竜から降りて並び立った。


すると、船から黒い竜が自然落下してきた。4mほどあるその竜は人間のような二足歩行で、腕を組みながら落下してきている。

地面が近付くと翼を羽ばたかせて、ふわっと着地した。

そして金色に輝く眼光をこちらに向けてくる。強い重圧感が俺達を襲った。

何人かの戦闘員たちは膝をつくが、俺達幹部とサツキ,ワタルは平気そうだ。何ならワタルとソウスケは今にも飛び出しそうなヤヨイを何とか止めている。


「だってあれ私のこと誘ってるでしょう!?」


「馬鹿野郎!お前が襲いかかったらややこしくなるだろうが!」


「頼むから止まってください!…止まれこの馬鹿女!!」


そんな会話が聞こえてくる。すると黒竜が喋り出した。


「フム…我と会話をする資格はあるようだな」


予想に反して女性の声で喋ると、鱗が無くなっていき、竜の姿から黒い貴族服を着るボーイッシュな人間の女性になった。


「我の名はケルサス・ノクスジーナ、竜帝国の竜帝だ。今日はよろしく頼むぞ」

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