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第46話 鬼と魔女

サイクロプスの群れを倒した俺は、サツキ達の方を確認する。

あちらもそろそろ終わりそうだったので、サイクロプスのドロップ品を回収する。

自身の影に魔力を送ると、影が広がって大きな黒い手が現れ、影の鬼が這い出てきた。

大きさは2mほどで、筋肉も発達しているようなゴツい体格をしている。そして頭には2本の長い角があり、目がありそうな場所は赤く光っている。

それが20体近く前に並ぶ、なかなかの威圧感だ。


「ドロップ品を拾って俺の前に集めろ」


命令すると、影鬼達は走り出して拾いに行った。背が大きい分いくらか早いようで、手際よく集めていく。


(サイクロプスのドロップは、魔晶石か。結構大きいな)


1つ持って鑑定魔眼を使って見てみると、〔魔晶石(中)〕と表示された。

アイテムボックスに入れてショップを確認すると、1つで100MPに変換できるようだった。

鬼が魔晶石を集めていくと、1体の鬼が魔晶石でない物を持ってきた。


例えるならトゲがない金棒だろうか。打撃を与える部分は六角になっている。

俺は影鬼の持ってきた六角の金棒を手に取った。表面には独特な模様が彫られている。

見た目以上の重さがあるように感じるな。これも鑑定魔眼を使って見てみると、〔黒岩鉄の棍棒〕と表示された。

俺は黒岩鉄の棍棒をアイテムボックスにしまい、集まった魔晶石を収納で魔力を放出して包みこんで全てアイテムボックスに入れた。

そして影鬼達を影に戻すと、サツキ達の方へ戻った。


サツキ達の方もドロップ品を集めている。

オークとゴブリンからは鉄の装備、オーク肉、魔晶石がドロップし、リザードマンは鱗の皮、鉄の武器、魔晶石がドロップしたようだ。

ソウスケが俺を見つけて話しかけてくる。


「ヒロキ!さっきの技凄かったなおい!しかし出来ることならあのデカブツともヤり合いたかったなぁ」


「俺達だけなら良いんだがな」


「そうだなぁ」


2人でそんなことを話しているとサツキがやってきた。


「ヒロキ、あの連中は何だったんだ?」


「異世界の人間だった。こちらに転移されてきた原因を探っているらしい。近いうちに新都心の拠点へ出向いてくる、かもしれない」


「かも?」


「彼らはケルサス竜帝国の地竜騎士団の一部隊だったらしい。一応情報共有で一度拠点に来るように誘ったが、司令部からの指示で動いているから決められないんだとよ」


「司令部?つまり国ごと転移されてきたのか?」


サツキが俺と同じことを言っていて少し笑う。


「フッ…いや、大陸ごと転移されてきたらしいぞ」


「……大陸?」


口を半開きにして呆然としているサツキの様子を見て、俺は声をあげて笑った。


「ハハハ!俺も驚いたよ。ただ、どこに転移されてきたのかは気になるところだが…まぁ近いうちに分かるだろう」


「ああ…そうだな」


そうして、ドロップ品を回収し終わると転移扉を出現させて戻った。

今回の狩りでは一人あたり20万MPほど手に入れたようだ。多人数でモンスターを狩ると手に入るMPも分散されるから、まぁこんなものだろう。


ビルのフロントに帰ると、皆バラバラに解散した。眷属達が話していると、サクラがこちらにやってきた。


「ヒロキ様!まだハルカさん達に人化の姿見せてないんですよね?」


「ん、そういえば…そうだな」


「見せてあげてくださいよぅ!凄いカッコいいんですから!」


サクラ両腕をブンブンと振りながら言い、ハルカ達も期待のこもった目でこっちを見る。


「そこまでだと思うが…」


そう言いながら人化のスキルを使用する。体が光に包まれると身長が180ぐらいにまで縮んで細身になる。


「あれ、なんか前よりも色気が…」


サクラがそう呟くと同時に、ハルカが腕を掴んで引っ張り、階段まで連れて行く。後ろには最初に眷属にした女性達も着いてきている、そして欲情が伝わってきた。


「おい、まだ昼だぞ」


「良いじゃないですか、時間なんて」


ハルカはそう言いながらニッコリと笑い、こちらに顔を向ける。


「あらら、楽しんできてください〜」


「若いですねぇ」


サクラはニコニコと笑みを浮かべて手を振って、レンは孫を見るかのような微笑みで俺達を見送る。

階段を登って6階まで上がり大部屋に入ると、前と同じようなブルーシートの上にワイドキングサイズのマットレスが2つ並んでいた。


「お前ら、またいつの間にこんなものを…」


「ヒロキ様…」


ハルカが首に抱きついて、キスをしてくる。俺もぎこちなく抱きしめ返すと、ハルカが舌を差し込んできて絡み合う。

すると後ろからカレンが腰に手を回して抱きついてきて、首元に何度もキスをしてくる。そして乳首を軽くつまんできて、思わず体が少し跳ねる。

ハルカが口を離して、見つめてくる。


「もしかして、その体になると感度が上がるんですか?」


「……」


「…んふっ♡」


図星で若干の気恥ずかしさから少し顔を背けると、集まった彼女らが服を脱いでマットレスに押し倒してきた。

妖艶な裸体を晒した彼女らが呼吸を荒くして見下ろしてくる。


「今度は私達の番ですね…♡」








次の日、朝食を食べてフロントで寛いでいると、鬼のヤヨイと魔女のマリンがやってきた。


「平原に連れて行ってくださーい!」


「今日はよろしくお願いしますね」


「ああ。そうだったな」


今日はこの3人だけだ。俺は立ち上がり、軽く伸びをしながら頷く。

そして平原に繋がる扉を創った。


「それじゃ、行くか」


「はーい」「はい」


俺が先に平原に行き、マリンとヤヨイもそれに続く。

相変わらず気持ちの良い風が吹いていた。何ならここで昼寝でもしたいところだが、遠くにサイクロプスの群れが見える。40体程度だな。


「わぁー!でっかいモンスター!」


「良い実験台になってくれそうですね」


ヤヨイはサイクロプスの元へ走っていき、マリンはふわっと浮き上がってサイクロプスの元へ行った。

俺はゆっくり歩いて向かっていると、戦闘が始まったのが見えた。ヤヨイは驚異的な身体能力で跳び上がり、サイクロプスの顔面をぶん殴った。


サイクロプスの顔は大きく窪んで倒れ、光に包まれる。

その勢いのまま次々と殴って倒していく。サイクロプスも激昂して殴りかかるが、両手で受け止めてすぐに殴りかかり殺した。


ふわふわと浮いているマリンは大きな尖った氷柱を驚異的な早さで創り出し、サイクロプスへ放った。

氷柱は空を裂きながら飛び、サイクロプス達に突き刺さった。鈍い音を立てて肉を貫通して、サイクロプス達は倒れる。


マリンは楽しげに微笑み、さらに魔力を集中させた。今度は無数の氷の刃が宙に浮かび、サイクロプスたちの上空へ展開される。

マリンが指を弾くと、氷の刃が一斉に降り注いだ。サイクロプスたちは咆哮を上げる間もなく、切り刻まれていく。


ヤヨイはというと、すでに残った数体のサイクロプスを拳一つで蹂躙していた。

サイクロプスの巨体が吹き飛び、あるものは首が折れ、あるものは胴がへし折れて即死。


そして戦闘が終わると、マリンは俺の元へやってきた。


「私はもう少し離れた場所に行ってみますね」


「ああ。昼前には戻るからな」


「分かりました」


マリンは返事をすると、フワフワと移動していった。彼女なら一人でも大丈夫だろう。

するとヤヨイがこちらに突進して殴りかかってきた。


「あはは!体の昂りが収まらないや!」


俺はヤヨイの拳を避けて、腹に膝蹴りを放つ。そして顔を攻撃強化で殴ると、ヤヨイは大きく仰け反り鼻血が垂れる。


「あはは!物凄く痛いですね!進化したからかな!」


「ふむ、お前がまだ弱いうちに躾をしておかないとな」


ヤヨイは鼻血を拭うこともせず、笑いながら俺に殴りかかる。まるで野生の獣のような動きだ。

俺は軽く避けて、足を蹴って転ばす。すぐに上に乗っかりヤヨイの顔を殴りつけていく。

ヤヨイは寝転がりながらも殴ってくるが、避けたり受け止めたりしながら何度も殴っていく。


するとしばらく経って大人しくなった。


「うぅ…私の負けですね」


「そうだな……ちなみに、ヤヨイは親が子供を叱りつけるときにすることは何だと思う」


「…まさか」


「ああ。尻叩きだ」


俺は起き上がって仰向けのヤヨイを蹴り、俯向きにさせる。

そして快楽強化で片手に魔力を集中させ、尻を強く叩いた。


ヤヨイは叫び声か喘ぎ声かも分からない声を出した。

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