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第43話 進化

「ん…」


目を覚ますと、俺はマットレスの上で眠っていた。

上半身を起こして自分の体を見ると、老剣士から受けた傷が完治していた。

俺は若干ボーッとしながらメニューを開いて所持MPを確認する。


〔所持MP 2802361〕

(…とんでもない数だな。1000体以上は倒したのか?)


そんなことを考えながらレベルを20まで上げた。120万は使ったな。

そしてレベル20になるとこのような通知が表示された。


〔1000000MPを使用して上級悪魔に進化できます。進化しますか?〕

〔はい〕〔いいえ〕


(進化…か)


しない理由もないので"はい"を選択する。

その瞬間、全身を突き刺すような激痛が襲った。


「ぐっっ…」

(そうだった…!)


骨が軋み、筋肉が引き裂かれるような感覚が全身を駆け巡る。

アップデートのときも痛みが襲ってきたことをすっかり忘れていた。しかも痛みにいくらか慣れてきたからか意識を失うこともない。

筋肉からプチプチと気色の悪い音が聞こえ、骨からはメキメキと軋むような音が聞こえる。

するとハルカが大部屋に入ってきた。


「ヒロキ様!お目覚めでしたか!」


「あぁ…」


「お怪我の方は……何か身体中から音が…?」


「レベルを上げたら進化することになった。終わるまで横になっているから、サツキが来たらそう伝えてくれ」


「分かりました!他の者にも伝えてきますね!」


ハルカはそう言って小走りで去っていった。

全身に感じる痛みを堪えながら、俺はひたすら進化の過程に耐え続ける。


(くっそ…意識を失わないからよりキツいな)


筋繊維が張り裂け、骨格が変化し、魔力が激しく動く。全身から蒸気のようなものが立ち上り、部屋の中に濃密な魔力が満ちていくのがわかる。

すると、ハルカが再び部屋に入ってきた。手には大量の焼かれている肉がある大皿を持っている。


「わ!凄いですね…お肉持ってきたんですけど、食べれますか?」


「ああ…口に運んでくれるか?」


「分かりました!」


ハルカがフォークに肉を刺して俺の口に運んでくる。咀嚼すると肉汁が溢れ出て、口の中が旨味で満ちる。

これはオーク肉だな、塩と胡椒で味付けされた物だがなかなかに美味い。


「うまいな…」


俺は痛みに耐えながらも、ゆっくりと肉を噛み締める。


「よかったです!焼肉のタレもあるのでどうぞ!」


ハルカは嬉しそうに微笑みながら、次の肉を焼肉のタレ浸して口に運んでくる。

肉を食いながら、俺は自分の体が変わっていくのを感じた。



肉を食べていると全身の痛みが徐々に引いていき、代わりに力が体中に満ちていく感覚があった。

やがて、部屋に満ちていた濃密な魔力が俺の中に吸収され、部屋の空気が静かになる。

前回と比べてだいぶ短かったな。


「ヒロキ様…終わりました?」


「ああ…終わったみたいだ」


俺はゆっくりと立ち上がった。視界が鮮明になり、体が軽く、そして強靭になったのを感じる。


「何か…細くなりましたね。筋肉が萎んだ…?いや…」


「筋肉がより密になって、引き締まったようだな」


俺は自分の腕を見下ろし、軽く拳を握る。

見た目は以前より引き締まっているが、内側から湧き上がる力は段違いだ。


俺はメニューからステータスを開く。


ーーーーーーーー

〔Lv.1〕次のレベルまで500000MP

〔名前:佐藤ヒロキ〕

〔種族:上級悪魔〕

〔攻撃:G-〕〔防御:G-〕〔俊敏:G-〕〔魔法:G-〕

〔種族スキル〕

[眷属化][契約][千里魔眼][魔境生成]

〔スキル〕

[火炎魔法Lv.1][影の鬼Lv.1][竜の息Lv.5]

[鑑定魔眼Lv.1][人化][竜擬き]

〔ユニークスキル〕

[鬼の身体][剣鬼の斬撃]

ーーーーーーーー


む、レベルが1になって能力値も初期化されてるな。


新しい種族スキルの魔境生成は、魔素が集まりやすい場所を作るスキルだな。若干危険な気がする。

火炎魔法は火魔法が強化されたスキルで、火力と範囲が出しやすくなったみたいだ。


影の鬼は小鬼の代わりに鬼が出てくるようになったスキルだ。

小鬼よりも大きくガタイの良い鬼が出てくる、それも今までと同じ魔力量でだ。なかなか凶悪なすきるになったな。


剣鬼の斬撃は、魔力を消費して刃物から強力な斬撃を放つスキルのようだ。


「どうでした?」


「ん、色々と強化されたようだ。影の小鬼も影の鬼となって強化されたな。これでお前達の訓練も捗るぞ」


「え"…」

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