皆が寝静まった夜、掲示板を見ていると緊急性の高いスレッドを見つけた。
《緊急 大宮避難所増援求む》
1.飯村タケシ
現在大宮避難所でモンスターの大群に襲われている。
付近の避難所で駆けつけられる者は至急来てもらいたい。
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(モンスターの大群?どこからだ…?)
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2.尾崎キイチ
今から行くのはさすがに厳しいな
3.鈴木ヒロム
こっちも無理だな。避難所の戦力を減らしたくない。
4.飯村タケシ
いやぁそうだよなぁ。今物資届けてくれた自衛隊と亜門さんのおかげで耐えられてるけど
5.黒木マリン
こっちも無理ですね、距離的にも
自衛隊と亜門さんでも厳しそうなんですか?
6.飯村タケシ
というか数がやばいんだよね。もう4時間は戦ってるけど、まだまだいるのよ。
俺も魔法使うんだけど、みんなそろそろ体力と魔力がまずい。
7.佐藤ヒロキ
行くぞ。大宮駅だったよな
8.飯村タケシ
そう東口の方!
悪魔さん掲示板見てくれてて良かったまじで助かる!
9.佐藤ヒロキ
今から向かう。持ちこたえろよ
10.尾崎キイチ
悪魔さん近いもんな。
しかしそんな量のモンスター情報になかったよな?どこにいたんだろ
11.黒木マリン
ほんとにそうですね。
勝利を願うばかりです。
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俺は立ち上がって屋上へ向かった。屋上駐車場で見張りをしていたレンが声をかけてくる。
「ヒロシ様。お出かけですか?」
「ああ、大宮避難所がモンスターの大群に襲われているらしい。そこが潰れたら次はここだろうから、少し行ってくる」
「そうでしたか!お気をつけて」「頑張ってください!」
(大宮駅は…あっちか)
大宮駅の方へ向いて、戦斧を肩に担ぐ。
そして跳躍強化で両足に魔力を集中させて跳んだ。勢いがあるうちに飛行強化を使って羽ばたいた。
少し経って大宮駅の上空に到着する。
「ハハハ…雑魚がわらわらと」
そこには途方もない数のモンスターがいた。大宮駅の東口一帯が、まるで黒い波のように蠢くモンスターたちで埋め尽くされていた。
リザードマン、オーク、ホブゴブリン、金属蜘蛛、巨大猪、そして初見のモンスター、角が金属のような巨大なカブトムシや、肥満体型の巨人、トロールのようなやつもいる。
視界の端まで続くその数は、軽く数千を超えているだろう。
俺は空中で羽ばたきながら、避難所の防衛線を探した。
東口のロータリー付近に、人間たちがバリケードを築き、モンスターと必死に戦っているのが見える。
この前遭遇した自衛隊はもちろん、この避難所にいた戦闘員もいる。
一際目立つのは見事な身ごなしをしながら素手で次々とモンスターを殺している爺さんだ、おそらくはあれが種族が仙人の爺さんだろう。
時には体の一部を樹木へと変えて薙ぎ払っていたりもする。
「とりあえず、ヘイトを俺に向けるか」
俺は低空に移動して飛行強化で翼を羽ばたかせ、前線から離れた後方に移動しながら喉に魔力を渡らせて口から広範囲の燃え盛る炎を吐き出していく。
モンスター達の上空で後方に移動しながら"竜の息"を使って数多のモンスターを燃やしていく。その範囲は火魔法の比にならないほどだ。
すると巨大なカブトムシが羽ばたいて俺に突進してきた。
「ほぉ、こいつ飛べるのか」
巨大なカブトムシが鋭い金属の角を前に突き出し、凄まじい速度で突っ込んできた。
俺は飛行強化で素早く上昇し、巨大カブトムシの突進をかわす。
そして衝撃強化を使って右手に魔力を集中させ、下に群れてるモンスターへ向けてぶん殴った。巨大カブトムシがモンスター達を巻き込んで倒れる。
俺はすぐに竜の息を使い、両手から魔力を放出して燃え盛る炎を全て包み込む。
あっという間に巨大な炎の球体が出来上がり、倒れて体勢を崩している巨大カブトムシに放った。
直撃した巨大な炎の球体は広範囲に広がり、周囲にいるモンスターを燃やし尽くす。
〔MP +1300〕〔MP +201〕〔MP +125〕…
また竜の息を使ってモンスターを燃やしながら後方へ向かう。
5分ほど後方へ向かい飛んでいると、ようやく最後尾が見つかった。
俺は最後尾のさらに後ろの地面に降り立ち、影へ魔力を大量に送り込んだ。そして黒樹の戦斧に魔力を渡らせてスケルトン召喚の魔法陣を3つ、俺の後方の地面に展開した。
そして最後尾にいるモンスター達へ竜の息を放った。
最後尾にいたモンスター達が燃え盛ると、大宮駅へ向かっていたモンスター達が俺の方へ向いた。俺の影から影小鬼が50以上這い出てくる。
「モンスター共を殺せ」
そう命令すると影小鬼たちはモンスター達に襲いかかった。時間稼ぎにはなるだろう。
俺はさらに影に魔力を送り込む、そして飛び上がって竜の息を使い巨大な炎の球体を創り出して大宮駅へ向かっている奥のモンスター達へ放った。直撃して燃え広がる。
影小鬼達が追加で這い出てきてモンスター達に襲いかかる。
トロールが邪魔なので上空から降りて戦斧を振り下ろして殺す。すぐに跳び上がって羽ばたき上空から竜の息を吐く。
「…こっからは作業だな。まぁMPも大量に手に入るし良いだろう」
そう思いながらモンスターの数を減らしていった。
《飯村タケシ視点》
「おい!怪我したやつは下がらせろ!魔力が切れたやつもだ!!」
「気を抜くと死ぬぞ!!」
「チッ…まだまだ来るな…!」
俺は額の汗を拭いながら、前線の戦況を確認する。
すでに戦闘は4時間を超えている。
魔法を使える奴らは、半分が魔力切れで下がり、近接組も疲労で動きが鈍くなってきている。
掲示板にも書き込んだが悪魔さんもどれほどで来てくれるか…
「もう少しで悪魔さんも駆けつけてくる!それまで耐えきるぞ!!」
「その悪魔さんとやらは使えるんだろうな?!」
近接組の1人のケントが大剣を振り回しながらそう叫ぶ。
「ハァァァ!?僕のヒロキ様は最強なんだが!?!?」
「ハッハッハ!腕を動かせぃ若造ども!!」
「全員があんたほど強くねぇんだぞ不老ジジイ!!」
「あああああ!!盛り上がってきたああああ!!」
怒号が飛び交いながらも全員が全員のために動く。全員がアドレナリンが分泌されてテンションがおかしくなっている。
だが、後ろに見えるモンスター達の終わりが見えることがない。
(くっそ!このままじゃ…)
すると、上空から激しく燃え盛る広範囲の火炎が放たれた。
「うおおっ…!?」
その範囲は広く、モンスターたちを一気に飲み込んでいく。
「な、なんだ!?」
「空…!?ヒロキさんか!?」
誰かが叫ぶ。
俺も反射的に上を見上げると、そこには蝙蝠の翼を広げ、空中を舞いながら炎を撒き散らす山羊頭の悪魔の姿があった。
「ヒロキ様キタァァァァア!!」
炎に包まれたモンスターたちは、悲鳴を上げながら次々と崩れ落ちる。その光景に、仲間たちの士気が一気に上がるのを感じた。
巨大カブトムシが悪魔さんに迫ると、巨大カブトムシ殴り飛ばした。そして悪魔さんは巨大な炎の球体を作るとモンスターの群れに放った。巨大カブトムシを中心に炎が燃え広がる。
そして広範囲の火炎でモンスター達を燃やしながら後方へ向かっていった。
「つ、つえぇ」
「呆けるんじゃねぇ!!ここが攻め時だぞ!!」
仙人の亜門さんがそう叫び、俺たちは再び気を引き締めた。
「そうだ!ここで押し返さなきゃ意味がねぇ!!」
周囲の戦士たちもようやく見えた勝ち筋に奮い立ち、次々とモンスターたちへ攻撃を仕掛ける。
「やるぞぉぉぉお!!」
「ここで終わらせる!!」
「あぁっ…ヒロキさまぁ……」
前線の仲間たちが一斉に突撃し、士気は最高潮に達していた。
「俺たちも悪魔さんに続くぞ!!」
前線が一気に押し返し始める。
そして、戦いは最終局面へと突入していった。