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第18話 模擬戦

ある程度検証が終わった後、近接の戦闘技能にも"魔法"と同じような名前を付けようという話になった。


しばらく近接組と話し合った結果、"戦技"という名前になった。戦闘技術の略称というのと、魔法の対っぽいのが中々に良い。

途中までは、スペシャルアーツだとか悪魔の秘術だとか名前が出ていたが、まぁまともな名前に落ち着いて良かった。


そして現在、近接組は戦技に慣れるように軽い訓練をしている。攻めと守りで分かれて、攻めは衝撃強化を、守りは威力減衰を使う。当てる場所を事前に言って、そこを守るという簡単なものだ。

戦技を素早く使えるようになったら、もっと上の段階の訓練に移行できるだろう。俺も練習しなきゃいけないな。


魔法組は、自分の魔法を魔力とどのように組み合わせるのが強いのか試行錯誤しているようだ。


俺も何か面白いことはできないかと考える。


(…付着させやすくするとか?)


俺は"付着させたい"と想像して左手から魔力を放出し、右手から地面に向けて炎を出す。

すると魔力と混ざった炎が、絵の具でキャンバスに絵を描くように、満遍なく地面に"付着"した。


(悪くないな。接近してきた敵には脅威だろう)


結局炎だからそれほど時間も経たずに消えてしまうが、ここまで満遍なく炎が付着したら重傷は避けられないだろう。


(そうか、そもそも単純に消えなくするというのが良いか。不滅が一番考えやすいか?)


俺は"不滅にしたい"と考えながら魔力を放出して、炎を出して混ぜる。だが炎は勢いが強まるだけで普通に消えてしまった。

さすがにそこまでのことはできないのか。なら長持ちさせたいでいけるか?

"長持ちさせたい"と考えながら魔力を放出して、炎を地面に向けて出す。魔力と混ざった炎が地面で燃え続け、3分ほどで消えた。


(ふむふむ、燃料もないただのコンクリートの上でここまで残るのは中々だな。これも使える)


「あの…」


「ん、ハルナか。どうした?」


「少し助言をいただきたいなー、と思いまして」


「…光魔法か」


光魔法の光は中々に特殊で、光を傷に当てれば傷が治り、光を薄く平らに広げてやれば固体となり結界になる。

扱いが難しい魔法だが。


「さっきの俺がやったように攻撃をしたいと想像したらどうだ?」


「それはやってみたんですけど、魔力で攻撃するのとあまり変わらなくて」


「なるほど……それじゃあ結界を剣のような形にして鋭くしたいと想像するのはどうだ?」


「! なるほど」


ハルナは右手から光を生み出して、左手から魔力を放出して混ぜた。その光を薄く平らにして剣のような形にする。

そしてそれを地面に振るうと、地面に傷を付けた。


「わ!できましたよ!」


「ああ、成功だな。剣の他にも色々と形を変えて確かめると良いだろう」


「はい!ありがとうございます!」


ハルナは嬉しそうな表情を浮かべて離れていった。光魔法は普通の使い方じゃ攻撃方法は無いに等しかったからな。

一応結界を勢いよくぶつけるという脳筋じみたことはできたが、痛いだけで殺傷性は無かった。


(そういえば、スキルは魔力で強化できるのだろうか。いや、そもそも魔法だってスキルの1つだ。試してみるか)


"大きくしたい"と想像しながら影に魔力を送り込んだ。

すると影から大きな手が出てきて、俺に並ぶほどの大きな影小鬼が1体だけ出てきた。

いつもなら何体も出てくるが、1体になった。その分強力になっているように見える。


(これを使って眷属達と模擬戦をすると良さそうだな)


そんな悪巧みをしながらも、ふと思い出した。

そういえば肥満オークからドロップした杖とサイクロプスからドロップした指輪を試してなかったなと。

指輪に関してはもはやただの装飾品と化していた。


黒樹戦斧にもやったように、まず黒宝石の黄金指輪に魔力を渡らせた。

すると黒い宝石からモヤが出てきて、頭にスキルの情報が流れてきた。

それは、"暗黒生物"というスキルだった。

1mほどの黒いスライムを生み出すスキルで、攻撃性はあまりないが、自分の中に入る生き物以外の物を何でも吸収できる。そして吸収するものは指定できるというものだった。


(まぁ悪くないな。毒水の処理もこいつに任せられそうだ)


次は先端に白い宝玉がある黒い金属の杖だ。

魔力を渡らせると白い宝玉が光り、例のごとく頭に情報が流れてきた。

まずスキルとは別に、この杖自体に魔法を強化する効果があり。そして"白の加護"という自身と周囲にいる味方に防御効果のあるバリアを張るというスキルだった。

てっきり氷魔法関係のスキルかと思っていたが、全然関係なかったな。


よし、それじゃあ、影小鬼を使って軽く模擬戦でもしてみるか。

俺は手を叩いて注目を集める。


「集合」


「「「はい!」」」「ギギ!」


眷属達が前に集まってくる。


「まだそこまで慣れてないだろうが、俺の影小鬼を使って模擬戦をやってみるぞ。武器を構えろ」


「「「はい!」」」「ギギ!」


俺は眷属達から離れていき、魔力を多めに影へ注いでいく。

眷属達は全員で27人、生半可な数じゃ相手にならないだろう。影小鬼たちが影からぞろぞろと這い出てくる。最終的には50程度の数となった。

眷属達は既に準備が済んでいる。


「奴らに攻撃しろ」


そう命令すると、影小鬼たちは眷属達に襲いかかった。


「来るよ!」


ハルカの声が響くと同時に、影小鬼たちが一斉に襲いかかった。


眷属たちは各々の武器を構え、迎撃態勢を取る。魔法組は後方から援護を開始し、岩や氷塊が影小鬼たちに飛んでいく。


影小鬼たちが近接組に接近した。

まずカレンが前に出て影小鬼の1匹を棍棒を振るって殴る、するとその影小鬼が吹っ飛んだ、衝撃強化だな。

吹っ飛んだ影小鬼は複数の影小鬼を巻き込んで倒れる。元獣人のマナミは素早い動きで影小鬼たちを剣で斬り裂いていく。


レンが俺と同じように炎の球体を創り出して後方にいる影小鬼へ放つと、複数の影小鬼を燃やしていく。

ハルナは光の剣を操って、影小鬼を一掃していく。

カイは素早い動きで敵を翻弄しながら、ナイフで影小鬼を仕留めていっている。


皆各々順調に倒していっているな。


(全然余裕だな、どんどん追加しよう)


そうして魔力を影に送っていった。





2時間後…


「ハァハァ…」「きっつ…」「ギギィ…」


「…こんなものだな」


2時間に渡る激戦の末、眷属たちは地面に座り込んだり、膝に手をついたりして息を整えていた。

影小鬼との模擬戦は最初こそ順調だったが、数が増えるにつれて疲労が蓄積し、徐々に劣勢になる場面も出てきた。


だが、それでも最後まで誰一人として戦意を失わず、戦技や魔法を駆使して戦い抜いたのは評価に値する。


「すまん、やりすぎたな」


俺がそう声をかけると、眷属たちは息を切らしながらも笑みを浮かべた。


「ヒロキ様…影小鬼、多すぎませんか…?」


ハルカが肩で息をしながら抗議するような目を向けてくる。


「最初は余裕そうだったからいけると思ってな。ついやり過ぎてしまった」


「つい、であの数はやばいですよ…!」


ハルカの言葉に、他の眷属たちも頷いている。確かに最後の方は80体近く召喚していたからな。

だが、極限状態での戦闘は実戦を想定するにはちょうど良いはずだ。


「まぁほら、良くやったな。オークの肉でも食べて休憩しよう」


「あ、誤魔化しましたね?」「ギギ」


眷属達の言葉を無視してバーベキューの準備をし始めた。

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